Story006
atsumi with brother
そのままでも、一部だけでも。
自由に刺しゅうを楽しめる図案。
December 20, 2023
刺しゅうデータをダウンロードできるサービス「ハートステッチズ」に、刺しゅう作家atsumiさんがデザインした新しい模様が加わりました。パーツに分かれたデザインは、そのまま刺しゅうするだけでなく、写真のように組み合わせて枠のように使うこともできるそう。刺しゅうミシンの機能を活用することで様々な楽しみ方ができる今回の図案について、atsumiさんにお話を伺いました。
―― ハートステッチズで毎年新しい刺しゅうデータをリリースしているatsumiさん。6回目になる今回の図案は、どのように考えられたのでしょうか。
これまで作ってきたものとはちょっと違うもので、色々な使い方ができるものというのが、私が図案を作成するときの根本にあります。ブラザーさんと話している中で、刺しゅうミシンのタッチパネル上で図案の組み合わせやレイアウトを変えたり、模様を回転させたりできる機能があるということを伺い、今回はその機能を活かしたデザインにできないかというところから考え始めました。
※刺しゅう編集機能の詳細はこちらをご確認ください。
※刺しゅうミシンの機種によって、刺しゅう編集機能を搭載していないものもございます。
―― 特別なソフトなどがなくても、ミシン上で好きに図案を編集できることで創作の幅が広がりますね。なぜ花をモチーフに選んだのでしょうか。
刺しゅうの図案としてやはり花は人気で使いやすいですし、前向きで明るい感じのデザインにしたく、花や鳥、蝶々を組み合わせています。元の図案を特に変更せず使ってもいいですし、トートバッグのサンプルのようにひとつのパーツを切り取ってもかわいくなるように意識して作りました(写真上から1枚目)。
―― そのままでも完成されているけれど、人によって自由に楽しめる図案になっているのですね。
最初は組んだときに丸い形になるようにしようかとも思ったのですが、それぞれのパーツが曲線状だと組み替えるのが難しいため四角になりました(写真上から2枚目)。横に並べて一列のラインにしたり、作例写真でいう角の部分を切り取って鍵括弧のように使うこともできます。私は手刺しゅうをしているので自分で刺しゅうを追加できるように、四角の中は空白にしました。
ボーダーのTシャツは、お母さんがひと手間かけて子どものイニシャルを入れたというイメージです(写真上から3、4枚目)。小さい子は特に洋服が被りやすいという話を友人からよく聞くのですが、シンプルで見分けがつきづらいアイテムの目印として、刺しゅうを取り入れてほしいと思っています。お子さん自身にとっても刺しゅうが入っていることで、「これが私の洋服だ」という意識が芽生えるいいきっかけになりそうですしね。クッションは大人向けの想定で、元の色より落ち着いた色味を選びました(写真上から5枚目)。
―― 切り取る箇所や糸の色によって、大分印象が変わりそうですね。atsumiさんはどのように刺しゅうデータを作成しているのですか。
まずは手描きでスケッチをしてからパソコンに取り込み、イラストレーターでデータを作成します。できたデータを刺しゅうPROで開いて、刺しゅう用のデータに変換しています(写真上から6枚目)。ステッチの種類も豊富で、同じ図案でもステッチが違うだけで雰囲気がガラリと変わるので、細かく設定していきます。今回ご紹介した刺しゅう編集機能で図案を調整するだけでは物足りないという方は、刺しゅうPROを使ってオリジナルの刺しゅうデータを自分で作ってみるのもおすすめですよ。
※刺しゅうPROについては、こちらの記事でもご紹介しています。
text:藤枝梢 photo:中矢昌行
Designed by atsumi
atsumiさんがデザインした新たな刺しゅう模様は、「ハートステッチズ」でダウンロード可能です。
※会員登録後、有料での販売となります。
刺しゅうを知る、楽しむ、新しいきっかけを
刺しゅうはきっと、普段の生活に関わるもののなかにひとつはあって、一度は触れたことがある、とてもありふれたもの。しかし、時に記憶の奥深くに残ったり、ものに対する想い入れを強くしたりもする、ちょっと特別なものでもあります。
どうして刺しゅうに惹かれたの?
SeeSew projectは、刺しゅうの作品をつくったり、ライフスタイルに取り入れたりしているクリエイターの方々にそんなことを聞き、改めて刺しゅうがもつ魅力を探るために立ち上げたプロジェクトです。幼い頃にお母さんからもらったもの、お子さんに施してあげたもの、親しい人からプレゼントされたもの。あなたの身近にありませんか?SeeSew projectで話をうかがった方々は意外と、何気ないことを機に刺しゅうに魅了されているようです。