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【中小企業向け】事業再構築補助金第12回公募の概要と注意点
公開日:2024.05.21
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス対策として設けられた補助金制度で、第12公募は2024年7月26日が締め切りです。ポストコロナ・ウィズコロナ時代への移行を受けて、公募要領もこれまでと大きく変更されています。
この記事では、2023年4月に公募が開始された事業再構築補助金第12回公募の概要をお伝えするとともに、申請にあたっての注意点を解説します。補助金を活用した新事業展開を検討中の事業者は、ぜひ参考にしてください。
INDEX
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響が長引くなか、中小企業の思い切った事業再構築を支援する経済産業省の補助制度です。第12公募では新分野展開や業態転換など、ポストコロナ・ウィズコロナ時代に適応するための取り組みを後押しすることを目的としています。
中小企業だけでなく中堅企業(資本金10億円未満、従業員数2,000人以下など)も対象であり、事業再構築に必要な設備投資や人材確保などにかかる費用負担を軽減できるのが特徴です。
大きく以下の3つの枠が設けられ、さらにそこからいくつかの類型に申請枠が分けられています。
-
成長分野進出枠:事業再構築をこれから行う事業者を支援
- 通常類型:成長分野への大胆な事業再構築に関する取組を支援
- GX進出類型:グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を支援
-
コロナ回復加速化枠:今なおコロナの影響を受ける事業者を支援
- 通常類型:コロナ禍の債務借り換えを行っている事業者を支援
- 最低賃金類型:最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者を支援
- サプライチェーン強靱化枠:国内サプライチェーンの強靱化に資する取組を支援
事業再構築補助金第12回公募の概要
続いてはもう少し具体的に事業再構築補助金第12回公募の内容を見ていきましょう。締め切りや基本要件、補助金額などをお伝えしていきます。
公募期間
令和6年4月23日(火)~令和6年7月26日(金)18:00
補助対象
補助対象は、日本国内に本社を有する中小企業者および中堅企業です。株式会社や合同会社のほか、個人事業主や士業に関する法人(弁護士法人や行政書士法人など)、協同組合、連合会などの団体も条件を満たせば申請が可能です。
また、補助の対象となる経費には以下のようなものがあります。
- 建物費(建物の建築・改修等)
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費(知的財産権導入に要する経費)
- 外注費(加工、設計等)
- 広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
- 研修費(教育訓練費等) など
基本要件
申請枠に限らず、基本的な要件は大きく以下の3点です。
- 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
- 事業計画について金融機関等(銀行、信金、ファンドなど)や認定経営革新等支援機関の確認を受けること
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3~5%(事業類型により異なる)以上の増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3~5%(事業類型により異なる)以上の増加の達成
なお、1.の事業再構築の定義は以下の6類型を指し、補助金申請をする取り組みがいずれかに該当する必要があります。
- 新市場進出(新分野展開、業態転換)
- 事業転換
- 業種転換
- 事業再編
- 国内回帰
- 地域サプライチェーン維持・強靱化
また、基本要件にくわえて、事業類型ごとに個別の要件も設けられています。申請する枠に応じて、しっかりと要件を確認することが大切です。
事業準備から事業終了までの流れ
準備から補助金採択、事業終了までの流れは以下の通りです。
- 事前準備
- 課題の把握
- 新規事業の検討
- 公募申請期間
- 公募要領公開
- 電子申請
- 交付候補者決定
- 補助事業の実施
- 交付決定
- 補助事業の実施
- 補助事業実績報告
- 補助額の確定・請求・支払い
- 3~5年間事業計画実施期間
- 事業化状況報告(3~5年間)
応募締切は2024年7月26日に設定されているので、申請を考えているのであれば早急に準備を進めましょう。採択発表は2024年10月下旬~11月上旬に予定されており、交付決定されたら補助事業を実行していきます。
事業類型の概要(概要・補助金額・補助率)
ここではそれぞれの事業類型について、詳しい内容を見ていきましょう。
●成長分野進出枠(通常類型)
項目 | 要件 |
---|---|
概要 |
|
補助金額 |
【従業員数 20 人以下】100 万円~1,500 万円(2,000 万円) 【従業員数 21~50 人】100 万円~3,000 万円(4,000 万円) 【従業員数 51~100 人】100 万円~4,000 万円(5,000 万円) 【従業員数 101 人以上】100 万円~6,000 万円(7,000 万円) ※1 ()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 ※2 廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ |
補助率 |
中小企業者等 1/2(2/3) 中堅企業等 1/3(1/2) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
●成長分野進出枠(GX進出類型)
項目 | 要件 |
---|---|
概要 |
|
補助金額 |
中小企業者等: 【従業員数 20 人以下】100 万円~3,000 万円(4,000 万円) 【従業員数 21~50 人】100 万円~5,000 万円(6,000 万円) 【従業員数 51~100 人】100 万円~7,000 万円(8,000 万円) 【従業員数 101 人以上】100 万円~8,000 万円(1億円) 中堅企業等: 100 万円~1 億円(1.5 億円) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
補助率 |
中小企業者等 1/2(2/3) 中堅企業等 1/3(1/2) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
●コロナ回復加速化枠(通常類型)
項目 | 要件 |
---|---|
概要 |
|
補助金額 |
【従業員数 5 人以下】100 万円~1,000 万円 【従業員数6~20 人】100 万円~1,500 万円 【従業員数 21~50 人】100 万円~2,000 万円 【従業員 51 人以上】100 万円~3,000 万円 |
補助率 |
中小企業者等 2/3(※1) 中堅企業等 1/2(※2) ※1 従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600 万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は 1,200 万円までは 3/4 ※2 従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600 万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は 1,200 万円までは 2/3 |
●コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
項目 | 要件 |
---|---|
概要 |
|
補助金額 |
【従業員数 5 人以下】100 万円~500 万円 【従業員数6~20 人】100 万円~1,000 万円 【従業員数 21 人以上】100 万円~1,500 万円 |
補助率 |
中小企業者等 3/4(※ 一部 2/3) 中堅企業等 2/3(※ 一部 1/2) ※コロナで抱えた債務の借り換えを行っていない者の場合 |
●サプライチェーン強靱化枠
項目 | 要件 |
---|---|
概要 |
|
補助金額 | 中小企業者等、中堅企業等ともに 1,000万円~5億円 |
補助率 |
中小企業者等 1/2 中堅企業等 1/3 |
補助金額や補助率などは申請枠ごとに異なり、応募要件もそれぞれ設定されています。詳しくは公募要領をご覧ください。
公募要領(サプライチェーン強靱化枠を除く) 公募要領(サプライチェーン強靱化枠) ※「事業再構築補助金」のサイトへリンクします
事業再構築補助金第12回公募の申請時の注意点
事業再構築補助金第12回公募では、申請にあたっていくつかの重要な注意点があります。スムーズに申請を進めるためにも、以下の点に留意しましょう。
申請にはGビズIDの取得が必須
事業再構築補助金の申請は、オンラインでのみ受け付けています。申請にはGビズIDが必要になるため、早めに取得しておくことが大切です。オンライン申請なら最短即日発行されますが、書類郵送の場合は1週間程度の時間を要します。申請期限の延長は一切認められないため、余裕をもって手続きを進めましょう。
事前着手制度が廃止になった
第11回公募までは、一定の条件の下で交付決定前に事業に着手することが認められていました(事前着手制度)。しかし、第12回公募では原則として事前着手制度が廃止されています。補助金の交付決定前に事業を開始してしまうと、その事業は補助対象外となってしまうことがあるので注意が必要です。ただし、第10回・11回公募の一部の類型で不採択となった事業者については、引き続き事前着手が可能な場合もあります。
審査のポイント
事業再構築補助金の審査では、事業計画の適格性や実現可能性が重要なポイントとなります。新規事業の有望性や、事業再構築の必要性・効果について、具体的な数字を用いて説明することが求められます。補助事業終了後3〜5年で達成すべき付加価値額や従業員一人当たり付加価値額の伸び率についても、しっかりとした根拠を示しましょう。また、書面審査を通過すると、オンラインでの口頭審査も行われます。
オンライン説明会への参加について
補助金交付候補者として採択された事業者は、事務局が実施するオンライン説明会への参加が義務付けられています。説明会では、交付決定に向けた具体的な手続きや注意点などの説明が行われる予定です。参加しない場合は、説明会最終開催日をもって自動的に採択が取り消されるため、必ず出席するようにしましょう。
【参考】事業再構築補助金の採択率
事業再構築補助金11回公募の採択率は26.5%でした。第10回は約48%、第9回は約45%だったので、11回公募では採択事業者がかなり絞られています。12回公募の採択率は不透明ですが、いずれにしても事業計画の適格性や実現可能性について数字などを用いて具体的に示すことが重要です。
事業再構築補助金第12回公募を活用して事業拡大を目指そう
事業再構築補助金第12回公募では、ポストコロナ時代に向けた事業再構築の取組に対して補助金を利用できます。
11回公募から申請枠が大幅に変更されているので、自社の状況や事業に合わせて申請を行いましょう。採択に向けては、新規事業の将来性や付加価値増加の見込みを適切に示すことが欠かせません。
提出資料の作成や応募には時間がかかるので、早めに準備を進めましょう。ぜひ補助金をうまく活用し、自社の強みを生かした新分野へチャレンジしてみてください。
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文:小林悠樹
1988年生まれ。一橋大学卒業後、食品メーカーへ入社。営業職を経験したのち、2017年にフリーライターへ転身。企業への取材記事、通信大手のオウンドメディアなどをはじめ、幅広いコンテンツを手がけています。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
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