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【製造業向け】2024年度「働き方
改革推進支援助成金」
申請ガイド
公開日:2024.10.01
働き方改革の必要性は理解しているものの、「具体的に何に取り組めばいいかわからない」「経営リソースが足りない」といった課題に直面していませんか?
働き方改革を進める上では、「働き方改革推進支援助成金」が活用できるかもしれません。
そこで本記事では、働き方改革推進支援助成金の特徴や申請方法を解説します。
働き方改革推進支援助成金は4つのコースが用意されており、なかでも製造業をはじめ全業種対象の「労働時間短縮・年休促進支援コース」にフォーカスを当てて申請概要を見ていきましょう。
働き方改革推進支援助成金とは?
働き方改革推進支援助成金は、中小企業の働き方改革を支援するために国が設けた助成金制度です。労働時間の短縮や年次有給休暇取得の促進、生産性の向上などを目的としており、企業の規模や取り組み内容に応じて支給額が決定されます。2024年4月からは国の働き方改革施策の一環として、時間外労働の上限規制が設けられました。そのような背景も本制度に大きく影響しているでしょう。
この助成金を活用することで、働き方改革に必要な設備投資や制度改革を行いやすくなり、結果として従業員の満足度向上や企業の競争力強化につながります。
2024年度はコースが4つに
2024年度の働き方改革推進支援助成金は、申請枠が前年度の5コースから4コースに整理されました。各コースの概要は以下の通りです。
コース | 対象 | 支給対象となる取り組み |
---|---|---|
業種別課題対応 コース |
建設業、運送業、 病院、砂糖製造業 |
|
労働時間短縮・ 年休促進支援 コース |
全業種の中小企業 |
|
勤務間 インターバル 導入コース |
全業種の中小企業 | 勤務間インターバルを新規導入または適用範囲を拡大する |
団体推進 コース |
企業組合や商工会、 協同組合など 事業主団体 |
市場調査や新ビジネスモデル開発・実験などの取り組みを実施し、それを団体内の構成事業主に対して展開する |
いずれのコースも働き方改革実現のために実施した取り組みの費用を助成してもらえます。具体的には、研修費用や外部コンサルティング費用、労働能率向上に資する設備導入費用などが含まれており、ソフトからハードまで幅広い経費が支援対象となっています。
申請方法と申請スケジュール
申請する場合は、管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に書類を提出しましょう。窓口へ直接持っていくほか、郵送や電子申請システム(jGrants)を利用する方法もあります。電子申請の場合は、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
働き方改革推進支援助成金の申請スケジュールは以下の通りです。
- 申請受付期限:
- 2024年11月29日
- 事業実施期限:
- 交付決定日から2025年1月31日まで
※業種別課題対応コースに申請する砂糖製造業の場合は3月15日まで
※団体推進コースは2025年2月14日まで - 支給申請期限:
- 事業実施予定期間終了日から30日後または2025年2月7日のいずれか早い日
※団体推進コースは事業実施予定期間終了日から30日後または2025年2月28日のいずれか早い日
各コースの詳細な要件や支給額、申請に必要な書類については、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。自社の状況を十分に検討し、適切なコースを選択して申請することが重要です。
予算の都合により申請期限前に受付が締め切られる可能性もあるため、早めに申請準備を進めましょう。
「労働時間短縮・年休促進支援
コース」の支給要件
働き方改革推進支援助成金では、企業の多様なニーズに応えるため4つのコースが用意されています。ここでは全業種を対象とする「労働時間短縮・年休促進支援コース」の概要を詳しく見ていきましょう。
対象となる事業主
労働時間短縮・年休促進支援コースでは、全業種の中小企業が対象となっており、労働時間の管理改善を目的としています。
対象となる事業者は以下の通りです。
- 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること
- 年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
- 交付申請時点で、成果目標の設定に向けた条件を満たしていること
なお、中小企業事業主の範囲は、業種ごとに以下のように定められています:
- 小売業(飲食店を含む):
資本金5,000万円以下または常時使用する労働者50人以下 - サービス業:
資本金5,000万円以下または常時使用する労働者100人以下 - 卸売業:
資本金1億円以下または常時使用する労働者100人以下 - その他の業種:
資本金3億円以下または常時使用する労働者300人以下
助成対象となる取り組み
助成を受けるためには、成果目標を定め、その達成に向けて、以下の取り組みから1つ以上を実施する必要があります。成果目標の達成状況に応じて、取り組みにかかる費用が助成されます。
- 労務管理担当者や労働者に対する研修
- 労働者への周知・啓発
- 外部専門家によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取り組み
- 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新
成果目標と助成額
前述の取り組みは、下記3点の「成果目標」から1点以上を選択し、その達成を目指して実施する必要があります。
- 成果目標 1:
- 36協定に基づいて時間外・休日労働時間数を縮減。月60時間以下または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行う。
[上限額]100万円~200万円 - 成果目標 2:
- 年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること。
[上限額]25万円 - 成果目標 3:
- 時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定を新たに1つ以上導入する。
[上限額]25万円
そして助成額は、成果目標の達成状況に応じて決定されます。最大で730万円の助成を受けることができ、原則として対象経費の合計額の3/4(一部の場合は4/5)が助成されます。
【助成額の仕組み】
以下Ⅰ・Ⅱのいずれか低い額が支給されます。
- Ⅰ. 成果目標1から3の上限額および賃金加算額の合計額
- Ⅱ. 対象経費の合計額×補助率3/4(一部ケースでは補助率4/5)
このように成果目標に加えて、指定する労働者の賃金引き上げ(3%以上または5%以上)を行う場合、追加の助成を受けることができるのも特徴です。
〇賃金引き上げの達成時の加算額
引き上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11~30人 |
---|---|---|---|---|
3%引き上げ | 30万円 | 60万円 | 100万円 | 1人当たり10万円 (上限300万円) |
5%引き上げ | 48万円 | 96万円 | 160万円 | 1人当たり16万円 (上限480万円) |
引き上げ人数 | 1~3人 | 4~6人 | 7~10人 | 11~30人 |
---|---|---|---|---|
3%引き上げ | 15万円 | 30万円 | 50万円 | 1人当たり5万円 (上限150万円) |
5%引き上げ | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人当たり8万円 (上限240万円) |
働き方改革推進支援助成金の申請の流れと注意点
最後に、働き方改革推進支援助成金の申請から支給までの流れを見ていきましょう。
交付申請書を最寄りの労働局雇用環境・均等部に提出
申請書類は、管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に直接持参するか、郵送で提出します。また、電子申請システム(jGrants)を利用することも可能です。
電子申請を利用する場合は、GビズIDプライムアカウントが必要となります。このアカウントの取得には1~2週間程度かかる場合があるため、申請を検討している企業は早めに準備を始めましょう。
提出する書類には、事業実施計画書や必要経費の見積書、就業規定の写しなどが含まれます。企業の現状や課題をわかりやすく示し、効果的な改善計画を具体的に明治することが大切です。
なお、申請期限は2024年11月29日(金)ですが、予算の都合により早期に締め切られる可能性もあります。そのため、できるだけ早い段階で申請の準備を整え、書類提出することが賢明です。
交付決定後、提出した計画に沿って取り組みを実施
交付決定を受けたら、提出した計画に沿って速やかに事業を開始します。事業実施期間は原則、交付決定日から2025年1月31日まで(団体推進コースは2025年2月14日まで)となっています。
この期間中、計画に沿った取り組みを確実に実施し、同時に取り組みの証拠となる書類(発注書、契約書、請求書、領収書など)を保管しておく必要があります。
なお、交付決定前に発注・契約・支出した経費は助成対象外です。そのため、必ず交付決定を受けてから事業を開始するようにしましょう。
また、事業の進捗に応じて、成果目標の達成状況を随時確認することも大切です。計画の変更が必要になった場合は事業実施計画変更申請書の提出が求められるため、速やかに労働局に相談し軌道修正をしましょう。
労働局に支給申請書を提出
事業完了後は、定められた期限内に支給申請書を提出します。提出期限は、「事業実施予定期間終了日から30日後」と「2025年2月7日(金)」のいずれか早い日となります(団体推進コースは2025年2月28日)。
支給申請書には、事業実施結果報告書や経費支出の証拠書類などを添付する必要があります。当然ですが成果目標が未達成の場合、支給額が減額されたり、不支給となったりする可能性があります。そのため、事業実施中から目標達成に向けて着実に取り組むことが重要です。
支給申請書の作成と提出には十分な時間を確保し、すべての必要書類を漏れなく提出するよう心がけましょう。不明な点がある場合は、早めに労働局に相談することをおすすめします。
働き方改革推進支援助成金を活用して会社の成長を加速させよう
働き方改革推進支援助成金は、中小企業が労働環境を改善し、生産性を向上させるための力強い味方です。この助成金を戦略的に活用することで、従業員の満足度向上と企業の競争力強化を同時に実現できます。
申請から実施、報告までの各段階で綿密な計画と確実な実行が求められますが、助成金を得られれば自社の働き方改革をよりスムーズに進められるでしょう。
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文:小林悠樹
1988年生まれ。一橋大学卒業後、食品メーカーへ入社。営業職を経験したのち、2017年にフリーライターへ転身。企業への取材記事、通信大手のオウンドメディアなどをはじめ、幅広いコンテンツを手がけています。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
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