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労働力不足の時代における工作機械の自動化。事例の紹介
公開日:2024.03.21
将来にわたり人口減少が見込まれる中、さまざまな業界で人手不足が叫ばれています。製造業も例外ではありません。労働力不足対策として、製造業では省人化を考える必要があるでしょう。製造業における省人化を大きく進めるものに、工作機械の自動化があります。
本記事では、労働力不足対策に寄与する工作機械の自動化とは何か、またそのメリットや自動化の事例をご紹介します。
目次
省人化で労働力不足を乗り越える
厚生労働省の「2022年版 ものづくり白書」によると、製造業の就業者数は約20年間で157万人減少しているとのことです。
さらには、若者の就業者数は約20年間で121万人減少している一方で、高齢就業者数は33万人増加と、少子高齢化の影響が色濃く表れています。今後も加速するとみられる少子高齢化による労働力人口の減少への対策として、ラインや工場における省人化は避けられない課題といえるでしょう。
「省人化」とは
省人化とは、同じ製造工程や作業工程をより少ない作業員でまかなえるようにすることを意味する言葉です。
省人化によって労働力不足の解消を図れるだけでなく、人件費の抑制や生産性の向上が期待できます。また、近年求められている働き方改革の推進や、技術・技能承継問題の解消も図れる可能性があります。
省人化においては、とくに非効率な作業や負担が大きい作業、人の手を必要としない作業は、ロボット技術や設備の導入による自動化を検討してみましょう。
工作機械の自動化とは
工作機械の自動化とは、工作機械にロボットなどを組み合わせて加工の工程の一部または全部を機械が行うことを指します。
人材の高齢化や人手不足を背景に、製造業でも生産性向上を目指して業務の自動化が進められています。マシニングセンタやNC旋盤などのCNC工作機械では、すでにコンピューターによるプログラムと自動工具交換システム(ATC)により、加工の自動化が実現しています。
自動化の4つのメリット
工作機械を自動化することで、主に次の4つのメリットが生まれます。
省人化(生産性向上)
工作機械の自動化により、少ない人手で24時間機械を稼働させられます。人による作業時間が1日8時間の場合、自動化された工作機械は単純計算で1日3人分の労働をこなすことになります。
品質の向上・安定
人の手で行う作業にはヒューマンエラーがつきものです。作業者の熟練度や体調によっては、ミスが多発してしまうこともあるでしょう。また、モノや作業機械の破損や作業者のケガが発生してしまい、それらが損失につながることもあります。ロボットでは、疲労による品質のばらつきや作業スピードの遅延化が起こらないことも特徴です。
工作機械の自動化は、このようなミスや破損、ケガといった事故の発生リスクを低減しながら、品質の安定を図れることも利点の一つです。
人件費の抑制
工作機械の自動化はコスト削減にも有効です。加工業務に関わる作業者の人数や作業時間を削減することは、人件費の削減につながります。
多くの従業員を要していた加工作業の自動化で、人件費を抑制しながら生産性を向上させることで、利益幅の拡大を目指せます。
人手不足の解消
前述した通り、ロボットは人とは違い24時間稼働できる利点があります。多くの従業員があたっていた加工の自動化を実現できれば、その分人材を異なる業務に就かせられるでしょう。従来であれば、人手が足りないときには採用によって新たな人材を獲得する必要がありました。工作機械の自動化によって、加工作業に必要な人材を減らし、その人材を人手が足りていない別の業務にあてることも可能です。
産業用ロボットによる工作機械の自動化
では、具体的にどのようにして工作機械の自動化を行うのでしょうか。ここからは、工作機械の自動化で使われている主なロボットをご紹介します。
垂直多関節ロボット
垂直多関節ロボットとは、人間の腕のような形状をしている産業ロボットのことで、軸の数が増えるにつれ可動域が広がり、さまざまな動きが可能になります。7軸タイプでは、人の腕と同様の動きも可能です。
スカラロボット(水平多関節ロボット)
スカラロボットとは、主に部品の組み立てやピックアップに使われるロボットで、水平多関節ロボットとも呼ばれています。水平方向であれば高速移動も可能で、機械の剛性も高いため、部品の圧入作業も行えます。
協働ロボット
協働ロボットとは、製造の現場で人とともに働くロボットです。組み立てや搬送など、作業者のサポートを行うことが主で、省スペースに利用できる利点があります。加工後のワークの計測や不良品の判別などに利用されることもあります。NC工作機械においては、ワークの着脱・ツール交換などで用いられているロボットです。
工程別の自動化
一口に工作機械の自動化といっても、その種類や方法はさまざまです。ここからは、ワークの搬送、着脱、機上計測など、工程別の自動化について説明します。
ワークの搬送
パレットの自動交換やワークの自動交換、自動着脱などを可能にする装置で、工作機械の自動化を行えます。
APC(Auto Pallet Changer:自動パレット交換装置)は、交換式テーブルユニットのパレットを自動で交換する装置のことで、主に横形マシニングセンタで利用されます。シャトル式のAPCは、左右に置いたパレットを水平にスライドさせながら交換します。ターン式のAPCは、2台のパレットを旋回させて交換します。
AWC(Auto Work Changer:自動ワーク交換システム)は、自動で加工するワークを交換するシステムです。マシニングセンタにおいて、工程と工程の間に、従業員にかわってワークの交換作業を行います。
オートローダー(ガントリーローダ)は、自動でワークを着脱する装置です。主に利用されているオートローダー(ガントリーローダ)は、工作機械の上に設置してワークを高速搬送させられる特徴があります。
加工ワークの機上計測
NC工作機械において、加工ワークの寸法を計測するタッチセンサもあります。タッチプローブと呼ばれる装置で、マシニングセンタなどの主軸に搭載したセンサをワークや治具などに接触させることで、正確な寸法を計測します。
加工後のワークの寸法計測により、高い精度の加工が可能です。タッチプローブにより、作業者が必要であった加工ワークの計測を自動化できます。
複合加工機による工程集約
さまざまな工程を自動で行える複合加工機を用いることで、製造のさらなる自動化を図れます。複合加工機は、従来複数の工作機械が必要であったいくつもの工程を、一つに集約した工作機械です。
複合加工機には工具の自動交換機能が備わっており、ワークの取り替えをせずにフライス削りや旋削、研削といったいくつもの加工を行えます。
これらの作業を一つひとつ異なる工作機械で行う場合、工作機械それぞれにスペースと作業人員が必要です。複合加工機の活用で、工程の自動化だけでなく、機械の省スペース化と省人化を図れます。
自動化の事例
最後に、工作機械を自動化した事例をご紹介します。
株式会社ミツトヨ(宇都宮 測器工場)様
株式会社ミツトヨでは、品質の安定と生産性の向上を目指して、パレットチェンジャーを搭載した「SPEEDIO R450X1N」と、ワークの脱着を行うロボットアームを導入。以前は3台の設備で行っていた工程を1一台に集約することができました。
それに加えて、生産性も向上。品質の安定においては、3台の設備での加工で発生していた品番ごとのバラつきは、1台に集約することで低減され、後工程にもスムーズに流せるようになったといいます。これにより、現場の従業員の負担軽減や物流改善にもつながりました。
設備選定においてはエコを重要視しており、省エネルギー設計の「SPEEDIO R450X1N」にもエコへの貢献を期待しています。
導入事例リンク
株式会社ミツトヨ様 「3台で行っていた工程が1台で可能に」
株式会社タチ製作所様
株式会社タチ製作所では、かねてから省人化・無人化に取り組んでおり、夜間業務の自動化を目的として「ローディングシステム BV7-870A」をセットした「SPEEDIO M200X3 」を導入しました。
導入にあたっては、精度を確認するためにさまざまなテスト加工を行うことで不安を解消。目的であった夜間操業の省人化を達成しながら、加工時間の短縮効果もあり、原価低減につながりました。
導入事例リンク
株式会社タチ製作所様 「ローディングシステムによる自動化で省人化を実現」
自動化で「労働力不足対策+コストの削減」を実現
人手が必要だった作業を自動化することにより、作業人員を減らし、人件費の抑制や生産性の向上を図れます。
これから工作機械の自動化を検討している企業は、自動化できそうな作業を洗い出すとともに、どのような機器で対応できるのか、どのくらいの設備投資が必要なのかを算出する必要があります。初めての自動化で不安を抱えている企業は、工作機械メーカーへの相談を検討してみましょう。
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文:髙橋みゆき
1983年生まれ。2016年よりライター・編集者。各種民間保険、介護、医療、ITなど幅広いジャンルの記事を企画・執筆。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
https://eggo.jp/
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