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補助金・助成金・給付金の違いとは?
特徴や代表的な制度を徹底解説
公開日:2024.10.15
補助金、助成金、給付金などの経済支援制度は、企業や個人のビジネス課題解決につながります。支援規模は大小さまざまなものがあり、実施目的も制度ごとに異なります。ただ、公的な経済支援策は中身が複雑で、制度ごとの違いもわかりづらいケースが少なくありません。
そこで本記事では、補助金・助成金・給付金の違いを解説します。それぞれ代表的な制度も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
補助金・助成金・給付金の定義と基本的な違い
補助金、助成金、給付金は、法的に定義が決められているわけではありません。ただ、一般的には以下のような特徴・違いがあります。
特徴 | |
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補助金 |
|
助成金 |
|
給付金 |
|
補助金は主に、特定の事業や活動を支援するために用いられます。国や地方自治体が政策目的を達成するために設けられ、多くの場合「経済産業省」が主管しています。申請しても必ずしも受けられるわけではなく、厳格な審査過程があるのが特徴です。
一方、助成金は主に雇用や労働環境の改善を目的としています。厚生労働省が管轄しているケースが多く、審査が設けられないのも補助金との違いです。原則として定められた要件を満たせば受給でき、企業の人材育成や働き方改革の推進などに役立ちます。
給付金は、生活支援や緊急時の経済支援を主な目的としています。個人や事業者の急な経済的困難を軽減する役割を果たし、原則として返済不要で使途に制限がないケースがほとんどです。「支援金」とほぼ同義で使われることもあります。
補助金とは
続いては、補助金の目的や代表的な制度をもう少し詳しく見ていきましょう。
補助金の目的と特徴
補助金は、国や地方自治体が特定の政策目標を達成するために、企業や団体、個人に対して交付する資金援助制度です。経済の活性化、技術革新の促進、環境保護などを目的とする制度が多く、そのような背景から基本的には経済産業省が管轄しています。
補助金の利用には、特定の政策目標に紐づく事業計画を提示する必要があります。書類審査やプレゼンテーション審査が行われ、事業計画の実現可能性や効果、申請者の能力などが評価されます。
受給のためにはそれらを通過しなくてはならず、さらに事業費の一部を申請者が負担する必要があります(全額支給されるわけではない)。
また、補助金は申請時に提出した計画に沿った使用が求められ、使途が制限されています 。不正受給防止の観点からも、補助金を受けた事業者は事業完了後に成果報告を行う義務を負います。
代表的な補助金制度
制度名称 | 特徴 |
---|---|
大規模成長投資 補助金 |
人手不足解消や生産性向上のための大規模投資を支援し、持続的な賃上げの実現を目的とした補助金です。 |
ものづくり補助金 | 中小企業の革新的な製品開発や生産プロセスの改善を支援する補助金です。 |
事業再構築補助金 | コロナ禍の影響を受けた企業の新分野展開や業態転換、事業再編などを支援します。 |
小規模事業者 持続化補助金 |
小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する補助金です。 |
IT導入補助金 | 中小企業のIT化を促進し、生産性向上を図るための補助金です。 |
省エネルギー 投資促進支援 事業費補助金 |
省エネ設備への投資を支援し、企業のエネルギーコスト削減と環境負荷低減を促進します。 |
事業承継・ 引継ぎ補助金 |
中小企業の円滑な事業承継や事業引継ぎを支援する補助金です。 |
いずれの制度も、それぞれ特定の政策目的に基づいて設計されています。申請を検討する際は、自社の事業計画と補助金の目的が合致しているか、十分に確認することが重要です。
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助成金とは
次に助成金の概要を解説します。補助金との違いや代表的な制度を確認していきましょう。
助成金の目的と特徴
助成金の主な目的は、雇用環境の改善や労働者の処遇向上などです。厚生労働省が主管し、制度を通じて労働市場の活性化や労働者の労働環境改善を図ります。
一般的に助成金は、補助金と比べて支給額が小さく、対象となる経費の範囲も限定的です。例えば、大規模投資補助金は最大支給額が50億円、ものづくり補助金の最大支給額も1億円に設定されています。一方で、生産性向上のための設備投資および賃上げを支援する「業務改善助成金」の支給上限は最大600万円です。
なお、助成金は特定の要件を満たせば原則支給され、補助金のような審査過程は基本的にありません。比較的規模の小さい中小企業や個人事業主でも利用しやすいといえるでしょう。ただし、審査が設けられることもあり、要件を満たしていても受給できないケースはあります。
代表的な助成金制度
制度名称 | 特徴 |
---|---|
キャリアアップ 助成金 |
非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を行う企業に対して支給されます。複数のコースがあり、企業のニーズに応じて選択できます。 |
人材開発支援 助成金 |
従業員の教育訓練を実施する企業に対して支給される助成金です。OJTやOff-JTなど、さまざまな形態の訓練が対象となります。 |
両立支援等 助成金 |
仕事と家庭の両立支援や女性活躍推進に取り組む企業に対して支給されます。育児休業や介護休業の取得促進などが対象です。 |
特定求職者雇用 開発助成金 |
高年齢者や障がい者など、就職が困難な求職者を雇い入れた企業に対して支給されます。 |
業務改善助成金 | 生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者に対して支給されます。 |
これらの助成金では、企業の人材育成や働き方改革の推進、多様な人材の活用などを後押しします。助成金を効果的に活用することで、人手不足解消や効率的な従業員教育をスムーズに進められるでしょう。
給付金とは
最後に、給付金の特徴を詳しく見ていきましょう。
給付金の目的と特徴
給付金は、国や地方自治体が個人や事業者に対して、特定の目的や状況下で直接的な資金を給付する制度です。新型コロナウイルス感染症が流行した際に行われた「特別定額給付金」は記憶に新しいのではないでしょうか。
ひとり親世帯や経済困窮者などに対して給付されるケースも多く、社会的・経済的な自立を支援するセーフティネットとしての役割を果たします。
そのような性質上、使途が限定されていないケースが多く、個人に直接支給されることがほとんどです。
代表的な給付金制度
制度名称 | 特徴 |
---|---|
持続化給付金 | 新型コロナウイルス感染症の影響で売上が大きく減少した中小企業や個人事業主に対して給付されました。最大200万円(個人事業主は100万円)が支給されました。 |
低所得の子育て 世帯に対する 子育て世帯生活 支援特別給付金 |
低所得者世帯を支援するため、住民税非課税世帯等に対して一定額が給付される制度です。 |
育児休業給付金 | 育児休業を取得した労働者の生活を支援するため、一定期間給付金が支給される制度です。 |
特別定額給付金 (終了) |
コロナ禍において、緊急経済対策として全国民一人当たり10万円が給付された制度です。 |
子育て世帯への 臨時特別給付金 (終了) |
子育て世帯の生活を支援するため、児童一人当たり一定額が給付される制度。物価高対策に対して、経済的負担の軽減を目的としています。 |
新型コロナウイルス 感染症対応 休業支援金・ 給付金(終了) |
新型コロナウイルス感染症の影響で休業を余儀なくされた労働者のうち、休業手当を受けることができなかった方に対して支給されました。 |
補助金・助成金・給付金を利用する際のポイント
補助金、助成金、給付金など、支援制度を効果的に活用するためのポイントをご紹介します。
申請には計画性・戦略性が大切
支援制度の申請には、十分な準備期間と具体的な計画が不可欠です。特に補助金や一部の助成金では、詳細な事業計画の提出が求められます。
まず、自社の現状を客観的に分析し、財務状況や経営課題を明確に把握することから始めましょう。そのうえで申請をする支援制度の目的と自社の計画が合致しているかを確認します。具体的かつ意欲的な数値目標を設定し、わかりやすく説得力のある事業計画を立案しましょう。
申請した事業計画に沿わないと受給できないことも
支援を受けるには、申請時に提出した事業計画に沿って事業を実施しなくてはなりません。計画との乖離が大きい場合、支給額の減額や最悪の場合は不支給となる可能性があるため注意が必要です。
ただ、外部環境の変化などで計画通りに進まないことも当然出てきます。そのような場合は、速やかに担当機関に相談し、必要な手続きをすることが大切です。なかには計画変更届を提出すれば、目標やKPIを修正できる制度もあります。
また、事業実施の証拠となる書類(発注書、請求書、領収書など)を確実に保管することも忘れてはいけません。事業終了後の報告書作成を見据えて、実施状況を詳細に記録しておくことも重要なポイントです。
実際に資金がいつ振り込まれるのかもチェック
支援金の受給タイミングは制度によって異なります。補助金や助成金制度の多くは、事業完了後の精算払いとなることがほとんどです。そのため、キャッシュフローを圧迫する可能性もあるため、申請前に支給のタイミングを確認し、自社の資金計画に組み込んでおく必要があります。
複数年度にわたる事業の場合は、年度ごとの支給スケジュールを確認し、長期的な資金計画を立てることが重要です。必要に応じて、金融機関からの融資などでつなぎ資金を確保することも検討しましょう。
適切な支援制度を活用して事業を成功に導こう
補助金、助成金、給付金など、国や自治体からの支援策は目的に合わせて活用しましょう。特に補助金や助成金は、申請から実行、報告までの各段階で、具体性のある計画と確実な実施が求められます。支援制度を単なる資金調達の手段として捉えるのではなく、事業改善や新たな挑戦の機会として上手に活用することが大切です。
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文:小林悠樹
1988年生まれ。一橋大学卒業後、食品メーカーへ入社。営業職を経験したのち、2017年にフリーライターへ転身。企業への取材記事、通信大手のオウンドメディアなどをはじめ、幅広いコンテンツを手がけています。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
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