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【令和6年度】業務改善助成金とは?
要件や申請方法を詳しく解説!
公開日:2024.10.29
製造業が活用できる助成金の一つに、業務改善助成金があります。業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引き上げと生産性向上に資する設備投資などを行うことで受け取れる可能性のある助成金です。この助成金では、助成上限額や助成率が引き上げる賃金額によって定められているという特徴があります。業務改善助成金を活用したい企業は、その内容や申請方法についてよく理解しておきましょう。
設備投資にかかる費用を抑えながら最新の機器を導入したい企業に向け、令和6年度業務改善助成金の詳細をご紹介します。
INDEX
業務改善助成金とは
業務改善助成金とは、事業場内でもっとも低い賃金を30円以上引き上げ、かつ生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、設備投資等にかかった費用の一部を助成してもらえる制度です。
具体的には、「事業場内最低賃金の引上げ」に加え、「機械設備導入またはコンサルティング、人材育成、教育訓練」を行うことで、最大で600万の助成金を受け取れます。
製造業においては、従来よりも生産性を向上できる工作機械の導入にこの助成金を使える可能性があります。なお、本助成金の申請期限は2024年12月27日まで、助成金を申請した事業の完了期限は2025年1月31日までと定められています。
業務改善助成金の要件について
業務改善助成金を受けるには、次の要件を満たす必要があります。
対象事業者の要件
業務改善助成金の対象者事業者の要件は以下の通りです。
- 中小企業・小規模事業者であること
- 事業内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇・賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
これら3つの要件を満たした事業者は、事業場内最低賃金引き上げ計画と設備投資等の計画を立てて、事業場単位で助成金の申請を行えます。
要件1の「中小企業・小規模事業者」とは、次の(A)または(B)の要件を満たす事業者のことです。
業種 | 資本金または出資額(A) | 常時使用する労働者の数(B) |
---|---|---|
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
要件2について、事業場ごとに賃金が異なる場合、同一企業内であっても申請できない可能性があります。
図のように、地域別最低賃金が1,000円の場合、事業場内最低賃金との差額が50円を超える事業場は業務改善助成金の対象外となる点に注意しましょう。
特例の要件
業務改善助成金では、特例事業者の枠が用意されており、特例事業者の要件のいずれかに該当する事業者は、助成上限額の拡大または助成対象経費の拡大が受けられます。
賃金要件 | 事業場内最低賃金が950円未満の事業者 |
---|---|
物価高騰等要件 | 原材料費の高騰など、社会的・経済的環境の変化等の外的要因に基づいて、申請前の3ヶ月のうち、いずれか1ヶ月の利益率が3%以上低下している事業者 |
賃金要件に該当する事業者は、助成上限額の拡大が、物価高騰等要件に該当する事業者は助成上限額の拡大に加え、助成対象経費の拡大が受けられます。
ただし、物価高騰等要件に該当する事業者は、申請時に事業活動の状況に関する申出書の提出が必須となっています。
対象となる設備投資等とは
助成の対象となる「設備投資等」とは、次のいずれかのことを指しています。
- 生産性を向上させる機械・設備
- コンサルティングの導入
- 人材育成・教育訓練
特例事業者以外の一般事業者として申請する場合、定員7人以上または車両本体価格200万円以下の乗用自動車や貨物自動車、PC・スマートフォン・タブレットなどの端末および周辺機器は助成の対象外です。
特例事業者のうち、「物価高騰等要件」に該当する場合、通常は助成対象にならないPCなどの端末や一部の自動車も助成の対象になります。ただし、PCなどの端末は新規導入のケースに限られる点に注意しましょう。
業務改善助成金の助成上限額と
助成率
業務改善助成金では、助成上限額と助成率が定められています。また、助成上限額には「コース区分」が設けられており、賃上げの金額と引き上げる労働者数などによって異なります。
コース区分 | 事業場内最低賃金の 引き上げ額 |
引き上げる労働者数 | 助成上限額 | |
---|---|---|---|---|
右記以外の事業者 | 事業場規模30人未満 の事業者 |
|||
30円コース | 30円以上 | 1人 | 30万円 | 60万円 |
2~3人 | 50万円 | 90万円 | ||
4~6人 | 70万円 | 100万円 | ||
7人以上 | 100万円 | 120万円 | ||
10人以上 (特例事業者のみ選択可) |
120万円 | 130万円 | ||
45円コース | 45円以上 | 1人 | 45万円 | 80万円 |
2~3人 | 70万円 | 110万円 | ||
4~6人 | 100万円 | 140万円 | ||
7人以上 | 150万円 | 160万円 | ||
10人以上 (特例事業者のみ選択可) |
180万円 | 180万円 | ||
60円コース | 60円以上 | 1人 | 60万円 | 110万円 |
2~3人 | 90万円 | 160万円 | ||
4~6人 | 150万円 | 190万円 | ||
7人以上 | 230万円 | 230万円 | ||
10人以上 (特例事業者のみ選択可) |
300万円 | 300万円 | ||
90円コース | 90円以上 | 1人 | 90万円 | 170万円 |
2~3人 | 150万円 | 240万円 | ||
4~6人 | 270万円 | 290万円 | ||
7人以上 | 450万円 | 450万円 | ||
10人以上 (特例事業者のみ選択可) |
600万円 | 600万円 |
表のうち、「10人以上」の区分は特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合のみ対象です。
また、助成率は次の通のように定められています。
事業場内の最低賃金 | 助成率 |
---|---|
900円未満 | 10分の9 |
900円以上950円未満 | 4分の5 |
950円以上 | 4分の3 |
賃金を引き上げる労働者として算入できるのは、「事業場内最低賃金である労働者」と「事業場内最低賃金である労働者の賃金を引き上げることにより賃金額が追い抜かれる労働者」の2パターンです。ただし、どちらの場合も「申請コースと同額以上の賃金を引き上げる場合」が対象となる点に注意しましょう。
助成金の申請から支給までの流れ
業務改善助成金の申請は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に、所定の申請様式を用いて行います。助成金の申請から助成金が支給されるまでの流れは次の通りです。
- 交付申請書・事業実施計画書の作成・提出
- 計画に基づいて事業を実施
- 事業完了
- 事業完了日から起算して1月を経過する日または翌年度4月10日までのいずれか早い日までに事業実績報告書、支給申請書の作成と提出
- 助成金受給
- 状況報告書の作成と提出
業務改善助成金は、予算の範囲内で交付されるため、申請期限内に募集が締め切られてしまう可能性があります。業務改善助成金を活用して工作機械などを導入したい企業は、早めに準備に取りかかることをおすすめします。
令和5年業務改善助成金からの
変更点
2024年12月27日が申請期限の「令和6年業務改善助成金」には、前年度に実施された令和5年業務改善助成金からいくつか変更された点があります。
特例事業者に関するものでは、特例事業者要件のうち、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者向けの生産量要件がなくなっています。また、生産量要件または物価高騰要件の事業者に認められていた経費の特例も撤廃されています。
その他、同一事業場の申請は年1回まで、事業場内最低賃金の引上げは1回のみで、複数回の引上げを行った場合は助成対象外に変更されました。
なお、2024年3月31日までに申請し、2024年4月1日以降に交付決定を受けている事業者は、令和5年業務改善助成金に申請したものとして扱われるため、令和6年業務改善助成金の申請が可能です。
業務改善助成金の活用で費用を
抑えながら賃上げと生産性向上を実現できる
業務改善助成金は、要件を満たし申請を行うことで受け取れる、返済の必要がない資金です。業務改善助成金を活用することで、工作機械の購入にかかる費用を抑えながら賃上げと生産性向上を実現できます。
業務改善助成金の活用を考えている企業は、予算によって申請が締め切られる可能性があるため、早めに申請準備にとりかかることをおすすめします。
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文:髙橋みゆき
1983年生まれ。2016年よりライター・編集者。各種民間保険、介護、医療、ITなど幅広いジャンルの記事を企画・執筆。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
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