Product Info 003
About embroidery frame
ミシン刺しゅうを綺麗に仕上げる、
要の刺しゅう枠。
January 20, 2022
ミシン刺しゅうをする際には刺しゅう枠が欠かせません。元々ミシンに付属していた刺しゅう枠をそのまま使っている方も多いですが、刺しゅうの図案や生地に合わせて適切な刺しゅう枠を選ぶと、出来上がりも一段と違ったものになります。今回はブラザー東京ショールームにて、新しく発売されるマグネット枠を中心に、それぞれの刺しゅう枠の特徴と使い方について教わりました。
―― 本日は用途やサイズ違いの刺しゅう枠をいくつか用意していただきましたが、刺しゅう枠はどのように選ぶのがいいのでしょうか?
基本的には、刺しゅうする図案のサイズに合わせて選ぶのが良いと思います。図案に対して小さい刺しゅう枠では縫製ができませんし、かと言って大きすぎる刺しゅう枠を使うと、刺しゅうをしているうちに生地がずれてしまう恐れがあります。刺しゅう枠の場合、「大は小を兼ねる」とは一概にはならないので、ちょうどいいものを選んで使うようにしてください。
―― 新たにマグネットの刺しゅう枠(※1)が販売されるんですよね。どういった経緯で生まれたのでしょうか?
ミシン刺しゅうを綺麗に仕上げるには枠張りが一番大事なので、「より張りやすい枠を作ろう」という想いから開発が始まりました。元々業務用のミシンの方で「マグネットの刺しゅう枠が欲しい」という要望があったのですが、今回のマグネット枠はそれから派生して家庭版のミシン用として誕生したものです。
サイズは18×13cmで汎用性の高い大きさです。マグネット部分の幅が必要になるため、同サイズの普通の刺しゅう枠に比べると全体的に少し大きいつくりになっています。
―― これまでの刺しゅう枠との違いを教えてください。
一般的な刺しゅう枠はネジをゆるめて布をグッと押し込むのですが、このときに張りが甘いと途中で取れてしまうことがあります。適度な力を込めて枠をはめる必要があるのですが、あまり力を入れすぎると枠が割れそうで怖いという不安もあるし、きつく締めすぎても良くないので慣れるまで塩梅が難しいと感じる方もいらっしゃいます。
その点、マグネット枠は生地の上からしわを伸ばすようにスーッと持っていくだけなので、とてもスマートにできます(写真上から2枚目)。パーツを近づけると磁石の力で自然とひかれて、バチンとくっ付くので余計な力はいりません。セットする場所を選びませんので、大きい生地でも難なく張ることができますよ。磁石が強力なので、指を挟まないようにだけ気を付けてもらえればと思います。
それと、マグネット枠は普通の刺しゅう枠と比べて、挟んだ跡がつきにくいのも特長のひとつです。固いデニム生地などはアイロンをかけても跡が少し残ってしまうこともあったのですが、マグネット枠だと目立たないですし、挟んだところだけでなく引っ張られてできた周りの布のしわもほとんどありません(写真上から3枚目)。
―― こちらの枠も他の枠とは少し形状が違いますね(写真上から4枚目)。何か特別な用途があるのでしょうか?
こちらはボーダー枠(※1)という名前で、スカートやテーブルクロスなどの生地の端に連続した柄の刺しゅうを施すときに大活躍の枠になっています。柄をリピートさせる場合、繋がり部分が綺麗に見えるように刺しゅう枠を水平に移動させなければならず、細心の注意が必要です。普通の刺しゅう枠だと、「綺麗に繋がっているように見えても、枠を外したら少しずれていた」なんてこともあるのですが、ボーダー枠はスライドさせるだけなので、簡単に真っすぐ張ることができるんです。
図案の角端の印に針の位置を合わせて、繋がり具合を確認しますが、ある程度長さがあるときは、さらに中心に1本線を引いて曲がっていないか確認すると安心だと思います。
―― こんなに小さい刺しゅう枠もあるんですね!
お子様の持ち物に名前を入れるときなどに使われるので、名前枠(※2)と呼んでいます(写真上から5枚目)。トートバックやTシャツなど既に縫製されているものに刺しゅうをする場合は、裏の生地まで刺さないように刺しゅう枠の位置と周りの布を調整しなければいけないのですが、これぐらい小さいサイズだと動かしやすくて便利ですよ。
何かに刺しゅうを入れたいとなったときに、日本ではワンポイントのサイズ感を好む方が多いので意外とちょうどいい大きさなんです。アメリカの方などは大胆な刺しゅうをすることもありますが、日本人は控えめな方がいいという考えが多数派なので(笑)。
―― 最後のものは正方形(※1)ですが、こちらも専用の用途があるのでしょうか?
こちらは、パッチワークキルトの作品に刺しゅうを施す際に使われることが多いです(写真上から6枚目)。キルトは布を全てつなぎ合わせてから、綿を挟んで最後に刺しゅうを入れることも多いのですが、昔からよくある四角つなぎのキルトは、縦長の枠を使うとイメージが付きづらいんです。張り具合によってはどちらかに寄ってしまうこともあるけれど、正方形なら寄ってしまっても均等になるので見た目も美しく仕上げることができますよ。
※1.対応機種でご使用いただけます。
※2.ミシンによっては別売りになります。
text:藤枝梢 photo:中矢昌行
Information
テキストの中で紹介した刺しゅう枠は、ミシン販売店でご購入いただけます。
また、ディズニーモデルの新しいミシンも発売します。内蔵のディズニー刺しゅうデータは100種類!無線LANに接続できるので、刺しゅうデータの転送が簡単に行えます。
刺しゅうを知る、楽しむ、新しいきっかけを
刺しゅうはきっと、普段の生活に関わるもののなかにひとつはあって、一度は触れたことがある、とてもありふれたもの。しかし、時に記憶の奥深くに残ったり、ものに対する想い入れを強くしたりもする、ちょっと特別なものでもあります。
どうして刺しゅうに惹かれたの?
SeeSew projectは、刺しゅうの作品をつくったり、ライフスタイルに取り入れたりしているクリエイターの方々にそんなことを聞き、改めて刺しゅうがもつ魅力を探るために立ち上げたプロジェクトです。幼い頃にお母さんからもらったもの、お子さんに施してあげたもの、親しい人からプレゼントされたもの。あなたの身近にありませんか?SeeSew projectで話をうかがった方々は意外と、何気ないことを機に刺しゅうに魅了されているようです。