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バルブの基礎知識
-バルブの種類・用途からバルブ部品加工例をご紹介-
公開日:2025.06.10
バルブは、流体の流れを制御するために使用される重要な装置です。産業機械やインフラ設備など、さまざまな分野で利用されており、その種類や用途に応じた適切な選定が求められます。不適切なバルブ選定は、漏れや設備故障といったリスクを引き起こす可能性があり、安全性や効率に大きな影響を与えてしまうかもしれません。
本記事では、バルブの基礎知識や種類ごとの用途、選定時のポイントについてわかりやすく解説します。初めてバルブに触れる方でも理解しやすい内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
バルブとは
バルブとは、流体の流れを「流す」「止める」「調節する」ために使用される装置です。水やガス、油などの液体や気体を効率的に管理するための不可欠な存在であり、配管システムや機械設備に広く活用されています。家庭用の水道から大規模な工業プラントまで、さまざまな場面で利用されているため、その種類や用途も非常に多岐にわたります。
バルブの役割
(流体の流れを制御する装置)
バルブの主な役割は、以下の3つに分類されます。
- 流す
必要なタイミングで流体を供給するための調整を行います。例えば、家庭の蛇口をひねることで水が流れるのは、バルブの働きによるものです。
- 止める
流体の供給を完全に遮断する役割です。産業機械やインフラ設備では安全性の観点からも重要で、流体の漏れや予期せぬ流出を防止します。
- 調整する
流体の流量や圧力を適切に調整し、必要な環境を維持します。例えば、空調設備ではバルブが流体の流れを細かく調節して温度や湿度を管理します。
バルブの種類と特徴
ボールバルブ
ボールバルブは、操作が簡単で圧力損失が少ないバルブです。バルブの取手に穴の空いたボールが直結しており、ハンドルを90度回すだけで全開・全閉が可能で、使いやすさに優れています。
一方で、流量の微調整には適しておらず、全開または全閉が必要な場面での使用が基本です。また、異物が混入するとボールが傷つくリスクがあり、耐久性に影響を及ぼす可能性もあります。
全開・全閉が求められる配管やガス制御システムなど、シンプルな操作で最適です。例えば、水道配管や工業用ガスの制御に多く使用されています。
グローブバルブ(玉形弁)
グローブバルブは、流量調整に優れたバルブで、締め切り精度が高いことが特徴です。ハンドルを回すことで流量を細かく調整できるため、流量のコントロールが重要なプロセスに適しています。
水道の蛇口のほか、化学プラントや液体供給ラインなど、流量調整が求められる用途に向いています。特に、流量の安定供給が製造品質に直結する場面で効果的です。
ダイヤフラム弁
ダイヤフラム弁は外部リークがない点が大きな特徴です。特に腐食性や毒性を持つ流体の制御に適しており、高い締め切り性能を備えています。
化学工場や半導体製造設備など、流体が外部に漏れるリスクを徹底的に排除したい場面に適しています。
バタフライバルブ
大口径配管に適したバタフライバルブは、コンパクトで軽量、かつ操作が簡単な点が特徴です。
上水道や冷却設備など、大量の流体を扱う大口径の配管に最適です。流量調整が可能で、インフラ設備全般で広く利用されています。
それぞれのバルブには固有の特性と用途があり、使用環境に応じた適切な選定が必要です。各バルブの特徴を理解し、適切に活用することで、安全で効率的な流体制御が実現できます。
バルブ選定時の注意点
バルブの選定は、システムの効率性と安全性を左右する重要なプロセスです。不適切なバルブ選定は、漏れや故障のリスクを高め、結果的に運用コストの増大や安全性の低下を引き起こします。
ここでは、バルブ選定で失敗しないための具体的なポイントを解説します。
適した用途を理解する
各バルブにはそれぞれ得意とする用途があります。バルブの種類ごとの特徴を正確に理解し、使用目的に最適なものを選定することが重要です。
例えば、全開・全閉が必要な場合にはボールバルブ、流量調整が求められる場合にはグローブバルブを選ぶのが一般的です。また、腐食性のある流体を扱う際には耐腐食性を備えたダイヤフラム弁が適しています。
コストと安全性のバランス
バルブ選定時には、コストだけでなく安全性や耐久性を考慮する必要があります。安価なバルブを選ぶことで初期費用を抑えられても、長期的にはメンテナンスや交換コストが増加する可能性があります。
例えば、高圧環境で安価なバルブを使用すると、早期に故障するリスクがあります。この場合、初期投資が高くても、高品質で耐久性のあるバルブを選ぶ方が、結果的にコストパフォーマンスが高くなることがあります。
外部リークを防ぐための対策
外部リークは環境汚染や事故につながる可能性があるため、これを防ぐための対策は必須です。バルブの材質や構造を確認し、リークリスクを最小限に抑える製品を選びましょう。
毒性のある流体を扱う場合には、外部リークがない構造を持つダイヤフラム弁が適しています。加えて、定期的な点検やメンテナンス計画を立てることで、リークリスクをさらに低減できます。
適切なバルブ選定は、システムの信頼性や安全性を向上させる鍵となります。用途や環境に合わせたバルブを選び、長期的な視点でコストと安全性のバランスを検討することが重要です。バルブの特徴を正しく理解し、適切な選定を行うことで、効率的かつ安全なシステム運用を実現しましょう。
マシニングセンタによるバルブ
部品加工
バルブは用途・使用条件に合わせて様々な材質が用いられており、小型バルブに用いられるステンレス、黄銅、青銅は、マシニングセンタの加工に適しています。
●水栓部品
キッチンやシャワーなどの住宅設備や水道設備など多様な場面で用いられます。
ワークサイズ(例) | 150×75×50mm |
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ワーク特徴 | 穴あけ、ねじ切りが主な加工となり、多様なめねじ・おねじサイズがある |
最適な加工機 | 生産性が高く、高品質なねじ切り加工ができる機械 |
●高圧ガス容器弁
高圧ガスボンベの元弁としてガスの流れ調整や充填に用いられます。
ワークサイズ(例) | 60×80×30mm |
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ワーク特徴 | 各面にねじ加工があり、斜め穴が必要なケースもある |
最適な加工機 | 高速加工とコストパフォーマンスに優れた多面加工機 |
●ステンレスバルブ
医療機器や半導体製造装置など耐食性が求められる場面で用いられます。
ワークサイズ(例) | 75×35×35mm |
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ワーク特徴 | 穴内面の面粗さや、穴間の精度が求められる |
最適な加工機 | コンパクトなワークを多数個取りするために、段取り時間を低減できる機械 |
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文:河井ひとみ
1979年生まれ。国立工業高専卒業後、ソフトカプセルOEMメーカーに入社し、品質管理・品質保証職を経験。化粧品会社への転職を経て、2020年にフリーライターへ転身。製造業関連のBtoB記事はじめ、SaaS関連記事やホワイトペーパーなど幅広いコンテンツを手がけています。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
https://eggo.jp/
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