Report 005
Omamori Workshop
自分に勇気を与えるためのお守りづくり。
November 21, 2022
今回は、8月19日にブラザーミュージアムで行なわれたワークショップのレポートをお届けします。Story 004でご紹介したお守りの刺しゅうデータを用いて、参加した小学生のお子さんたちが、自分の目標や願いを込めたお守りを作りました。
夏休み真っただ中の8月、名古屋市にあるブラザーミュージアムにて、小学生のお子さんがparieという刺しゅうミシンを使って、お守りを作るワークショップを開催しました。小児慢性特定疾患を持つ子どもへの支援を行なっている一般社団法人miraiiが主催で、頑張れないときに自分たちを励ますための“がんばれるお守り”をテーマに、5名の参加者が思い思いのお守りを作るという内容です。
最初に、用意した3色の布の中から好きなものをひとつ決め、ずらりと並ぶカラフルな糸の中から5色選んでいきます(写真上から1枚目)。みんな寒色系の色味が好きなのか、今回は青や紫の糸が人気でした。布と糸を手にしそれぞれの席に着いた後は、動画を見ながら自分たちでミシンに上糸をセットしていきます(写真上から2枚目)。ミシンを触ること自体初めてという子がほとんどでしたが、分からないところはブラザーのスタッフやatsumiさんに教えてもらいつつ、丁寧に進めていきます(写真上から3枚目)。
上糸をかけられたら、刺しゅう枠に布を張り、ミシンのボタンを押して刺しゅうスタートです(写真上から4枚目)。自動でカタカタと縫い上げていく様子が珍しいのか、全員ミシンの動きに目が釘付けです。中には、その動きをスマホで撮影している子もいました。1色目の糸が終わったら、ミシンの画面を見ながら次に使う色を決め、2色目、3色目と順々に縫い進めていきます(写真上から5枚目)。最初のうちはミシンの扱いに戸惑っていた子も、やっていくうちに上糸のセットもお手の物で、こちらがびっくりするぐらいスムーズに交換できるようになっていました。
ミシンで刺しゅうをしながら、並行してお守りの中に入れる紙の準備も行なっていきます。「習い事が上手くなりますように」といった目標や、「十億円が欲しい」といった夢いっぱいでお茶目な願い事も(写真上から6枚目)。文字だけでなく絵を描いたり、シールでデコレーションしたり、ここでもそれぞれの個性があふれていて、独創的な出来栄えになりました。
30分程度でミシンの刺しゅうが終わり、お次は仕立てのパートになります。まずは、お守りの形に沿って余分な生地をカットしていくのですが(写真上から7枚目)、勢いよく布にハサミを入れるので、見ているこっちが心配になる場面も(笑)。その後は、紐を通す部分に穴を開け、両面テープでお守りを組み立てていきます(写真上から8枚目)。思いを込めすぎたのか、中に入れる紙が分厚くなってしまい仕上げの作業は少し時間がかかってしまいましたが、全員綺麗に形にすることができました。最後に布用のペンで、中央部分の余白に文字を書き完成です!(写真上から9枚目)
お守りができた後は、今回のワークショップの感想を聞いてみることに。「楽しかった」というコメントはもちろん、初めて使ったミシンが意外にも簡単に操作できたことに対する驚きの声もありました。準備から片付けまで2時間ぐらいでしたが、周りのお友達とどんなお守りにするかおしゃべりしながらの作業はあっという間だったようで、みんな大満足でした。
text:藤枝梢
photo:junya
取材後記
久しぶりのワークショップ、始まるまでは少し緊張感がありましたが、参加してくれた子供達の様子を見て、すぐに気持ちがほぐれました。これまでもお子さん向けのワークショップをさせていただいたり、見せていただくことがあったので、その時に受けた印象が蘇りました。
やはり、子どもたちの迷いのなさには、嫉妬さえ覚えるような感覚があります。柔軟さや飲み込みの速さは、知らないうちに大人になっていた誰もが感じることでしょう。刺しゅうミシンと聞くと機械が苦手、ミシンにあまり触ったことがないからと身構えてしまう方も多いと思いますが、子どもたちは全く臆することなく説明を聞いて、興味を持ってどんどん進めていきます。失敗したっていいんです。
色選びも迷いがなくて、どの子も自分の選んだ色を上手に組み合わせて仕上げていきます。今回のワークショップの元になったお守りの図案は、わたしがデザインさせていただいたものだったこともあり、『色によってこんなに印象が変わるんだ』っと色合わせと、ミシンならではのとっかかりやすさを改めて感じました。
お守りなので、それぞれの素直な願いを込めて仕上がってゆく過程と、今後どのように寄り添ってくれるのか、数年後に今回の体験やその後のお守りのことを聞く機会が持てたらいいなと思いました。そして、想像だけで難しそうとか、めんどくさそうっとやめてしまうことの勿体無さを教えてもらいました。どんなことにも興味を持ったらやってみることの大切さとドキドキを大事に何事にも挑戦したいなと思うワークショップでした。
atsumi
SeeSew projectでは、今回ご紹介したデータで作った「みなさんのお守りのエピソード」を募集しています。大切な誰かを想って作られたお守りについて、ぜひお話をお聞かせください。 ご応募いただいたエピソードの中から、いくつかをSeeSew Project内でご紹介させていただきます。
■募集期間:2022年12月30日(金)まで
■応募条件:atsumiさんデザインのお守りの刺しゅうデータを用いて作成すること
・応募いただいた作品写真、エピソードはSeeSew Project内でご紹介させていただくことがございます。
・ご紹介する作品・エピソードの中から、「atsumiさん賞」「ブラザー賞」をそれぞれ1名ずつ選ばせていただきます。atsumiさん賞受賞の方には、atsumiさんの手刺しゅうの作品を、ブラザー賞の方にはミシン刺しゅうに役立つ嬉しいアイテムをプレゼントいたします。また、その他のご紹介させていただいた方には、atsumiさん監修の刺しゅうアイテムをプレゼントいたします。
こちらのフォームよりご応募いただけます。
Designed by atsumi
atsumiさんがデザインした新たな刺しゅう模様のダウンロードは、「ハートステッチズ」からダウンロード可能です。
※会員登録後、有料での販売となります。
Information
ブラザーミュージアム
入館料:無料
開館時間:10:00~17:00
休館日:土曜日・日曜日・祝日・ゴールデンウィーク・夏期連休・年末年始
住所:名古屋市瑞穂区塩入町5-15
公式サイトはこちら
一般社団法人miraii
各種障がい者手帳を取得することのできない、小児慢性特定疾患を持つ子どもの支援を行う。難病の子どもたちのきっかけ作りとして、スポーツやカルチャーなどのプログラムを実施。
刺しゅうを知る、楽しむ、新しいきっかけを
刺しゅうはきっと、普段の生活に関わるもののなかにひとつはあって、一度は触れたことがある、とてもありふれたもの。しかし、時に記憶の奥深くに残ったり、ものに対する想い入れを強くしたりもする、ちょっと特別なものでもあります。
どうして刺しゅうに惹かれたの?
SeeSew projectは、刺しゅうの作品をつくったり、ライフスタイルに取り入れたりしているクリエイターの方々にそんなことを聞き、改めて刺しゅうがもつ魅力を探るために立ち上げたプロジェクトです。幼い頃にお母さんからもらったもの、お子さんに施してあげたもの、親しい人からプレゼントされたもの。あなたの身近にありませんか?SeeSew projectで話をうかがった方々は意外と、何気ないことを機に刺しゅうに魅了されているようです。