Interview 010

Cat’s Issue 坂本美雨

sakamoto sakamoto

つくった人の思いが伝わる、
刺しゅうは素敵な文化。

Jun 5, 2018

刺しゅうの魅力や惹かれた理由を聞く連載インタビュー。第十回目は、ミュージシャンの坂本美雨さん。第九回でご登場いただいた「Cat’s ISSUE」の太田メグさんとも親しく、無類の猫好きとしても知られています。坂本さんの愛猫、サバ美がモチーフの刺しゅう模様も、このページの最後に紹介していますので、是非あわせてチェックしてみて下さい。


——前回ご登場いただいた太田メグさんが主宰する「Cat’s ISSUE」では、坂本さんの愛猫サバ美さんがモチーフになった色々なグッズがありますね。

2013年の立ち上げの頃からイベントに出たり、サバ美もキャラクターとして登場したりして深く関わってきました。「Cat’s ISSUE」をきっかけに夫とも出会ったんですよ。それから娘が生まれて。まさに「Cat’s ISSUE」が私の家族を引き寄せてくれました。

今は、アフタヌーンティ リビングのコラボレーションシリーズ「Cat’s Nap Time」にもサバ美が登場して、色々なグッズになっています。売り上げの一部は猫の保護活動を支援するために使っています。

——ご家族が増えてから、サバ美さんとの関係はいかがですか?

結婚して、娘ができて、サバ美との関係は変わりました。時間的にも存在の大きさ的にも子どもと過ごすことが多くなりましたから。前ほどかまうことができなくなってしまったり、娘が赤ちゃんの時はサバ美のほうが遠慮している感じもありました。

でも、夫ができた時も、引っ越しする時も、娘が生まれた時も、人生の転換期を一緒に迎えたのはサバ美なんです。そうやって一緒に乗り越えてきた、誰よりも古いパートナー。自分で意思をもってつくった最初の家族であり、自分で人生に責任をもとうと思って迎え入れた子。だから私にとって一番大きい存在であることは変わりません。

——サバ美さんは、“地域猫(不妊・去勢手術を施して地域住民のなかで飼われている猫)”なんですよね?

そうなんです。サバ美の耳の先が少し欠けていて「さくら耳」というんですが、それが手術をしたしるしなんです。麻酔をかけてやるので痛くはありません。そうやって手術をしてから元いたエリアに返す「TNR」という活動があって、サバ美は訳あってそこから保護されて里親募集サイトに出されていた猫なんです。

サバ美をモチーフにする時はこの「さくら耳」を必ず描いてもらっています。こういうふうにカットがあることが、地域猫やTNRの活動を伝えることになると思うので。

――耳の形も、サバ美さんの個性のひとつになりますね。

これ(写真上から4番目)はサバ美の刺しゅうなんですけど、「Cat’s ISSUE」のメンバーでもある小菅くみちゃんに作ってもらったもの。サバ美の顔がそれぞれ違うんです。でも実際に、日によって顔が違ったり、目の大きさが違ったりするから、どれもこういう顔をしているんです(笑)。

糸ひとつとっても、毛色や毛並みがリアルに表現できる刺しゅうっておもしろいですよね。

———刺しゅうの思い出が、他にもあれば、ぜひお聞かせください。

いっぱいあります(笑)。私は青森で生まれたんですが、私のおばあちゃんが青森でこぎん刺しの名手だったんです。両利きだったから、右からも左からも刺せてすごいスピードだったみたい。家にはコースターやマットがあってよく使っていました。

でも、その良さに気がついたのは大人になってから。バッグは今でも使っています。それが私の刺しゅう好きのルーツかもしれないですね。

——ご自分では刺しゅうはされますか?

今は娘のグッズに名前を入れるぐらいになってしまいましたけど、CDジャケット(「I’ll believe the look in your eyes」)にも、自分でつくったビーズ刺しゅうを使ったことがあるんですよ。刺しゅうは一針一針刺すものだから、昔の人はそこに祈りを込めていたと思うんですよね。

赤ちゃんを守るために産着に刺しゅうをしていた「背守り」もそう。すごく素敵だなと思って、自分の子どもができた時に、全部の服に背守りをしたいと思ったぐらい。

——坂本さんにとって、刺しゅうの魅力って何でしょう?

刺しゅうってとても美しいですよね。しかも、日本だけじゃなくて色んな民族のなかで刺しゅうの文化があって、不思議と似通っていて。これ(写真上から5番目)は子ども服で「coco and ginger」というバリ島のブランドのものなんですが、色遣いも手刺しゅうらしいラフさもすごく好きなんです。

人が身につけるものに刺しゅうをすることが多いから、大きさやかたちだけじゃなくて、作った人の思いも伝わるもの。それが刺しゅうの良さでもあるし、すごく素敵な文化だなって思うんです。
 

text:大隈祐輔 photo:山田薫


坂本美雨

1980年生まれ。1990年に音楽家である両親と共に渡米。NYで育つ。1997年にデビュー後、音楽活動を開始。2015年7月に第一子となる女児を出産。2016年には聖歌隊「CANTUS」と共に『Sing with me Ⅱ』をリリース。ソロ活動に加え、おおはた雄一とのユニット「おお雨」として音楽フェスにも出演、演劇やナレーション、執筆など行いながら、動物愛護活動をライフワークにしている。

http://www.miuskmt.com


Creator’s Motif

Designed by Cat’s ISSUE 02

このCat’s ISSUEさんがデザインした刺しゅうデータは、刺しゅうダウンロードサービス「ハートステッチズ」からダウンロード可能です。※会員登録後、有料での販売となります。

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また、2018年6月10日(日)限定でURBAN RESEARCH DOORS 南船場店にて、トートバッグに猫刺しゅう(全3種)を施すことができるコラボワークショップが開催されます。詳細は下記の「More Information」よりご確認下さい。

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