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切削加工不良はなぜ起こる?
原因と対策を解説
公開日:2025.11.26
切削加工において加工不良は避けて通れない課題です。加工不良が発生すると製品の品質低下を招くだけでなく、生産コストの増大に直結し、製造現場に深刻な影響を与えます。
本記事では切削加工で発生する代表的な加工不良の種類とその主な原因を整理し、切削不良の予防や早期発見に役立つ技術について解説します。
切削加工における
「加工不良」とは?
切削加工不良とは、工作物を図面で指定された形状・寸法・精度で仕上げることができない状態、または加工そのものを中断せざるを得ない状況を指します。
具体的には、以下のように製品全体の品質や生産コストに影響を与えます。
- 仕上がり面の粗さが規定を超える
- 寸法が公差範囲から外れる
(組み立て時の不具合発生) - 工具が破損する
- 修正によるコスト増、納期の遅延
このような不良品が市場に流出すれば、顧客からの信頼を失ってしまうおそれがあります。 また、特に安全性に関わる部品においては、重大な事故につながるリスクも存在します。
加工不良の原因は一つではなく、工具や材料の性質、切削条件、加工方法、工作機械の状態や工作物の取り付け方法など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生します。このため、切削加工不良を未然に防止するためには、加工不良の原因をなるべく減らしていくことが重要です。
加工不良の種類と主な原因
切削加工で起こりやすい加工不良の種類と、その主な原因について解説します。
- ビビリ
- バリ
- チッピング(欠け)
- 切粉(切りくず)によるトラブル
- 構成刃先
- コバ欠け
ビビリ
ビビリとは、切削加工中に起こる振動のことを指します。ビビリが断続的に発生することにより、加工面に特有の模様(ビビリマーク)が残ります。
ビビリが原因となる課題
- 仕上げ面の劣化
(ビビリマークの発生) - 工具の異常摩耗や欠損
- 工作機械の主軸や
摺動(しゅうどう)面を傷める - 寸法精度不良
ビビリは製品品質の低下や生産効率の悪化につながるため、適切な対策が求められます。
ビビリの発生要因と対策
ビビリの主な発生要因は、切削抵抗が過大な場合、ワークや機械、工具の剛性不足などです。
対策としては、工具選定や段取りで剛性を確保し、切削抵抗を低減する条件へ見直すことに加え、設備の定期点検とメンテナンスが重要です。
バリ
バリは、切削加工時に工作物のエッジ部分に発生する、意図しない金属の突起やめくれのことです。
特にアルミニウムや銅、ステンレス鋼のような延性(粘り)が高く、切粉がきれいに切断されにくい材料で発生しやすい傾向があります。
バリが原因となる課題
バリは、切削加工である以上、程度の差こそあれ完全に避けることは難しい現象です。バリが残っていると以下のような課題を引き起こします。
- 製品精度の低下
- 作業者の負傷
- 次工程への悪影響
バリの発生要因と対策
バリの発生要因は、ワークの押し込みや逃げ、切粉の不完全な切断などです。完全な防止は困難ですが、適切な工具選定、加工工程の調整、切削条件の見直しによってできるだけ抑えるようにしましょう。
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バリ取り作業を省人化することで、検品に時間をかけることもでき品質向上に役立ちます。
チッピング(欠け)
チッピングは、切削工具の刃先に発生する微小な欠けのことです。切削加工時には、工具の刃先に大きな負荷がかかるため、これが原因となってチッピングが発生します。
初期の微小なチッピングは見逃されがちですが、進行すると加工面の品位低下、寸法精度の悪化、バリの増大などを引き起こし、最終的には工具の大きな破損に至ることもあります。
チッピングが原因となる課題
チッピングが発生すると、以下のような問題を引き起こします。
- 仕上げ面の劣化
- 工具折損
チッピングの発生要因と対策
チッピングは、使用するワークが硬すぎる場合や、送り量が大きい場合、構成刃先の発生などが主な要因となって起こります。
対策としては、靱性の高い工具を選定します。刃先が鋭利なものを使用している場合は、先端の形状を丸みのあるものに変更することも有効です。送り量を調整したり、構成刃先の発生を抑えるために切削速度を見直したりすることも重要な対策となります。
切粉(切りくず)によるトラブル
切削加工において必ず発生する切粉の処理が不適切だと、さまざまな加工不良を引き起こす原因となります。
切粉が加工点からうまく排出されない場合に問題が発生します。
切粉が原因となる課題
切粉が原因となる問題には以下があります。
- 加工面へのキズ
- 工具への巻き付き・噛み込み
- 機械内部への堆積・噛み込み
- 加工精度の低下
切粉の発生要因と対策
上記のトラブルは、切削条件、工具の選定、クーラントの供給方法や量などが不適切な場合に発生しやすくなります。
対策としては、チップブレーカーの使用、切削パスの工夫、適切なクーラント供給、回転数や送り速度の調整が効果的です。切粉の排出は切削加工における大きな課題であり、各工程で切粉をどう排出するかがポイントとなります。
「切粉」についてはこちらの記事もご覧ください。
お役立ちNAVI「加工精度と生産性を高める切粉噛み込み対策」
構成刃先
「構成刃先」とは、切削加工中に、被削材の一部が高温高圧によって工具のすくい面(刃先の上面)に溶着し、新しい刃先のようになる現象です。
特に、軟らかい金属(アルミニウム合金、軟鋼など)を比較的低速で切削する際に発生しやすい傾向があります。
構成刃先が原因となる課題
構成刃先は一時的に切れ味を向上させるように見えることもありますが、実際には以下のような問題を引き起こします。
- 加工面の悪化
- 寸法精度の低下
- 工具摩耗の促進
構成刃先の発生要因と対策
構成刃先の主な原因としては、被削材と工具材種の親和性が高いこと、切削速度が低いこと、すくい角が小さい工具を使用していること、切削油剤の潤滑性が不足していることなどが挙げられます。
これを防ぐには、切削速度を上げること、冷却・潤滑を十分に行うこと、工具の材質やコーディングを選定することで発生を抑えることができます。
コバ欠け
コバ欠けとは、切削加工時に材料の端部(コバ)が欠けてしまう現象です。脆い性質の材料で発生しやすく、製品の品質低下や寸法精度の悪化を引き起こすため、加工において重要な課題となります。
コバ欠けが原因となる課題
コバ欠けが発生すると以下の問題を引き起こします。
- 製品精度の低下
- 加工コストの増加
- 工具寿命の短縮
- 製品の外観不良
コバ欠けの発生要因と対策
コバ欠けは、脆性の高い材料や機械に振動が残っている際に生じやすい現象です。
主な対策としては、材料の選定見直しや工具の交換、切削条件の最適化が挙げられます。振動に問題がある場合には機械メンテナンスを行います。
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文:馬場絵美
1981年生まれ。2021年よりライター、Webディレクター。IT・行政・SDGs・動物関連など幅広いジャンルの記事を執筆。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
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