- マシナリーお役立ちNAVI
- 補助金を活用したい
製造業のための補助金。ものづくり補助金
公開日:2024.02.21
政府や自治体が用意するさまざまな補助金の中でも、製造業のための補助金として多くの企業が活用しているものが「ものづくり補助金」です。しかし、ものづくり補助金を受けるにはいくつかのハードルを越える必要があります。本記事では、ものづくり補助金の概要とともに、補助金活用による工作機械の導入方法や申請が通りやすくなるコツをご紹介します。
目次
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金とは、生産性向上につながる革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資にかかる資金を支援する補助金のことです。
ものづくり補助金には次の5つの申請枠が用意されています。
申請枠 | 概要 | 補助上限額・補助率 |
---|---|---|
通常枠 | 革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助上限額:750万円~1,250万円 補助率:2分の1 3分の2(小規模・再生事業者) |
回復型賃上げ・ 雇用拡大枠 |
業況が厳しい事業者が賃上げ・雇用拡大に取り組むための革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助上限額:750万円~1,250万円 補助率:3分の2 |
デジタル枠 | DXに資する革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助上限額:750万円~1,250万円 補助率:3分の2 |
グリーン枠 | 温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、革新的な製品・サービス開発または炭素生産性向上をともなう生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
・エントリー 補助上限額:750万円~1,250万円 ・スタンダード 補助上限額:1,000万円~2,000万円 ・アドバンス 補助上限額:2,000万円~4,000万円 |
グローバル市場 開拓枠 |
海外事業の拡大等を目的とした設備投資等を支援。海外市場開拓(JAPANブランド)類型では、海外展開に係るブランディング・プロモーション等に係る経費も支援 |
補助上限額:3,000万円 補助率:2分の1 3分の2(小規模・再生事業者) |
出典:ものづくり・商業・サービス補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)」
表のとおり、申請枠によって対象となる事業の内容や補助金額が異なります。
また、補助の対象となる経費についても確認しておきましょう。ものづくり補助金の対象経費には次のようなものがあります。
機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 など
工作機械を導入する際には、どのような機器を何の目的で導入するのかを明確化して、自社の事業や導入予定の機器の性能などと照らし合わせ、どの申請枠を利用するかを検討するとよいでしょう。
ものづくり補助金を活用して工作機械を導入する方法
ものづくり補助金を活用して工作機械を導入するためには、いくつかのハードルを越える必要があります。
まず、補助金の申請のためには「GビズIDプライムアカウント」を事前に取得する必要があります。それに加え、申請枠ごとに定められた要件を満たさなければなりません。
また、補助の対象となる機械装置にも要件が定められています。
もっぱら補助事業のために使用される機械・装置、工具、測定工具や検査工具、電子計算機、デジタル複合機などの機器の購入、製作、借用に要した経費
企業規模にも要件が定められており、製造業では資本金3億円以下かつ常勤従業員数が300人の企業が対象です。
「通常枠」申請の要件
例として、ものづくり補助金の申請枠の一つである、通常枠の申請要件をご紹介します。
申請枠では、以下の要件を満たす「3~5年の事業計画」が必要です。
1. 給与支払総額を年率平均1.5%以上(※1)増加させる
2. 事業場内最低賃金は毎年、「地域別最低賃金+30円以上」の水準である
3. 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる
4. 交付決定日10ヶ月以内の補助事業実施期間内に、発注・納入・検収・支払などすべての手続きが完了する
(※1)被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が、制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加
申請の要件でとくに気をつけたいのが補助事業実施期間です。補助事業実施期間は、原則として延長されません。
ものづくり補助金の申請の段階で、交付決定から10ヶ月以内に完了できるよう各種業者との打ち合わせをすすめるなど、準備をしておく必要があるでしょう。
ものづくり補助金を利用するメリット
製造業を営む企業がものづくり補助金を利用することで、次のようなメリットを享受できます。
返済不要な資金の調達
補助金は、基本的に返済の必要がありません。事業にかかった経費の資金的支援として受け取れます。
ただし、申請要件を満たしていないと判断された際には、補助金の返還を求められることがあるため注意しましょう。
信用力の向上
ものづくり補助金の採択を受けるには、各種要件を満たす事業計画の策定など、厳しい要件と審査をクリアしなければなりません。ものづくり補助金の採択を受けた企業は、厳しい審査をクリアできる事業計画を有するとして金融機関などからの信用力が向上する可能性があります。
また、ものづくり補助金に採択されることで、その他の補助金の審査においても有利となることがあります。
将来像の明確化と現実的な事業計画の策定が可能
ものづくり補助金の申請の際には、「生産性向上に資する革新的な製品やサービスの開発」などをはじめ、詳細に定められた申請要件を満たした事業計画の策定が必要です。事業計画の策定に当たっては、自社の経営状況や事業内容を見直せるだけでなく、理想とする将来像を明確化できます。
自社の強みと弱みを把握しながら理想像を実現するための現実的な事業計画を策定できるのは、ものづくり補助金申請の大きなメリットといえるでしょう。
ものづくり補助金の申請が通りやすくなる3つのコツ
このように大きなメリットのあるものづくり補助金の採択を受けるために、事前に「申請が通りやすくなるコツ」を把握しておきましょう。
審査項目を確認する
事業計画書のどのような部分が審査されるのかを計画書作成前に確認します。どのような審査項目があるのかを応募要領から必ず確認しておきましょう。
ものづくり補助金の審査項目において、とくに気をつけておきたいのが次の3点です。
・技術面:革新的な製品やサービスとなっているか、課題に対する解決策が明確なものか
・事業化面:事業化までのスケジュールに問題がないか、製品やサービスに対するニーズがあるか
・政策面:国の政策に沿った事業計画か、地域経済に貢献できる事業か など
事業計画書はさまざまな視点からチェックを行い、内容に過不足がないようにします。
加点項目を意識する
ものづくり補助金の公募要領には、審査において加点される項目についても記載されています。この加点項目を把握し、加点項目が1つでも多くなるよう事業計画を策定しましょう。
ものづくり補助事業公式ホームページにて公表されているデータを見ると、加点項目が多いほど採択率も上昇していることがわかります。
イメージ:「データポータル|ものづくり補助事業公式ホームページ」
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(16次締切分)」に記載されている加点項目には、「成長性加点」「政策加点」「災害等加点」「賃上げ加点等」の4つがあります。
それぞれの概要は次の通りです。
加点項目 | 概要 |
---|---|
成長性加点 | 有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者 |
政策加点 |
・創業・第二創業後5年以内の事業者 ・パートナーシップ構築宣言を行っている事業者 ・再生事業者 など |
災害等加点 | 有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者 |
賃上げ加点等 |
・女性活躍等の推進を行う事業者 ・被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち二に適用に取り組んでいる場合 など |
視認性の高い事業計画書をつくる
必要に応じて写真や図表を挿入して、わかりやすく伝わりやすい事業計画書をつくります。文章による説明だけでは、読みづらく理解されない可能性があるため注意が必要です。視認性の高い事業計画書は専門知識を有さない審査員にもわかりやすく、採択の可能性の向上が期待できます。
申請前に知っておきたい!ものづくり補助金活用の注意点
申請前に、補助金活用の際の注意点を把握しておくことも重要です。
各種補助金は、適宜内容が更新されています。対象となる経費が変更された、申請の枠組みに変更があったなどがあれば、活用したい補助金を申請できないことがあるため注意しましょう。
補助金の申請前にはもちろん、事業計画の作成中にも「ものづくり補助事業公式ホームページ」の更新状況を定期的にチェックすることをおすすめします。
ものづくり補助金の5つの申請枠のうち、自社に適するものはどれかを十分に検討することも重要です。申請枠に迷ったときには、商工会や商工会議所、補助金申請のサポートを行う企業など、ものづくり補助金に精通する専門家に相談してみましょう。
なお、過去3年間に2回以上ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業の交付決定を受けた事業者は補助の対象外です。過去に補助金を活用している企業は、「どの補助金を」「いつ利用したのか」、ものづくり補助金の申請前に再度チェックしましょう。
的確な事業計画書の作成で採択の可能性をアップさせよう
リスクのない資金調達や信用力の向上にもつながるものづくり補助金の採択をうけるためには、公募要領に即したわかりやすい事業計画書をつくる必要があります。
自社だけでは作成が難しい場合には、専門家の支援を受ける方法もあります。自社の将来にもかかわる事業計画書を作成する前に、商工会や商工会議所のほか、補助金申請のサポートを行う企業の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
-
文:髙橋みゆき
1983年生まれ。2016年よりライター・編集者。各種民間保険、介護、医療、ITなど幅広いジャンルの記事を企画・執筆。
-
編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
https://eggo.jp/
- 時短加工したい
- 加工時間を短縮して高効率&生産性アップ
- ブラザーホーム
- 製品情報
- 工作機械
- マシナリーお役立ちNAVI
- 製造業のための補助金