- マシナリーお役立ちNAVI
- 工作機械を学ぶ
5軸加工機を活用するために必要な「CAD/CAM」とは?
導入時のポイントや選び方
公開日:2024.12.10
5軸加工機は、複雑な形状の加工を可能にする高性能な工作機械です。その真価を発揮するには、適切な「CAD/CAM」の利用は欠かせません。
CAD/CAMとは、各種製品設計から工作機械加工プログラム(NCデータ)の作成までを一貫して行えるソフトウェアのことです。多種多様なものが販売されているため、導入の際は自社に合うものを慎重に選ぶ必要があります。
そこで今回は、ブラザー工業のパートナーソフトウェアである「hyperMILL(ハイパーミル)」の国内販売・サポートを行っているAiソリューションズの木村様と三宅様のお二人に、CAD/CAMを使っている業種・業界の特徴や、自社に合うCAD/CAMの選び方などを伺いました。
Aiソリューションズ /
執行役 営業部長 兼 名古屋オフィス所長
木村浩之 様
長年、CAD/CAMソフトの営業職として活動。5軸加工機普及とともに全国の企業への導入・活用を提案している。
Aiソリューションズ /
技術部マネージャー 三宅勇太 様
製造業界からCAD/CAM業界へ転身。豊富な加工経験をもとにhyperMILLの提案から導入後のサポートを行っている。
目次
5軸加工機と合わせて導入したい「CAD/CAM」とは?
CAD/CAMソフトウェアは、「CAD=設計/作図」と「CAM=NC工作機械の加工データ作成」の双方の機能を兼ね備えたソフトウェアです。製造したい製品・金型等の設計から、加工プログラム(NCデータ)の作成までを一貫して行えます。取引先から受け取ったデータを活用してのプログラムや加工も可能です。
複雑な加工/省人化/自動化に効果を発揮できる5軸加工機に対して、CAD/CAMソフトウェアは重要なファクターとなります。
ー 5軸加工機とCAD/CAMは、どういった規模や業種・業界で使われていますか。
木村: 弊社のユーザー様の規模は様々ですし、業種も航空機・自動車・医療・半導体など多種にわたります。弊社は5軸に特化してソフトウェアを販売サポートしておりますので、5軸加工機に広がりに合わせて規模・業種も増えていっているかもしれません。
ー そのうち、5軸加工機とCAD/CAMを併用している企業の割合はどの程度でしょうか。
木村: 3軸加工機に対しての率は、かなり高いと思います。
ー CAD/CAMがなければ、5軸加工機を使うことは難しいでしょうか?
三宅: 「5軸加工機のメリットを引き出す」という意味ではそう思います。簡単な形状なら加工機の「対話システム」、もしくは手入力で作成したNCデータで可能です。5軸加工機はより軸数が増えるので、加工機の干渉チェックや、より効率的なプログラミングが求められます。
CAD/CAMは“どれも同じ”では
ない?
CAD/CAMを導入しようと考えたとき、「ソフトウェアなのだから、どれを選んでも同じだろう」と感じる方もいるかもしれません。しかし木村様は、決してそうではなく、慎重に検討するべきだと話します。
ー CAD/CAM選びを慎重に行うべき理由を教えてください。
木村: CAD/CAMは、それぞれに特徴があります。特に5軸加工機に対しては慎重に検討をしていただきたいです。すでにお持ちのソフトウェアに5軸機能を追加することがコスト的にはメリットがあっても、うまく使えなければ意味がありません。せっかくの5軸加工機のメリットを引き出せないことになってしまいます。
ー 同じCAD/CAMでも、選び方によって工作機械のポテンシャルが大きく変わってくるということですね。
三宅: 5軸加工機のプログラミングにおいては、使用するCAD/CAMシステムは重要だと思います。それと、提供する側のサポートも大事だと思います。
木村: そこが弊社の一番の特徴です。加工機の為のソフトウェアですから。
ー 自社の5軸加工機に適したCAD/CAMを導入し、大きな成果が出た事例はありますか。
三宅: 弊社のユーザー様から、「不良品率が減った」「今まで時間がかかっていた工程がスムーズに進むようになった」などの声がよく聞かれます。5軸加工機とCAD/CAMの組み合わせで、「付加価値の高い仕事ができるようになった」という声もあります。
ー ただ単に業務効率が上がるのみならず、自社の価値を高められることもあるのですね。
木村: たしかに、初期設備投資の効果により、加工機/ソフトの増設をいただくことは実感しております。弊社が提供しているトレーニングサービスには若い方からのお申し込みが多いです。企業価値とは異なるかもしれませんが、「やりがい」を少しでも提供できていれば幸いです。
企業が抱えやすいCAD/CAM導入の懸念点と対策
5軸加工機とCAD/CAMの導入は大きなメリットをもたらします。しかし、さまざまな理由から導入に踏み切れない企業が多いのも実情です。そこでAiソリューションズ様に、CAD/CAM導入を考える際に感じやすい懸念点や課題とその対策を伺いました。
ー CAD/CAMを導入したいと考えている企業の方は、どういった点を懸念されることが多いでしょうか。
木村: やはり、導入費用ですね。5軸構成でCAD/CAM導入となるとそれなりの費用が発生しますし、それに伴って導入後の立ち上げ期間や人員の確保も懸念されることが多いです。
ー そういった不安や課題を感じないためには、どのような対策をすると良いでしょうか。
木村: まずはしっかりと目的を定めて、どのシステムが自社にとって最適なのかを検討する必要があると思います。ソフトウェアを提案する側としては、デモンストレーションは勿論ですが、各種ベンチマークを実施します。弊社では操作体験も積極的に行っております。導入後の立ち上げイメージまでしっかり把握いただいた上で、ご導入いただくことが大事だと私は思います。
自社の5軸加工機に適したCAD/CAMの探し方
CAD/CAMは加工の種類だけではなく、機能や操作方法などもソフトによって大きく異なります。Aiソリューションズ様によると、CAD/CAMを選ぶ際に重視すべきポイントがあるそうです。
ー 5軸加工機向けにCAD/CAMを選ぶときは、何に注目すべきでしょうか。
三宅: 技術職の立場ですと、「操作性の良さ・容易さ」だと思います。特に同時5軸のような複雑なプログラミングでは一番重要だと私は思います。弊社がhyperMILLをお勧めしているのは、初心者の方でも短期間で習得ができるからです。
次に同時5軸では「スムーズな動作」が求められます。これもhyperMILLは、大きなアドバンテージがあり、難しい設定作業なしにスムーズな動作が自動で出力されます。
木村: さらに「安全性」も重要です。ソフトを提案する側としてはクライアント様の加工機を損傷させてしまうことは絶対避けなければいけませんので。
ー 安全性の高さが重要なのはなぜですか。
三宅: 5軸加工機は軸数が多いのと、軸構成によって機械部位同時の干渉を注意しなくてはなりません。また、ワークの配置も重要です。5軸CAMのプログラミングは、工具動作だけを生成できればよいわけではないためです。実加工前にいかにデバッグをするかが重要になります。
木村: CAD/CAMと加工機オペレーターの方の双方の精神的な負荷も当然考えられます。事前にシミュレーションできているか、シミュレーション結果に信頼がおけるのかは重視すべきです。
加工機でのデバッグ時間の短縮も勿論重要になります。
ー CAD/CAMの「安全性」は、どのようにチェックできますか。
三宅: CAD/CAM搭載のシミュレーション機能に注目していただきたいです。各ソフトによりますが、工具/治具だけのシミュレーションだけでは、5軸対応は不十分だと思います。「マシンシミュレーション」が大事です。
工具と製品3Dモデルのみのシミュレーション
マシンシミュレーション
hyperMILLはこれまで定評のあるシミュレーション機能を有しておりましたが、まったく新しいPOST/シミュレーションとして「VIRTUALMachine」をリリースしました。
従来はCLベースのシミュレーションが一般的でしたが、NCデータベースのシミュレーションになります。CLベースはNCデータを生成する前の中間データでのシミュレーションです。「VIRTUALMachine」はNCデータベースのシミュレーションになりますので、忠実な加工機の実動作を再現します。さらに、5軸加工機の動作を最適にします。
「VIRTUALMachine」初期画面 SPEEDIO-M200Xd1-5AX
木村: 「VIRTUALMachine」の名称の通り、ユーザー様の設備がまさに「バーチャル」にhyperMILLの中に組み込まれると思ってください。
ー 貴社の「hyperMILL」と、ブラザーの5軸加工機「SPEEDIO」を併用することで、どういった効果が見込めそうでしょうか。
三宅: 「SPEEDIO」が持つ高い性能を、最大限に発揮していただけると思います。ワンチャックでの効率アップは勿論ですが、「5軸加工はもっと活用できる」ということです。「形状的に5軸加工機は必要ない」と思われる方も多いと思いますが、工具長を短くして加工効率・条件を向上できます。hyperMILLでもっと同時5軸加工機を活用いただきたいと思います。
さらに、新しい5軸加工にも注目いただきたいです。バレル工具にて大幅な加工効率・時間短縮を狙えます。
5軸加工機の性能を最大限に引き出せるCAD/CAMの導入を
現在、多数のCAD/CAMが販売されていますが、機能や対応している加工の種類、安全性や操作性などは製品によって異なります。5軸加工機を導入するメリットを享受するためにも、自社に適したCAD/CAMを導入しましょう。
ブラザーのパートナー企業であるAiソリューションズ様のCAD/CAM「hyperMILL」は、ブラザーと共同開発したシミュレーション機能「hyperMILL VIRTUAL Machining Center」に対応。「SPEEDIO」が持つ高い生産性を、最大限に発揮できる機能が整っています。
「hyperMILL」は現在、NCデータ作成の自動化機能の整備を進めるなど、人手が必要な業務をさらに減らせるように改良を進めています。今後、ますます便利なCAD/CAMへと進化していくでしょう。
5軸加工機やCAD/CAMの導入を考えている企業の皆様は、ぜひ「SPEEDIO」と「hyperMILL」をご検討ください。
-
文:シモカワヒロコ
1994年生まれ。月刊誌の編集者を経て、現在はWebや新聞、雑誌、書籍など幅広い媒体で活動中のライター・編集者。ザ・文系ながら、昔からメカが好き。
-
編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
https://eggo.jp/
- 加工の実力を知りたい
- SPEEDIOの加工の実力を知る
- ブラザーホーム
- 製品情報
- 工作機械
- マシナリーお役立ちNAVI
- CAD/CAMの選び方