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NCプログラムの作成方法を解説!
各方法のメリット・デメリットも紹介
公開日:2025.09.10
NC工作機械を活用した加工現場では、「NCプログラムの作成方法」が生産性や品質、教育コストに大きく影響します。どの方法を選ぶかによって作業の効率化が進む一方で、新人教育の負担や設備投資などのデメリットも見えてくるため、事前にその特性を把握しておくことが重要です。
本記事では、手打ち・対話式・CAMソフトといった代表的なNCプログラム作成方法について、それぞれのメリットとデメリットを比較しながら解説します。
さらに、導入時に陥りやすい属人化や教育コストの課題をどう防ぐといった視点も紹介。
自社の状況に合った方法を選び、生産現場の自動化・効率化を成功に導くためのヒントをお届けします。
目次
NCプログラムとは?
NCプログラムとは、NC工作機械(数値制御機械)を動かすための「加工指示書」のようなもので、加工内容や動作手順を数値や記号で記述したものです。旋盤やマシニングセンタといった機械において、穴あけ・切削・削り出しなどの加工を自動で行うために欠かせない存在です。
NCプログラムの基本構成と流れ
NCプログラムを活用するには、主に以下の手順を踏みます。
プログラムを作成する
加工内容に応じたコードを記述します。
シミュレーションや動作確認を行う
エラーが無いか確認し、必要に応じてプログラムを修正します。
本番加工を実施する
加工条件が整ったら、実際のワークに対して加工を開始します。
このプロセスは、どのNCプログラム作成方法を採用しても基本的には共通しています。
NC工作機械を制御する4つの主要構成
NC装置は、以下の4つの部品で構成され、それぞれが役割を分担して機械を動かしています。
表示制御部
現在の座標や状態を画面に表示する
数値演算部
入力されたコードを数値に変換して演算処理を行う
シーケンス制御部
加工工程の順序や信号の制御を行う
サーボ制御部
モータを制御し、工具やテーブルを動かす
このような構成によって、NCプログラムは「加工の自動化」や「精密な動作制御」を可能にし、ものづくり現場の生産性を支えています。
NCプログラムの主な作成方法の
特徴とメリット・デメリット
NCプログラムの作成方法には、大きく分けて「手打ち(マニュアル)方式」「対話式(コンバース方式)」「CAM(自動作成ソフト)を使った方法」の3種類があります。
NCプログラムの作成方法を選ぶ際には、各方式のメリットとデメリットを把握することが重要です。どの方法にも一長一短があり、現場の状況や人材のスキルによって向き・不向きがあります。
ここでは、代表的な3つの方式について、それぞれの特徴を比較しながら解説します。
作成方法 1.手打ち(マニュアル)方式
特徴とメリット
手打ち方式は、NC工作機械の制御装置にオペレータが直接Gコードなどを入力してプログラムを作成する方法です。
昔ながらのアプローチで、加工内容をすべて手で入力する必要があるため、NCコードに対する深い理解とスキルが求められます。
この方法の強みは、現場で即座に修正・変更ができる点や、特別なソフトや機材が不要であることです。特に、シンプルな形状の加工や、少量生産・単品生産などに向いています。
デメリット
手打ち方式は、機械の操作パネルに直接Gコードを入力してプログラムを作成する方法であるため、デメリットとしては、NCコードの知識が必須であることが挙げられます。習得には時間がかかり、新人教育のハードルも高いのが実情です。
また、加工内容が複雑になるほどコードも複雑化し、ミスのリスクも増加します。属人化が進みやすく、現場の技術力に強く依存する点も注意が必要です。
作成方法 2.対話式(コンバース方式)
特徴とメリット
対話式とは、機械の操作パネルに表示されるガイドに従って、加工条件や寸法を入力することで、プログラムを自動生成する方式です。
Gコードなどの専門知識が不要なため、初心者でも比較的短期間で操作を習得できます。
操作性が高く、2次元加工や比較的単純な工程には非常に有効です。あらかじめ機械に組み込まれていることが多く、追加費用が不要なケースもあります。
デメリット
対応できる加工の範囲に制限があることがデメリットです。
3軸以上の同時制御が必要な場合や、複雑な加工では対応が難しいことがあります。
また、操作担当者がプログラム作成も担うケースが多く機械操作とプログラム作成が分業しにくいため、作業効率が落ちることも考慮しなければいけません。
SPEEDIOのW,R,S(5AX,100Tを除く),U(5AX,100Tを除く)シリーズのミクロン仕様は対話型も標準搭載しています。
作成方法 3.CAM(自動作成ソフト)を使った方法
特徴とメリット
CAM(自動作成ソフト)を使った方法は、PC上でCADデータをもとに加工工程を定義し、NCプログラムを自動的に作成する高度な方式です。作成されたプログラムは、USBメモリやネットワークを介して工作機械へ転送されます。
この方法の大きな利点は、3次元形状や同時多軸制御を含む複雑な加工に対応できること。また、加工前にシミュレーションを行えるため、ミスを未然に防げることです。
設計者と加工者の分業体制も構築しやすく、属人化の解消にもつながります。
デメリット
一方で、操作に慣れるまで時間がかかること、導入に際しては高性能なPCやソフトウェアライセンス費用が必要な点には注意が必要です。教育コストや環境整備を視野に入れた運用計画が求められます。
NCプログラム作成方法、どれが向いている?
NCプログラムの作成方法は複数ありますが、すべての現場に最適な「万能な方法」は存在しません。加工の内容や人材構成、導入コストなどを踏まえて、自社に合った方法を選ぶことが生産性向上のカギとなります。
ここでは、それぞれの方式がどのような現場に適しているかを解説します。
手打ち(マニュアル)方式
手打ち方式は、シンプルな形状の部品を大量に生産する現場に適しています。プログラムの内容が一定で、頻繁な変更が不要な場合、既存の設備と職人の技術で十分に対応可能です。
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 簡単な加工が中心である
- 手打ちできるベテラン作業者が多い
- 量産品が多く、プログラム変更の頻度が少ない
設備投資を抑えながら運用したい工場や、熟練者の技術を最大限に活かしたい場合におすすめです。
対話式(コンバース方式)
対話式は、少量多品種の2次元加工が中心の現場や、教育コストをかけずにスピーディに作業者を育てたい職場に適しています。直感的な操作でプログラムを作成できるため、NC初心者にも扱いやすい方式です。
- 2次元形状の加工が中心である
- プログラミング知識がないスタッフにも操作させたい
- できるだけ費用をかけずに効率化したい
特に中小企業や町工場など、初期投資を抑えながらDXを進めたい現場で導入されるケースが多く見られます。
CAM(自動作成ソフト)
CAMは、複雑な3次元加工や試作品製作が多い現場、または分業体制を確立したい工場に最適です。設計からプログラム作成までの一連の流れをデジタル化できるため、生産性と品質の両立が図れます。
- 3軸以上の同時加工や曲面加工を多く扱う
- 設計・製造の分業体制を取り入れている
- 新人にも早期に加工業務を任せたい
- 試作品の数が多く、プログラム作成の頻度が高い
操作の習得や導入コストは必要ですが、その分、属人化の回避や自動化の推進にも効果を発揮します。
NCプログラムの作成方法の属人化を防ぐためには
NCプログラム作成では「属人化」が大きな課題です。
特定の人しか対応できない状況では、急な欠勤や退職が生産性に直結します。誰でも同じ品質でプログラムを作れる仕組みづくりが欠かせません。
その対策として、まずはよく使う加工パターンのテンプレート化が効果的です。命名規則や保存ルールも統一すれば、誰が作成しても同じ手順で作業が進められます。
次に重要なのが教育体制の整備です。操作マニュアルやチェックリスト、動画マニュアルなどを活用すれば、経験の浅い人でも理解しやすく、スムーズにスキルを引き継げます。
さらに、CAMソフトや対話式ソフトの導入も属人化の解消に役立ちます。これらを使えば、専門的な知識がなくても一定レベルのプログラムを作成でき、新人でも早期に実務へ参加可能です。
厚生労働省でもNCプログラミングの基礎教材を公開しており、公的な情報を活用すれば、導入や教育の初期段階でも安心して進められます。
参考資料:技能振興ポータルサイト…(数値制御旋盤作業)編
なお、ブラザーでも「よくあるご質問(操作・プログラミング関係FAQ)」のページをご用意しています。
ブラザーSPEEDIOを効果的に使用していただくために、プログラミング、メンテナンススクールを定期的に開催しております。
NCプログラムを活かして生産現場を効率化しよう
NCは、精密加工の自動化や省人化を実現するために欠かせない技術です。NC工作機を導入することで、業務の効率化だけでなく、品質の安定や人材育成の負担軽減にもつながります。
重要なのは、自社の現場に合ったNCプログラムの作成方法を選び、上手に活用することです。
例えば、職人が多く在籍し、比較的単純な加工が中心の現場であれば、手打ち方式が最もシンプルで効果的です。
一方、2次元加工が多く、教育コストを抑えながら早期戦力化を図りたい場合には、対話式ソフトの活用が向いています。複雑な3D形状や多品種少量生産が求められる現場では、CAMソフトを導入して設計から加工までの流れを統合することが、生産性向上のカギとなるでしょう。
いずれの方式を選ぶにしても、属人化の防止や標準化、マニュアル整備などとあわせて取り組むことで、現場全体のパフォーマンスは確実に向上します。また、プログラム作成に関わる工数や人的ミスの削減、教育の効率化といったメリットも得られ、結果的にコスト削減や納期短縮にもつながります。
NCプログラムは単なる「加工指示」ではなく、生産現場を支える資産です。業種や設備、人材構成に応じて最適な作成方法を見極め、自社の強みに変えていくことで、現場の安定と将来の成長を両立させることができます。
効率化と技術継承の両面で、NCプログラムを最大限に活用していきましょう。
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文:河井ひとみ
1979年生まれ。国立工業高専卒業後、ソフトカプセルOEMメーカーに入社し、品質管理・品質保証職を経験。化粧品会社への転職を経て、2020年にフリーライターへ転身。製造業関連のBtoB記事はじめ、SaaS関連記事やホワイトペーパーなど幅広いコンテンツを手がけています。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
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