Report 002

Liniere Workshop

liniere-workshop

atsumiさんによる、
リンネル主催イベントでのワークショップレポート。

Jul 20, 2018

今回は先日、表参道ヒルズで開催された、雑誌『リンネル』主催のイベント「心地よい暮らしフェスタ2018」でのワークショップレポートをお届けします。イベント全体でフィーチャーされたのはパン。それにあわせバゲットを入れられるバッグに、atsumiさんが今回のために新たにデザインしてくれた刺しゅう模様を施すという内容に。現在、その模様がダウンロードできるキャンペーンを行っていますので、そちらもあわせてチェックしてみてください。


――今回もバッグをつくるワークショップでしたが、テーマがとてもユニークでしたね。バゲット用のものというアイディアはすぐに思いついたのでしょうか?

まず、暮らしのなかにあったら嬉しいのだけれども、実は皆さんがあまりもっていないものにしたいという気持ちがありましたね。私自身、バゲットなどの大きなパンを購入したあと、置き場に困ることがあったんです。お店の袋のままだと味気ないですし、保管ができて、キッチンのどこかにぶら下げられて、彩りにもなる。そう考えていった結果、バゲット用のバッグという考えに至りました。パン以外にも、ちょっと隠しておきたい細長いもののカバーとしても使えますし、あまりない形だからこそ、別の用途にも活かせると思ったんです。

――新たにデザインして頂いたパンをモチーフにした書体の刺しゅう模様も、可愛らしかったです。とても細かなつくりなのに、ひと目で「BREAD」と読むこともできる。

イベントのテーマが明確だったので、それをうかがった瞬間、ピン!とアイディアが思いついたのですが、可読性をもたせながら可愛いものにもするために、模様に落とし込む調整に結構、時間をかけましたね。幅広い好みの方がいらっしゃると思ったので、色を自由に選べるよう、あえて一色の模様にしたことも、結果的によかったと思っています。

――今回の参加者はどんな方が多かったですか?

お召しになっている洋服や持ち物、雰囲気も様々な方にご参加頂いた印象ですね。そのおかげか、色んな糸の色のバリエーションを見ることができて、教える側としても楽しかったです。皆さんが刺しゅうミシンを扱うのがはじめてだったようで、最初は少し緊張されていたみたいでしたが、作業を進めるうちに、近くの方同士お話しされたり、見せあったりして、和やかな雰囲気になっていきました。それと同時に、ミシンに対して感心している表情を見ることもできて、その時しかない、特別な空間にいれて私も幸せな気持ちになりました。

――確かに。皆さんがあまり戸惑うことなく、着々と作業を進めていましたね。

一色なので、糸替えの工程(刺しゅう模様の種類によって、使う糸の数が異なる)がなかったというのも大きかったかもしれません。これまでparieを使用したワークショップを何度かやらせて頂いていますが、糸替えでつまずく人が多かったんです。初心者の方でも不安なく楽しめることを示せた、いいきっかけになったと思います。

――そこから、手刺しゅうを加えてみよう、別の模様も試してみようという気持ちを生み出せると、さらにいいですよね。

そうですね。今回はとても時間がタイト(1時間半程度)だったので、ミシンを扱って頂くだけに留めたのですが、もし、また別の機会があれば、手刺しゅうを施して自分オリジナルの作品をつくるという、さらなる喜びを味わってもらいたいな、と。ワークショップは色んな人と同時に作業するからこそ楽しい。お互いが刺激しあうことで、よりよいものをつくりたいと思うようになります。そういう場をこれからもつくっていきたいですね。
 

text:大隈祐輔 photo:山田薫


atsumi

刺しゅう作家。多摩美術大学卒業後、アパレルメーカー、同大学に勤務ののち刺しゅう作家としての活動をはじめる。刺しゅうをベースとした作品で個展を開催するほか、異素材を扱う作家・企業とのコラボレーションワークやアニメーションへの素材提供・装画制作、ワークショップなどの活動をしている。著書に『刺繡のエンブレム』『ことばと刺繡』『刺繡のエンブレム AtoZ』(以上は文化出版局)『刺繍のいろ』(BNN 新社)、『刺繡のはじめかた』(マイナビ出版)などがある。

https://www.itosigoto.com