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スムーズに自動化導入できる
7ステップと成功事例まとめ
公開日:2026.02.18
深刻化する人手不足、高まるコスト削減圧力、そして品質安定化への要求。こうした課題に直面する生産現場において「自動化」はもはや選択肢ではなく、持続的な成長のための必須戦略となりつつあります。
しかし「何から手をつければいいか分からない」「失敗が怖い」といった不安から、導入に踏み出せないケースも少なくありません。
本記事では、自動化導入の具体的な7ステップと失敗しないコツや成功事例を解説。現場改善のヒントを提供します。
なぜ自動化が求められているのか
生産現場は今、人手不足やコスト圧力、グローバルな競争激化など、多くの課題に直面しています。こうした状況を打開する手段として、自動化への期待が高まっています。
はじめに、なぜ自動化が求められているのか、導入することでどんな効果が得られるのか、現場の課題は何かを整理します。これらを理解することで、自社の生産現場にとって適切な自動化の進め方が見えてくるはずです。
生産現場で自動化が
求められる背景
近年、製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。特に労働人口の減少は深刻で、熟練技術者の引退や若手人材の確保難により、多くの現場が人手不足に悩んでいます。
一方で、グローバルな競争は激化しており、顧客からはより高品質な製品をより低コストで、しかもより短納期で提供することが求められるようになっています。
こうした状況下で、従来の人の手と勘に頼ったオペレーションには限界が見え始めています。ヒューマンエラーによる品質のバラツキ、単純作業にかかる工数、長時間労働の常態化といった課題を解決するため、ロボットやシステムを活用した自動化への期待が急速に高まっているのです。
自動化導入のメリットと
現場の課題
自動化は省人化だけでなく、以下のような多様なメリットをもたらします。
| 項目 | 具体的な効果 |
|---|---|
| 生産性の向上 | 24時間稼働や高速作業により生産量が飛躍的に向上 |
| 品質の安定化 | バラツキがなくなり均一で高品質な製品を安定供給 |
| コスト削減 | 人件費だけでなく材料ロスや歩留まりも改善 |
| 労働環境の改善 | 危険作業や単純作業から解放し安全性向上と働き方改革を実現 |
しかし自動化のメリットを得るためには、正しい手順で導入を進める必要があります。高価な機器を導入したものの「現場で使われない」「かえって効率が悪くなった」といった課題を抱えるケースも少なくなく、計画的な導入が求められます。
自動化導入の基本ステップ
自動化は、やみくもに最新機器を導入してもうまくいきません。自社の状況を分析し、計画的に進めることで成果につながります。ここでは、導入を7つのステップに分けて解説します。
- 現状分析
- 目標設定
- 導入計画策定
- 機器選定
- テスト導入・評価
- 本格導入・運用
- 導入後のフォローアップ
現状分析(課題の洗い出し・
現場ヒアリング)
まず取り組みたいのは「なぜ自動化するのか」を明確にするための現状把握です。例えば以下のようなポイントを確認します。
- どの工程に一番時間がかかっているか?
- ヒューマンエラーや不良が多発している箇所はどこか?
- 作業員が「きつい」「危ない」と感じている作業はないか?
机上で考えるだけでなく、現場の作業員にヒアリングを行うことが効果的です。「この作業が一番大変」「ここの段取りに時間が取られる」といった生の声が、自動化を進める上で最も有益なヒントになります。
目標設定(自動化で
何を達成したいか)
現状の課題が明確になったら、自動化によって何をどこまで達成したいのか、具体的な数値目標を設定します。
曖昧に「生産性を上げたい」とするのではなく、「〇〇工程の作業時間を30%削減する」「夜間8時間の無人稼働を実現する」「不良率を5%から1%に低減する」といった形で数値目標に落とし込みます。この目標が、後の機器選定や投資対効果の判断基準となります。
導入計画の策定(予算、スケジュール、体制づくり)
目標が決まったら、実現のためのロードマップを描きます。ここでは重要となる3つの視点から計画を具体化します。
予算・補助金
投資対効果(ROI)を試算し、どれくらいの期間で投資を回収できるか見込みを立てます。
自動化設備は初期投資が大きくなりがちですが、国や自治体の補助金制度を活用することで、導入コストの負担を大幅に軽減できる可能性があります。自社の条件に合う制度がないか、事前に調査することをお勧めします。
スケジュール
「いつから本格稼働させるか」というゴールから逆算して計画を立てます。
機器の選定や納品にかかる期間はもちろん、設置後の調整やテスト運用の期間には十分な余裕を持たせることが、スムーズな立ち上げの鍵となります。
体制づくり
誰がプロジェクトを主導するのか、責任者と担当チームを明確にします。
現場任せにするのではなく、決裁権を持つ経営層、技術的な判断ができる生産技術、そして実務を知る現場リーダーを巻き込んだ、全社的なチーム編成が理想的です。
機器選定・ベンダー選びのポイント
ここで初めて具体的な機器やシステムの選定に入ります。②で設定した目標を達成できるかという視点で選びます。
高機能・高価格なものが常に最適とは限りません。自社の生産規模、扱う製品、作業員のスキルレベルに合ったものを選ぶことが大切です。
また、機器そのものだけでなく、「導入実績が豊富か」「トラブル時のサポート体制は万全か」といったベンダー(販売代理店やメーカー)の信頼性も確認しましょう。複数のベンダーから提案と見積もりを取り、比較検討することをお勧めします。
テスト導入・評価
(スモールスタート)
全ラインへの一斉導入は避け、まずは特定の工程やラインに限定してテスト導入を行います。
実際に運用してみることで、想定通りの効果が出るか、新たな問題点はないか、現場の作業員は使いこなせるかを検証します。この段階で出てきた課題を一つひとつ解決し、現場の意見をフィードバックしながら改善を重ねます。
本格導入・運用開始
テスト導入での検証と改善を経て、いよいよ本格導入です。
導入にあたっては、作業員全員が正しく安全に機器を操作できるよう、運用ルールの策定と操作マニュアルの整備、十分な教育(研修)が不可欠です。
導入後のフォローアップ
自動化は、導入して終わりではありません。②で設定した目標が達成できているか、定期的に効果測定を行います。もし目標に達していなければその原因を分析し、運用方法の見直しや追加の改善(PDCAサイクル)を回し続けます。
自動化導入の注意点と
失敗しないコツ
意気込んで自動化を進めたものの、「現場で使われない」「かえって効率が悪くなった」という失敗例も少なくありません。そうならないために特に注意すべき4つのコツを紹介します。
現場スタッフの巻き込み方
自動化が「仕事を奪うもの」と捉えられると、現場から強い抵抗を受ける可能性があります。
計画の初期段階から現場を巻き込み、目的とメリットを丁寧に共有することが欠かせません。現場の意見や運用を無視すると「使えないシステム」になるため、業務内容を手順書やフロー図で整理し、例外パターンも洗い出しておきます。
小さく始める
まずは導入効果が出やすく、影響範囲が限定的な工程から始めましょう。小規模から段階的に導入することで、効果や課題を早期に発見でき、現場のモチベーションを高めながら次のステップへ進めます。
導入前後の
コミュニケーションと教育
新しい機器やシステムを導入する際は、操作研修の時間を設けます。特に注意したいのは、特定の担当者しか操作できない状況を避けることです。
自動化プロセスが「ブラックボックス化」すると、トラブルや引き継ぎの際に大きな問題が発生します。シンプルな操作マニュアルの整備や、複数の担当者への教育を徹底し、担当者任せにしない運用体制を構築します。
トラブル時の体制づくりと
継続的な改善
トラブル発生時の復旧フローを事前に決めておくことで、ダウンタイムを最小限に抑えられます。また、定期的に運用内容やエラーログを見直し、改善を続けることで、システムの変化への適応力を高めることができます。
このように、導入目的を明確にし、現場の声を反映しながら、段階的・効果検証型で進めることが、失敗しない自動化のコツです。
成功事例紹介
ここでは、実際に自動化を導入し、省人化や生産性向上に成功した企業の事例を紹介します。
東北江南株式会社
ロボットとの連携で省人化と生産量アップを実現工業用プラスチック製品を製造する東北江南株式会社様では、大型機よりコンパクトで多機能な機械を求め、旋削加工対応の「SPEEDIO M200X3」を導入しました。
特長は、多関節ロボット搭載パレットチェンジャーとの連携による自動化システムの構築です。ワークやツールホルダーの交換まで自動化し、土日・夜間のほぼ無人稼働を実現しました。
担当者様からは「5軸加工に加えて旋削加工ができ、なおかつコンパクトに収まるSPEEDIOのサイズ感に魅力を感じた」と高評価をいただいています。
大型機1台分のスペースで2台導入できるコストメリットもあり、現場負担の軽減と生産性向上を両立した事例です。
株式会社タチ製作所様
ローディングシステムによる自動化で省人化を実現幅広い分野の機械部品を製造する株式会社タチ製作所様では、「夜間業務の自動化」と「省人化」が経営課題でした。同社は5軸加工機を導入済みでしたが、付加された旋削機能の精度に不安があり、かといって複合旋盤では作業者が常駐する必要があり省人化の目的を果たせません。
この課題を解決するため「マシニングセンタベースの旋削機能」と「ロボットによる自動化」を両立できるローディングシステム「BV7-870」をセットした「M200X3」の導入を決定。導入前は精度への懸念もありましたが、テスト加工とサポートにより、安心して導入できたとのことです。
導入後、エアコン部品などの量産加工において、夜間操業の省人化に大きく貢献しています。さらに、ツール交換や主軸の立ち上がりが早い機械特性により、加工時間そのものも短縮され、原価低減という効果も生み出しました。素材投入から完成までを自動化するカスタマイズも行い、現場での使いやすさも向上しています。
まずは現場の課題整理から。
スモールスタートで始めよう
本記事では、自動化導入の7つのステップと、失敗しないための4つのコツ、具体的な成功事例を解説しました。
自動化は、単に最新のロボットを導入することが目的ではありません。自社の現場が抱える課題を明確にし、それを解決するための手段として活用します。
まず取り組みたいのは、「現場のどの作業に時間がかかっているか」「どこで不良が起きやすいか」を把握することです。大規模な投資計画を立てる前に、現場の声に耳を傾け、スモールスタートで始めてみてください。その積み重ねが、生産性向上と競争力強化につながります。
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文:馬場絵美
1981年生まれ。2021年よりライター、Webディレクター。IT・行政・SDGs・動物関連など幅広いジャンルの記事を執筆。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
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