Interview 035
UNIQLO
誰もが知るブランドが提案する、
あなただけの個性。
Jun 22, 2022
老若男女問わず、多くの人から愛されるアパレルブランド・ユニクロ。一部店舗では、商品を自由にカスタマイズできる「マイユニクロ」というサービスを提供しています。今回はユニクロ銀座店にお邪魔し、マイユニクロのひとつであるオリジナル刺しゅうサービスについてお話を伺いました。
ーーマイユニクロではどんなことができるのか教えてください。
現在は、主に3つのサービスを展開しています。スマートフォンで作ったデザインをTシャツやバッグなどにプリントできる「UTme!」、手描きのイラストをスキャンして作成した転写シートを使ってプリントする「スキャンカットサービス」、そしてお好みの刺しゅうを入れることができる「オリジナル刺しゅうサービス」です(写真上から1枚目)。コラボレーション商品やインナーなどの薄い素材のものは難しいのですが、それ以外のユニクロの商品であれば基本的にはどんなものでも刺しゅう加工ができます(写真上から2枚目)。
※刺しゅうのデザインや入れる場所によっては、綺麗に仕上げることができないのでお断りする場合もあります。
UTme!、スキャンカット、刺しゅうの3つに、お洋服のお直しも含めたカスタマイズサービスのフルラインナップが揃っているのは銀座店のみになりますが(写真上から3枚目)、刺しゅうサービス自体は全国10店舗で対応しています。
ーー刺しゅうとプリントサービス、それぞれの使い分け方などはありますか。
会社やお店、イベントやサークルなどのチームウェアを作るときにマイユニクロを活用いただくことがよくあるのですが、お客様の用途や入れたいデザインによって適したサービスをご案内するようにしています。刺しゅうの場合はプリントに比べて色があせたり取れたりすることが少ないため、毎日洗濯するようなユニフォームに向いています(写真上から4枚目)。また、高級感があるので、洗練されたデザインにしたいときにも良いですね。
一方で、単発でのイベントのときにはよりお手軽に作れるプリントサービスが合っていると思います。UTme!は豊富な種類のスタンプの中から好きなものを選ぶだけだったり、スマートフォンに入っている写真をそのままプリントできたりするので、あっという間にオリジナルアイテムを作ることができます。また、スキャンカットサービスを使えば、お子様の手描きの絵などを商品に入れられるので、記念品や思い出の品を作りたいときなどにおすすめです。
ーーこれらのサービスはいつ頃から始まったのでしょうか。
2013年9月に、銀座店、ビックロ新宿東口店、池袋東武店の3店舗でスタートしました。『「あなただけのユニクロ」を提案していく』をコンセプトに、あらゆるお客様のニーズに応えることを目的としており、今も実施している刺しゅうとスキャンカットの他に、商品にパーツを付ける加工サービスも行なっていました。レーステープやラインストーン、スタッズ、ボタン、ワッペンなどバラエティ豊かなパーツをご用意しており、始まった当初はたくさんのお客様に興味を持っていただいて、ご注文から数か月待ちなんてこともありました。
ーー刺しゅうサービスを始めるにあたり、大変だった点はありますか。
エアリズムやウルトラライトダウン、ブロックテックなど、ユニクロ商品に使われている様々な素材で刺しゅうを試しました。Tシャツひとつとってもたくさんの種類があるので、素材や刺しゅうのデザインによって加工方法を変えなければいけない点が何よりも苦労しましたね。もちろん失敗も数知れずですが、多くのお客様からのご要望をお受けできるようチャレンジを重ねてきました。
たとえば、伸縮性のある生地に刺しゅうをするときには水溶性のハイセロンというフィルムを使ったり、接着芯の貼り方や刺しゅう枠をはめるときの強度を調整したり、縫製のスピードや刺しゅうデータの縫い方を編集することもあります。また、既製の服への加工なので、物理的に難しい位置のときや、袖やジーンズなどの筒状の商品に刺しゅうするときは手間がかかります(写真上から5枚目)。ただ、なにしろ仕上がりを楽しみに待ってくれているお客様へ満足のいく刺しゅうを提供したいので、日々チームみんなで試行錯誤しています。
ーー膨大な数の商品を取り扱っているからこその苦労ですね。オリジナルの刺しゅうデザインは、どれぐらいあるのですか。
マイユニクロに対応している全店舗で展開しているデザインは、約160種類あります。銀座店は他の店舗に比べるとお客様の年齢層が高いため、大人も楽しめる限定デザインを約40種類用意しており、合計200種類以上の中からお好きなものを選ぶことができます(写真上から6枚目)。特にアーティストさんがデザインしたコラボの刺しゅうは色使いも綺麗で、大人のお客様から多くご注文をいただいています。
お子様向けには、乗り物や動物、恐竜、すみっコぐらしなどのキャラクターのデザインが人気です。子供向けの商品は幼稚園や保育園、学校などでアイテムが被ってしまうことが多いのですが、刺しゅうを入れることで一目で自分のものと判別できるため、そういった理由で取り入れる親御さんもかなりいらっしゃいます(写真上から7枚目)。
ーー刺しゅうサービスを利用されているお客様は、どんなところに惹かれているのでしょうか。
一番はやはり、自分だけのオリジナルアイテムを作れるという点です。店頭でも皆様たくさん悩んで刺しゅうのデザインを決めているので、そのお洋服に対しての思い入れも変わってくると思います。
また、その場で買った商品だけでなく、以前購入したユニクロ商品にも加工することができるので、しばらく着て飽きてしまった洋服や、お子様のお下がりなどに刺しゅうを入れることで、まるで洋服が生まれ変わったかのような気持ちで再び楽しむことができます。洋服に対する環境負担が叫ばれている昨今ですので、こういったサービスを活用いただくことでサスティナブルな活動につなげていけたら良いなと考えています。
ーー今まで刺しゅうサービスを行なっている中で、印象的なエピソードがあれば教えてください。
服の身頃全面に、ハートやお花を散りばめたデザインの刺しゅうを入れたお客様が最も印象に残っています。目立つようにそのようなデザインをマネキンなどのディスプレイに出すことはよくあるのですが、そうすると同じようなデザインでのご注文が入ることもありますね。刺しゅうは基本的に1か所500円~でお受けしているのですが、ときには2,000円ほどの商品に対して10,000円以上の刺しゅうを入れる方もいらっしゃいます。売り場で接客をしながら加工するので3時間以上かかってしまうこともあるのですが、こちらとしても加工し甲斐があり、仕上がったあとの達成感もひとしおです。
ーーこれから初めてマイユニクロを利用される方へのアドバイスをお願いいたします。
Tシャツや羽織ものなど、最初は気軽にお試しで入れる方が多いです。興味はあるけど洋服に入れるのに抵抗があるという方は、まずはトートバッグですとチャレンジしやすいと思います(写真上から8枚目)。ご近所へのお買い物バッグやお弁当用のランチバッグ、またワンちゃん柄の刺しゅうもあるのでワンちゃんのお散歩用バッグとして作られる方もよくいらっしゃいます。そして、何よりも最適なのがギフトです。贈る方のイニシャルや好きな柄を入れることができるので、そのまま贈るだけよりもさらに心のこもったプレゼントとしておすすめです。
今後も時世に合わせて、お客様のニーズに沿ったサービスを展開していきたいと考えているので、ぜひ利用してみてくださいね。
text:藤枝梢 photo:中矢昌行
取材後記
ユニクロさんの刺しゅうサービスを知ったのは、久しぶりに会った友人との会話がきっかけでした。
お話の中にもでてきたのですが、小さなお子さんがいる家庭では、まだ文字が読めなかったり、自分の目印になるようなものがあることがとても大事で、保育園などで自分の服を間違えないようにと、すきなキャラクターの刺しゅうを入れたもらったら、間違えることもなく、愛着がわいて、その服をいつも子供が着たがるんだよっと友人が話してくれました。
その話を聞き、マイユニクロのサービスに興味を持ったのですが、詳しく聞くと、本当にお客様のご要望にお応えしたい!っという意気込みや想いにあふれていて、刺しゅうっていいなぁっと誇らしくなりました。
わたしも刺しゅうミシンを使うことがあるのでわかるのですが、刺しゅうを入れる場所や素材によって細かな調整が必要です。
だから、その希望に応えるというのはとても緊張するし、経験値がものを言うのだと思います。
ここまで多くの方に提供するまでにたくさんのご苦労があったと思いますが、『より自分のものになる』ことや『より愛着がわく』『同じ服なのに、ちがった服に生まれ変わる』といった喜びをプラスしてくれるすてきなサービスだと思います。
自分もお願いしてみたいし、大切な人におすすめしたいなと思いました。
atsumi
Information
ユニクロ 銀座店
東京都中央区銀座6-9-5ギンザコマツ東館1-12F
11:00-21:00
刺しゅうを知る、楽しむ、新しいきっかけを
刺しゅうはきっと、普段の生活に関わるもののなかにひとつはあって、一度は触れたことがある、とてもありふれたもの。しかし、時に記憶の奥深くに残ったり、ものに対する想い入れを強くしたりもする、ちょっと特別なものでもあります。
どうして刺しゅうに惹かれたの?
SeeSew projectは、刺しゅうの作品をつくったり、ライフスタイルに取り入れたりしているクリエイターの方々にそんなことを聞き、改めて刺しゅうがもつ魅力を探るために立ち上げたプロジェクトです。幼い頃にお母さんからもらったもの、お子さんに施してあげたもの、親しい人からプレゼントされたもの。あなたの身近にありませんか?SeeSew projectで話をうかがった方々は意外と、何気ないことを機に刺しゅうに魅了されているようです。