- マシナリーお役立ちNAVI
- 工作機械を学ぶ
工作機械にはサポートとメンテナンスが重要!
日常点検の方法も紹介
公開日:2024.06.18
製造の現場を支える工作機械には、適切なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠ると、製品の品質の低下や故障を引き起こしてしまう可能性があります。では、どのようにして定期点検やメンテナンスを行えばよいのでしょうか。
本記事では、工作機械にメンテナンスが必要な理由とあわせ、工作機械のメンテナンス方法や、日常点検の方法などについてご紹介します。
工作機械のメンテナンスの重要性
工作機械のメンテナンス不足は、機械の故障を招きます。故障が発生すると、生産ロスや品質のばらつきが発生するだけでなく、従業員のケガなど労災事故につながることもあります。
従業員の安全と、安定した品質・生産量を維持するためにも、工作機械のメンテナンスは定期的に行うことが重要です。定期的に適切なメンテナンスを行うことで、機械の長寿命化も期待できます。
工作機械の故障で起こりうるトラブル
工作機械が故障すると、次のようなトラブルが発生します。
- 故障によるラインの停止:故障から修理完了まで製品を製造できない、不良品が発生する可能性がある
- 納期遅延:製造停止や不良品の発生によるロスにより、納期までに予定量を生産できない可能性がある
- 信用の低下:品質の低下やばらつき、納期遅延などにより、顧客からの信用が低下し、売上低下などにつながる可能性がある
また、工作機械の故障の前兆として加工不良が発生するケースがあります。そのため、故障した際には数ロット前までさかのぼり、製品の検査を行わなければなりません。故障の際は、検査の発生によるロス、不良品廃棄による損失、不良品流出のリスクも考えられます。
このように、工作機械の故障は機械自体の修理費用だけでなく、さまざまな面に影響を及ぼし損失を招きます。適切なメンテナンスで故障を未然に防ぐことは、経営の安定にも重要なことです。
工作機械のメンテナンス方法
工作機械のメンテナンスは、基本的にメーカーの保守マニュアルに沿って行います。
まずは使用している機器のメーカー保守点検マニュアルや取扱説明書を確認し、記載されている項目に沿って、指示通りにメンテナンスを実施します。メーカー保守マニュアルに準じたメンテナンスは、週に一度、月に一度など、実施スパンを決めて定期的に行いましょう。
また、メーカーの保守点検マニュアルの内容を記載した「メンテナンスチェックシート」を作り、複数カ所に設置して、現場の従業員が確認しながらメンテナンスを実施できる体制をつくることも大切です。
日常点検で長寿命化を目指す
日常の点検は、潤滑オイル、エアー関連、クーラント、制御盤を中心にメンテナンスを実施することで、工作機械の長寿命化を目指せます。具体的にどのように行えばよいのか、詳しく見ていきましょう。
潤滑オイルの点検
機械のさまざまな部位に使われているオイルは、使用によって劣化したり、量が減少したりします。オイルの劣化や減少を放置しておくと、故障の原因になってしまうことがあるため、日常的にオイルの状態や量をチェックし、必要があれば交換、または補充しましょう。
オイルが使用されている部位には、クーラントオイルやベアリング、ネジ、ギアボックスなどがあります。これらの部位のオイルを確認する際には、オイルの劣化速度は通常通りか、いつもより大幅に減っていないかなどを確認します。
いつもよりオイルが劣化している、大幅に減っている場合は、部品の故障や油漏れが考えられます。このようなときには、オイルだけでなく、周辺に故障がないかも確認します。
エアー関連の点検
多くの工作機械には、エアーの供給によって動作する部位があります。これらは生産において重要な部位であるため、故障を防ぐためにも日常の点検は欠かせません。
フィルターの目詰まりによる動作不良や故障を防ぐために、機械にほこりや鉄粉などが付着していれば取り除きます。フィルター自体も定期的な交換が必要です。
コンプレッサは、空気中に含まれる水分とともに大気を圧縮します。水分が混入した圧縮空気を使用すると、機器の作動トラブルなどの原因になるため注意しましょう。
エアードライヤーによって空気中の水分を適切に除去することで、機器の寿命が延び、メンテナンスコストが削減されます。
エアーの圧力の確認も大切です。圧力計を用いて、エアーの圧力を確認し、バルブを調整しても基準値に達さない場合は供給回路を点検します。
クーラントの点検
機械の冷却を行うクーラントが正しく機能しない場合、熱によって工具が劣化したり、工作物がゆがんだりしてしまうことがあります。クーラント装置を点検する際には、クーラントの残量を検知するセンサが正常に作動しているか、タンクやフィルターが汚れていないか、目詰まりを起こしていないかを確認します。
クーラント周辺のスイッチ類は汚れなどで故障しやすい部位です。スイッチが正しく動作するかも確認しましょう。また、点検とあわせて清掃とフィルターの交換も実施します。
クーラント液が劣化していないか、濃度が変化していないかの確認も大切です。クーラント液の劣化は品質不良や悪臭の原因となることがあるため、メンテナンス時には忘れずチェックし、問題があれば交換しましょう。
制御盤の点検
制御盤、冷却ファン、排熱ファンも日常的に点検します。制御盤は熱に弱いため、夏はこまめなチェックが必要です。冷却ファンや排熱ファン周辺の汚れは熱による故障を招きかねないため、日常的に確認しましょう。
制御盤自体の点検では、配線の断線が起こっていないか、サーボモータは正しく動作しているか、電源スイッチに不良が発生していないかをチェックします。
機械の清掃
切粉の堆積による各部位の故障を防ぐために、清掃はこまめに行う必要があります。切粉の堆積は、ボールねじやベアリングの故障につながります。カバーの上に切粉がたまらないよう、日ごろから点検と清掃を実施しましょう。
機械に付着した汚れは、乾いた布やブラシ、圧縮空気などを使用して取り除きます。機械だけでなく、周辺の床も清掃します。
各種部品の点検
各種部品は、まず目視でゆがみや傷がないかを確認します。ネジのゆるみや周辺の汚れもチェックし、ゆるみがあれば締めなおします。
各部位の点検が終わった後は、電源を入れ機械が正常に作動するかを確認し、あわせて回転数や異音の有無をチェックしましょう。
メーカーによるサポートでさらに安心
このように、点検箇所の多い工作機械のメンテナンスには多くの手間と時間がかかります。そのため、人手不足で定期点検が難しいことも少なくありません。
自社での点検が難しい場合は、メーカーのサポートを利用すると安心です。故障前のしっかりとしたメンテナンスで、機械の長寿命化を図り、故障によるさまざまな損失を防ぎましょう。
SPEEDIOのメンテナンスサポートは、充実の内容で機器のメンテナンスを実施します。
接続率97%以上のコールセンターや、ビデオ電話、24時間対応のチャットボットで緊急時の問い合わせに対応します。機器トラブルで生産が停止してしまった場合、コール受付から復旧までを48時間以内で実施することを目指して対応しています。
また、保証期間終了後も「メンテナンス契約」のご利用で、修理や点検にかかる費用を抑えられます。
品質の安定と安全のために適切なメンテナンスを
工作機械は、メーカーの保守点検マニュアルや取扱説明書に沿って、週に一度、月に一度などの定期点検を実施しましょう。こまめな日常点検が重要です。
当社のトレーニングスクール(メンテナンスコース)では、日常点検の方法などを学んでいただくことも可能です。CNCトレーニングスクールのご案内はこちら
とはいえ、人手不足を背景にこまめなメンテナンスや点検が難しいケースも少なくありません。そのような場合は、メーカーのサポートを利用して、メンテナンスにかける時間と人員を削減しながら、安全に安定供給できる体制を構築しましょう。
-
文:髙橋みゆき
1983年生まれ。2016年よりライター・編集者。各種民間保険、介護、医療、ITなど幅広いジャンルの記事を企画・執筆。
-
編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
https://eggo.jp/
- コストを削減したい
- 加工時間・人員・消費エネルギー等を節約
- ブラザーホーム
- 製品情報
- 工作機械
- マシナリーお役立ちNAVI
- 工作機械のサポートとメンテナンス