Report 001
Japan
Hobby Show 2018
刺しゅう入りクラッチバッグをつくる
ワークショップレポート。
May 16, 2018
今回は、2018年4月26~28日まで東京ビッグサイトで開催された第42回日本ホビーショーでのレポートをお届けします。今年のブラザーブースはatsumiさんをお招きした特別なワークショップを開催。parieの特性を体験でき、手刺しゅうのアレンジも楽しめるワークショップを行いました。atsumiさんの言葉と共に、当日を振り返ります。
――今回は参加者の方々に刺しゅうミシンとしてのParieを体感してもらうだけでなく、縫製、手刺しゅうまでをやって頂き、オリジナルのクラッチバックを完成させるという内容でした。まず、そういったワークショップになった理由をお教え下さい。
物として満足して頂ける物、普段使いして頂ける物でやりたいと思ったのがひとつ。Parie内蔵の刺しゅう模様は後から手刺しゅうを加える余白を残しているものが多いので、両方の楽しさを体験して頂きたかった、というのがもうひとつ。
それと、刺しゅうミシンと聞くと、刺しゅうしかできないのでは? と思われている方がいらっしゃって(わたしもそうでした……(笑))。直線縫いなどの実用縫製もきちんとできることもお伝えしたかったのも、大きな理由ですね。
普段は、仕立てられた物を用いた手刺しゅうのワークショップをしているので、仕立ての工程も加わった今回は盛りだくさんの内容でした。
――過去のワークショップと比較してホビーショーならではの違い、特徴などはありましたか?
ワイワイとしたお祭りのような中というのと、とても広く、天井の高い会場の中のひとブースの一部をお借りしてやるという、環境面の違いがまず大きかったですね。途中で声が通っていないことに気づき、全体で同じように進めるというより、お一人お一人の進捗を見ながら進めていきました。
皆さんにご満足頂けるか最初はドキドキしていたのですが、はじまってみると、スタッフの方が手厚くフォローして下さったので、とてもやりやすかったです。
ご参加頂いた皆さんの選んだ糸の色や手刺しゅうを加える位置などを見せて頂き、わたし自身もたくさんの発見がありました。
――参加された方々とはどんな会話をされましたか?
何人かの方が、お嬢さんや、息子さんのためにつくっているとおっしゃっていました。誰かを想って、色や模様を決めて、刺繍を施している姿は、とても楽しそうで見ているこちらまで幸せな気持ちになりました。
また、『(刺しゅうミシンは)こんなに早く、簡単に綺麗に刺しゅうが施せるのね』といった声も多かったように思います。今回はミシンを使ったことがある方とない方、それぞれ半々くらいだったと思うのですが、苦手意識がある方でもそつなく扱えていたようです。
手刺しゅうに関しても、短い時間だったので、多くのステッチを教えることはできなかったのですが、ミシンではできない立体的なステッチをお教えすると、後は自分で工夫をしながら刺しゅうされていました。次はこんなことをしてみたいという気持ちがわいてきた方が多かったみたいで、それも嬉しい感想でしたね。
――今回、2時間という決まった時間のなかでのワークショップでしたが、普段より短いのでしょうか?
一般的なワークショップとしては長いかもしれませんが、わたしの場合、普段は2.5時間くらいの長さでやることが多い上に、内容が盛りだくさんだったので、仕上がるか少し心配でした。
でも、それぞれの方が真剣に向き合いながら、焦ることなく自分のペースで作業されていたので、ほぼ全員が時間内に終わらせることができました。
――最後に、今後、同様のケースがあった場合、どんなこと、物でトライしてみたいですか?
今回の経験を生かして、内容をブラッシュアップしていけたらと思います。今回は、5つの模様から選んで頂くようにしましたが、余白を多めに設けたものもあるので、模様をさらに活かせる内容のワークショップをしてみてもおもしろいかもしれませんね。
text:大隈祐輔 photo:中矢昌行
atsumi
刺しゅう作家。多摩美術大学卒業後、アパレルメーカー、同大学に勤務ののち刺しゅう作家としての活動をはじめる。刺しゅうをベースとした作品で個展を開催するほか、異素材を扱う作家・企業とのコラボレーションワークやアニメーションへの素材提供・装画制作、ワークショップなどの活動をしている。著書に『刺繡のエンブレム』(2011年)、『ことばと刺繡』(2013 年)、『刺繡のエンブレム AtoZ』(2016 年、以上は文化出版局)『刺繍のいろ』(2014 年、BNN 新社)、『刺繡のはじめかた』(2016年、マイナビ出版)などがある。
Information
今回取り上げたワークショップとおなじ内容のものを東京、名古屋、大阪でも開催します。もちろん講師はatsumiさん。いちから教えて頂けるので、初心者の方でも安心です。
開催日:
5月27日(日) 10:00- / 14:00-
(場所=東京 ブラザー京橋ビル)
6月17日(日) 10:00- / 14:00-
(場所=名古屋 ブラザーミュージアム)
6月30日(土) 13:00-
(場所=大阪 @ビジネスセンター)
所要時間: およそ2.5時間
講習料: 3,000円 (税別)
刺しゅうを知る、楽しむ、新しいきっかけを
刺しゅうはきっと、普段の生活に関わるもののなかにひとつはあって、一度は触れたことがある、とてもありふれたもの。しかし、時に記憶の奥深くに残ったり、ものに対する想い入れを強くしたりもする、ちょっと特別なものでもあります。
どうして刺しゅうに惹かれたの?
SeeSew projectは、刺しゅうの作品をつくったり、ライフスタイルに取り入れたりしているクリエイターの方々にそんなことを聞き、改めて刺しゅうがもつ魅力を探るために立ち上げたプロジェクトです。幼い頃にお母さんからもらったもの、お子さんに施してあげたもの、親しい人からプレゼントされたもの。あなたの身近にありませんか?SeeSew projectで話をうかがった方々は意外と、何気ないことを機に刺しゅうに魅了されているようです。