- マシナリーお役立ちNAVI
- 補助金を活用したい
省エネ補助金の採択結果を解説!
過去の採択率から今後の傾向を考える
公開日:2024.08.20
なるべく費用をおさえて工作機械を更新したい場合、省エネ補助金の活用を検討してみましょう。省エネ補助金の申請を行う前に、「どのようなケースが採択されているのか」「採択率はどのくらいなのか」を把握しておくことで、採択される確率を向上できる可能性があります。本記事では、今後の補助金申請に役立つ、省エネ補助金の過去の採択結果について解説します。
過去に実施された省エネ補助金の採択結果
省エネ補助金とは、経済産業省の環境エネルギー庁が行う省エネルギー政策の一つで、省エネ性能の高い設備などの導入を支援する補助金です。工作機械の更新も補助の対象のため、製造業では活用を検討している企業も多いでしょう。
これから省エネ補助金の活用を考えている企業は、過去の採択結果から採択の傾向を把握しておくことをおすすめします。まずは、過去に実施された省エネ補助金の採択結果について見ていきましょう。
省エネ補助金について、詳しくはこちらをご覧ください。
「省エネ補助金とは?基本的な仕組みとメリット」
●省エネルギー投資促進支援事業補助金の過去の採択結果
令和3年度 | 令和3年度 補正予算 |
令和4年度 | 令和4年度 補正予算 一次公募 |
令和4年度 補正予算 二次公募 |
||
---|---|---|---|---|---|---|
指定設備導入事業 | 申請件数 | 2,323件 | 1,106件 | 1,594件 | 1,920件 | 1,622件 |
採択件数 | 1,241件 | 974件 | 828件 | 1,307件 | 1,515件 | |
採択率 | 53.4% | 88.1% | 51.9% | 68.1% | 93.4% | |
└ 生産設備 | 申請件数 | 628件 | 299件 | 219件 | 528件 | 317件 |
採択件数 | 187件 | 284件 | 106件 | 342件 | 312件 | |
採択率 | 29.8% | 95.0% | 48.4% | 64.8% | 98.4% | |
└ 工作機械 | 申請件数 | 328件 | 143件 | 104件 | 275件 | 191件 |
採択件数 | 92件 | 137件 | 50件 | 172件 | 189件 | |
採択率 | 28.0% | 95.8% | 48.1% | 62.5% | 99.0% | |
採択金額 | 89.8億円 | 87.3億円 | 53.8億円 | 129.6億円 | 95.6億円 |
過去の採択結果を見ると、申請件数はいずれも1,000件以上、ときには2,000件を超えることもあるなど、多くの企業が申請している補助金であることがわかります。
工作機械のみの申請件数を見ると、100件から300件ほどで推移しており、年度によって採択率は大きく異なります。令和3年度、令和4年度ともに補正予算では採択率が高く、補正予算のほうが採択されやすい 傾向にあるといえるでしょう。しかし、今後どのような形で省エネ補助金が行われるかはわかりません。
工作機械の導入で省エネ補助金を活用する場合には、採択率向上のために過去の採択結果を分析することに加え、今後実施される省エネ補助金の目的をしっかりと理解する、制度内容を把握するなどして対策を講じる必要がありそうです。
令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業(一次公募)の採択結果
次に、2024年7月時点で公開されている令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業一次公募の採択結果について詳しく見ていきましょう。
「令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業補助金」では、「設備単位型(旧指定設備導入事業)」「エネルギー需要最適化型」が補助対象となっており、設備単位型の単独またはEMS機器(エネルギー需要最適化型)と組み合わせての申請が可能でした。
設備単位型の補助上限額は1億円、下限は30万円で、公募期間は一次公募が2024年3月27日から4月22日、二次公募が2024年5月27日から7月1日となっていました。
●採択結果(令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業一次公募)
申請件数 | 採択件数 | 採択率 | |
---|---|---|---|
設備単位型 | 2,003件 | 1,199件 | 59.9% |
└ 生産設備 | 767件 | 458件 | 59.7% |
└ 工作機械 | 483件 | 287件 | 59.4% |
採択金額 | 149.2億円 |
●設備単位型 生産設備 カテゴリ別 採択結果
カテゴリ | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 | 平均省エネ率 | 平均省エネ量 | 平均経費当たり 省エネ量 |
---|---|---|---|---|---|---|
工作機械 | 483件 | 287件 | 59.4% | 49.3% | 14.5kl | 1.7kl/千万円 |
プラスチック加工機械 | 142件 | 88件 | 62.0% | 57.0% | 19.3kl | 4.9kl/千万円 |
プレス機械 | 64件 | 39件 | 60.9% | 59.0% | 10.5kl | 1.1kl/千万円 |
印刷機械 | 70件 | 39件 | 55.7% | 52.1% | 25.4kl | 2.1kl/千万円 |
ダイカストマシン | 8件 | 5件 | 62.5% | 34.0% | 5.8kl | 1.4kl/千万円 |
令和5年度 補正予算 省エネルギー投資促進支援事業補助金一次公募では、令和4年度補正予算 先進的省エネルギー投資促進支援事業補助金二次公募と比較し、申請件数が増加しています。設備単位型のうち、生産設備に関する採択内容を見ると、工作機械の申請が特に多い状況です。これは、令和4年補正予算 省エネルギー投資促進支援事業(二次公募)の採択率が99%と非常に高かったことが理由と考えられます。
申請が多いほど予算の関係から採択される可能性が低下してしまうことが考えられるため、省エネ補助金を活用して工作機械の導入を考えている企業は、「工作機械の省エネ効果」に着目してみましょう。省エネ補助金における採択のポイントである省エネをより実現できる工作機械の導入で、採択率を向上できる可能性があります。
表にある「平均省エネ量」は採択のボーダーと考えられることから、設備選定の際にはこの基準よりも省エネ量が高いものを検討することをおすすめします。
また、省エネ率・省エネ量の計算では「指定計算」と「独自計算」の2つの方法がある点にも注意が必要です。指定計算では、メーカーの製品情報証明書をもとに省エネ量が決まるため、製品情報証明書の省エネ量が少ないと採択されにくい傾向にあります。ただし、独自計算と比較して申請が容易という特徴があります。
独自計算では、既存設備のエネルギー使用量を把握し、さらに導入予定設備のエネルギー使用量と省エネルギー量を適切な根拠に基づいて算出します。現行の設備と更新する設備の消費電力量の把握や計算の根拠を示す必要があるため、独自計算は指定計算と比較して申請に手間がかかるものの、省エネ量が大きくなれば 採択される可能性が高まる傾向にあります。
工作機械の更新に省エネ補助金を活用するために
工作機械の更新に省エネ補助金を活用するためには、過去の採択結果を分析しておくことも重要です。これから省エネ補助金の申請を考えている企業は、工作機械の省エネ量や省エネ性能にも着目し、高い省エネ性能を有する工作機械を選定することで省エネ補助金の採択率を向上できる可能性があります。
-
文:髙橋みゆき
1983年生まれ。2016年よりライター・編集者。各種民間保険、介護、医療、ITなど幅広いジャンルの記事を企画・執筆。
-
編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
https://eggo.jp/
- コストを削減したい
- 加工時間・人員・消費エネルギー等を節約
- ブラザーホーム
- 製品情報
- 工作機械
- マシナリーお役立ちNAVI
- 省エネ補助金の採択結果を解説