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中堅企業必見!賃上げと省力化を同時に実現する大規模成長投資補助金とは
公開日:2024.04.05
働き方改革や人手不足への対応が求められるなか、中小企業にとって賃上げと省力化への投資は喫緊の課題となっています。しかし、その実現には多額の資金が必要であり、自社の資金力だけでは限界があるのが現実です。
そこで注目したいのが、2024年に新設された「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)」です。
この記事では、大規模成長投資補助金の概要や申請方法、活用するメリットなどを詳しく解説します。補助金を有効活用して、自社事業の競争力強化と持続的な成長につなげていきましょう。
大規模成長投資補助金とは?
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)」(以降、大規模成長投資補助金)とは、中堅・中小企業が持続的な賃上げを目的としています。、それを実現するために本事業においては、足元の人手不足へのに対応に向けたした「省力化等などのによる労働生産性の抜本的向上」と「事業規模の拡大を図るために行う工場等の拠点新設や大規模な設備投資」に対して補助を行います。
企業にとっては賃上げを実現するための後押しとなり、利用することで生産性向上と従業員の所得増加の両立を図れます。
まずは、制度の概要を確認していきましょう。1次公募の受付締め切りは2024年4月30日(火)なので、活用するのであれば早めに準備を進めていくことが重要です。
補助金の目的と対象者
地域の雇用を支える中堅・中小企業が人手不足などの喫緊の課題に対し、さらなる成長のための大規模投資を促進することで、地方における持続的な賃上げ実現を目的としています。
補助金の対象となるのは、中堅・中小企業(常時使用する従業員数が2,000人以下の会社等)です。また、「企業組合」「連合会」なども補助対象に含まれます。
補助対象となる設備投資や賃上げ要件
補助の対象となる経費には、建物費、機械装置費、ソフトウェア費などが含まれます。
区分 | 対象となる経費 |
---|---|
建物費 | 生産施設、加工施設、販売施設などにおける、建設・増築・改修などにかかる経費 |
機械装置費 | 補助事業に必要な機械装置、工具などの購入・製作・借用などにかかる経費 |
ソフトウェア費 | 補助事業に必要な専用ソフトウェアや情報システムの購入・構築・借用などにかかる経費 |
外注費 | 補助事業に必要な加工や設計、検査などの委託にかかる経費 |
専門家経費 | 事業遂行のために依頼をした専門家に支払われる経費 |
また、大規模成長投資補助金では、賃上げに関する要件が設けられています。 補助事業が完了してからの3年間において、給与支給総額の年平均上昇率が当該都道府県の最低賃金の年平均上昇率以上であることが条件です。
最低賃金の年平均上昇率は自治体ごとに異なりますが、おおよその基準率は3%前後です。この数値以上の賃上げが必要であり、それを達成するために補助事業を遂行して生産性・収益性の向上を図ります。
補助率と上限額
大規模成長投資補助金における補助上限額は最大50億円で、投資額10億円以上の事業に限られます(補助率1/3以内)。
補助金の予算規模は、総額で3,000億円となっています(令和 5 年度補正予算 1,000 億円)。
申請から交付までのスケジュール
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)」の申請から交付までのスケジュールは、以下のようになります。
2024年3月6日:1次公募開始
2024年4月30日:公募締め切り
2024年5月中旬~6月中旬:書面審査(1次審査)通過ののち、プレゼンテーション審査(2次審査)の実施
2024年6月下旬:採択発表および交付決定
~2026年12月末まで:補助事業の遂行
補助事業終了後3年間:賃上げ実績のフォローアップ
なお、1次公募終了後、2次公募が行われることも示唆されています。ただし予算上限に達した場合、実施されない可能性もあります。
大規模成長投資補助金は、2024年に新たに創設された補助金です。一般的に補助金制度は回数を重ねるごとに申込み件数は増える傾向にあるため、利用を検討する場合はできる限り1次公募で申し込むのが得策といえるでしょう。
大規模成長投資補助金を活用するメリット
大規模成長投資補助金を活用することで、中小企業はさまざまなメリットを享受できます。ここでは、その主なメリットを4つの観点から解説します。
大規模投資による事業規模拡大
大規模成長投資補助金の補助対象になるのは、投資額が最低10億円の事業に限られます。補助上限額も50億円に設定されており、これまで広く利用されていた「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」などとは制度の規模が一線を画します。
一定の事業規模が求められるため申請のハードルは高いものの、採択されれば工場新設や生産ラインの増設を行えます。同時に、省力化・賃上げを図ることが大規模成長投資補助金の申請要件に含まれているため、上手に活用できればコストダウンと事業拡大を両立でき収益体質の強化につながるでしょう。
省力化投資による生産性向上
省力化投資は、人手不足の解消や業務効率化に直結します。今後も日本では少子高齢化、労働生産年齢人口の減少が続きます。人手不足はより深刻になっていくため、企業が持続的な成長を続けていくためには省人化への取り組みが欠かせません。例えば、工場にロボットを導入することで、単純作業の自動化が進み、生産性が向上します。また、業務のデジタル化により、ペーパーレス化や情報共有の迅速化が実現し、業務の質と速度が向上します。
この補助金を活用して省力化投資を行えば、生産性向上による売上増加や コスト削減の効果が期待できます。加えて、人的ミスの防止や品質の安定化にもつながるでしょう。
賃上げによる人材確保と従業員の働く意欲向上
人手不足が深刻化するなか、優秀な人材を確保し定着させることは中小企業の大きな課題です。賃上げは、人材獲得力の強化に直結するといっても過言ではありません。魅力的な給与を提示できれば、優秀な人材の応募が増え、採用活動にもいい影響が出てくるでしょう。
大規模成長投資補助金の大目的は「賃上げ」です。補助金を利用して省力化と事業拡大ができれば、おのずと従業員待遇の改善を図れるでしょう。賃上げは、従業員の働く意欲を高める効果が期待できます。給与が上がれば、従業員の満足度が向上し、仕事へのモチベーションが高まります。その結果、さらなる生産性の向上や優秀な人材の定着といった好循環を生み出せます。
企業の成長力強化とイメージアップ
省力化投資と賃上げは、企業の成長力を強化します。生産性が向上し、優秀な人材が集まれば、イノベーションが促進され、新製品・新サービスの開発にも注力できるようになるはずです。
加えて、積極的な投資と賃上げを行うことによる企業イメージのアップも見逃せない点です。従業員を大切にし、成長に投資する企業として、顧客や取引先からの信頼が高まるでしょう。優秀な人材が集まりやすくなるのはもちろん、金融機関からの融資も受けやすくなり資金調達にも寄与します。
大規模成長投資補助金の申請方法
大規模成長投資補助金は、電子申請のみを受け付けています。そのためにはGビズ ID プライムアカウントの取得が必要なので、まずはその準備から始めましょう。
GビズID | Home
なお、申請には以下の提出書類が求められます。
・成長投資計画書:スライドで補助事業のビジョンや必要性、投資計画などをまとめる
・成長投資計画書別紙:Excel形式で補助事業の貸借対照表、経費内訳などをまとめる
・ローカルベンチマーク:Excel形式で企業の財務分析結果をフォーマットに則ってまとめる
・決算書等(3期分):任意のフォーマットで3期分の決算書をPDF形式で提出する
公募要領や申請様式などの必要書類は以下のページでダウンロード可能です。また、上記の書類以外にも該当企業に限り、「金融機関による確認書」や「リース取引に係る誓約書」などの資料も必要です。
補助金詳細 | jGrants ネットで簡単!補助金申請 | jGrants
通過率アップ!補助金申請のポイントと注意点
大規模成長投資補助金の申請にあたっては、いくつかのポイントと注意点があります。ここでは、採択率を上げるためのポイントを解説します。
事業計画は補助金の目的に合致していることが前提
補助金申請で最も重要なのは、事業計画が補助金の目的に合致していることです。大規模成長投資補助金では、省力化投資と賃上げが大目標となっているので、事業計画もそれに即した内容にすることが不可欠です。
省力化投資をすることで、どのように生産性が上がり賃上げにつながるのか、論理的に示す必要があります。事業計画作成の際は、補助金の目的を常に意識し、それに沿った内容になっているかを確認することが重要です。
大規模成長投資補助金の審査基準を意識する
補補助金申請を成功させるためには審査基準を十分に理解し、申請書類の作成や事業計画の立案に反映させることが重要です。大規模成長投資補助金の場合は、以下の5つの審査基準が開示されています。
・経営力
・先進性・成長性
・地域への波及効果
・大規模投資・費用対効果
・実現可能性
補助金制度の目的である省力化・賃上げを達成するために、上記の点を意識して事業計画を立てましょう。
事業計画を通じて自社の特徴や強みをアピールする
補助金申請では、事業計画を通じて自社の特徴や強みを積極的にアピールしましょう。審査員に自社の優位性を理解してもらえれば、同時に事業計画の説得力も増すはずです。
「独自の技術力を活かした新製品開発により、新たな市場を生み出す」「業界トップクラスの生産効率を誇る工場の自動化により、さらなる生産性向上を図る」など、自社ならではの事業計画を構築できれば採択率アップにつながります。
事業計画書は具体的かつわかりやすくまとめる
事業計画書は、具体的かつわかりやすくまとめることが求められます。抽象的な表現や、難解な専門用語が多いと、事業内容がいかに優れていてもそのよさが伝わらなくなってしまいます。
また、数値目標については根拠を示しながら具体的に記載しましょう。事業全体の目標や予測がどのように組み立てられているのかは、補助金審査で重要視されるポイントです。整合性とわかりやすさを意識しながら、補助金獲得を目指しましょう。
大規模成長投資補助金を活用して賃上げと省力化を同時に実現
大規模成長投資補助金は、中小企業の賃上げと省力化投資を支援する制度です。申請準備は簡単ではありませんが、補助金を獲得できれば、自社の発展と従業員の待遇改善を同時に実現できるでしょう。
1次公募の締め切りは2024年4月末です。今回ご紹介した採択率アップのポイントも意識しながら、すぐに準備に取り掛かりましょう。
また、これまで補助金の対象外になりがちであった中堅企業も大規模成長投資補助金を利用できます。工場や事業拠点の立ち上げ・新設をお考えの企業様は、補助金の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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文:小林悠樹
1988年生まれ。一橋大学卒業後、食品メーカーへ入社。営業職を経験したのち、2017年にフリーライターへ転身。企業への取材記事、通信大手のオウンドメディアなどをはじめ、幅広いコンテンツを手がけています。
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編集:株式会社イージーゴー
WEBコンテンツ、紙媒体、動画等の企画制作を行う編集制作事務所です。ライターコミュニティ「ライター研究所」も運営しています。
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