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お弁当・惣菜・菓子製造などの加工食品事業者向け
お客様が安心する法律に則った「食品表示ラベル」の作り方とは?
公開日:2024.08.09
2020年4月から新しい「食品表示法」が完全施行され、「食品表示基準」に則った表示がすべての事業者に義務付けられました。なかでも表示義務の対象となる事業者数が多いのが、お弁当・惣菜・菓子製造などの「加工食品」を製造・販売する事業者です。新しくお店を始める方にとっては、適切な食品表示ラベルの作成はハードルが高く、戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、加工食品の製造・販売を行う事業者の方向けに、食品表示基準に則った正しい「食品表示ラベル」の作成方法をわかりやすくご紹介します。また「栄養成分表示」や「アレルギー表示」等も簡単に実現できる「食品表示ソフト」をご案内しますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. まず「食品表示法/食品表示基準」の内容を理解しよう。
元々の「食品表示法」は、2013年に成立し2015年4月から施行されています。それまで食品表示は、食品衛生法(安全と衛生)、JAS法(食品の品質)、健康増進法という3つの法律で定められていましたが、3法はそれぞれ目的が異なり、制度も複雑でわかりにくいものでした。そこで新たに食品表示法として3法の規定を統合し、食品表示に関する包括的かつ一元的な制度としたのです。
過去の食品表示3法の目的
○食品衛生法:飲食に起因する衛生上の危害発生を防止する。
○JAS法:農林物資の品質の改善、品質に関する適正な表示により消費者の選択に資する。
○健康増進法:栄養の改善その他の国民の健康の増進を図る
事業者が遵守すべき具体的ルールは、「食品表示基準」として整理されています。これは上記3法の元に定められていた58本の表示基準を統合し、消費者が求める情報提供と事業者が対応できる範囲とのバランスを取り、双方にとってもわかりやすい表示基準を策定したもの。食品の製造・加工・輸入・販売者はこの基準を遵守することが義務付けられています。新しい表示の準備をするための猶予期間もすべて終了し、2020年4月から完全施行されています。
また2022年3月には、消費者庁が「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定しました。食品表示基準の禁止事項に該当するおそれが高い「不使用表示」を10類型に整理して、事業者の注意喚起と自己点検を促しています。それまで事業者が任意で行っていた「無添加」や「〇〇不使用」などの添加物表示は、ガイドラインに沿った見直しが必要になっているのです。
下記コラムでは、最新の食品表示と無添加表示に関する情報をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
→新しい食品表示制度の詳細、違反した場合の罰則規定、食品表示ラベルの全般的留意事項は、こちら。
→食品表示法・食品表示基準の最新情報は、以下の消費者庁のホームページへ。
2. 加工食品の表示ラベルに記載する「栄養成分表示」のルールを確認しよう。
食品関連事業者の中で特に店舗数が多いのは、お弁当・惣菜・菓子などの「加工食品」の製造・販売を行う事業者です。ここからは「加工食品」に焦点を当て、食品表示基準に則った正しい「食品表示ラベル」の作成方法を解説します。
まず、「加工食品の定義」を確認しておきましょう。「加工食品」とは、以下の25項目で、消費者庁資料の11ページに、該当する25項目の詳細が示されています。
麦類、粉類、でん粉、野菜加工品、果実加工品、茶・コーヒー及びココアの調整品、香辛料、めん・パン類、穀類加工品、菓子類、豆類の調整品、砂糖類、その他の農産加工食品、食肉製品、酪農製品、加工卵製品、その他の畜産加工食品、加工魚介類、加工海藻類、その他の水産加工品、調味料及びスープ、食用油脂、調理食品、その他の加工食品、飲料等
また「加工の定義」については「新しい属性を付加する行為で、加工行為を行う前後で比較して、本質の変更を及ぼさない程度の行為」とされ、具体的には、形態の変更(切断・整形・選別・破砕・混合)、容器包装の変更(盛り合わせ、小分け)、加塩、骨取り、表面をあぶる、冷凍、解凍、結着防止の8項目の解説が、消費者庁資料の29ページに示されています。
2020年4月から完全施行された食品表示基準で、加工食品の事業者にとって特に重要なポイントは、①加工食品の栄養成分表示が義務化、②加工食品のアレルギー表示が変更、の2点です。順に見ていきましょう。
加工食品の「栄養成分表示」が義務化
栄養成分表示の目的は、「容器包装に入れられた加工食品及び添加物に含まれる栄養成分に関する情報を明らかにし、消費者に適切な食生活を実践していただくため」です。また栄養成分の量及び熱量について「○○含有」、「低○○」などのような強調表示を行う場合の基準も定められています。
栄養成分の表示方法には、決まりがあります。まずは次のフローチャートで、栄養成分表示が必要かどうかを確認してみましょう。そして「栄養成分表示の義務がある」場合には、栄養成分表示の「表示ルール」を確認しましょう。
→加工食品の「栄養成分表示」の詳細は、こちら。
栄養成分表示の「表示ルール」
○「表示が義務」づけられている栄養成分:熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)
○「表示が推奨」されている栄養成分:飽和脂肪酸、食物繊維
○「任意で表示」される栄養成分:ミネラル(亜鉛、カリウム、カルシウムなど)、ビタミン(ビタミンA、ビタミンB1、 ビタミンCなど)等
○「栄養強調表示」の詳細:健康の保持増進に関わる栄養成分を強調する表示は、基準を満たした食品だけに認められます。
→栄養成表示/栄養強調表示の詳細は、こちら。
3. 「アレルギー表示」が変更になり、原則として「個別表記」となります。
次に、加工食品のアレルギー表示が変更になった、というポイントを見ていきましょう。
加工食品のアレルギー表示が変更
食物アレルギー患者にとって、その表示は極めて重要です。万が一、食物アレルギー表示が適切でなかった場合には、その表示を信用した食物アレルギー患者がアレルギー症状を起こし、重篤な場合には命の危険にさらされることもあります。このような事故を未然に防止するためには、加工食品を製造・販売する事業者が、食物アレルギーの表示制度に関する正確な理解と適切な表示を行うことが非常に重要です。
食物アレルギー表示は、「特定原材料」を含む加工食品、「特定原材料」由来の添加物を含む生鮮食品の一部、及び「特定原材料」に由来する添加物について表示が求められます。
「特定原材料」とは、食物アレルギーの重篤度・症例数の多い8品目(特定原材料)で、食品表示基準で表示が義務付けられています。また、過去に一定の頻度で健康危害が見られた20品目(特定原材料に準ずるもの)については、通知による表示を推奨しています。
○特定原材料8品目:表示が義務
えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)
○特定原材料に準じる20品目:表示を推奨
アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・マカダミアナッツ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン
「特定原材料」は、発症数や重篤度により規定されています。「卵・乳・小麦」は、下図のように食物アレルギーの原因食物全体の約60%を占めていること、「そば及び落花生(ピーナッツ)」は重篤な症状を呈すること、「えび及びかに」は成人期での新規発症や誤食が多いこと、「くるみ」は近年、木の実類の中でも症例数が増加していることなどから表示が義務付けられています。(下記グラフ/表は、消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」より)
食物アレルギーの表示方法
加工食品の食物アレルギー表示の方法は、原材料欄及び添加物欄に、含まれている「特定原材料等」を記載します。記載の方法は、原則として「個別表示」で行いますが、個別表示で表示できない場合や個別表示がなじまない場合は「一括表示」することも可能です。
○個別表示(原則):個々の原材料の直後にそれぞれに含まれる「特定原材料等」を表示します。
○一括表示(例外):表示可能面積の都合等により個別表示がなじまない場合に、当該食品に含まれるすべての「特定原材料等」をまとめて表示します。
食物アレルギー表示の留意事項は、極めて多岐にわたります。消費者のアレルギー症状を防止するために、消費者庁の下記資料をぜひご確認ください。
→アレルギー表示の詳細は、消費者庁:加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック
4. 「栄養成分表示」と「アレルギー表示」を自動化するソリューション
では「栄養成分表示」や「アレルギー表示」を行うために、表示するそれぞれの「値」はどのように求めるのでしょうか。消費者庁の下記資料では、次の2つの方法を解説しています。
→消費者庁:「初めて栄養成分表示をする方へ/食品表示基準における栄養成分表示」
○分析により値を得る方法
値の設定に用いる分析方法は、食品表示基準に規定される場合(栄養強調表示の値など)を除き、特段の定めはありません。
○計算等により値を得る方法
データベース等の値を用いること、またはデータベース等から得られた個々の原材料の値を計算して表示値を求めることも可能です。
上記の消費者庁の資料には、具体的な計算方法や値の表示方法が解説されていますが、新規開店で忙しい方にはかなりハードルが高い作業です。そこで、ブラザーとパートナー企業による「食品表示ラベル発行のためのソリューション」をご紹介します。費用感などを考慮していただき、お客様に合った方法をご検討ください。
ラベル.e-STOREオリジナル「食品表示向けラベル発行システム」
(株式会社KTS×ブラザー)
株式会社KTSが運営する「ラベルル.e-STORE」が開発した、食品表示向けのラベル発行ソフトです。食品表示に必要な機能が搭載されており、簡単にラベル発行やデータ登録・編集が可能です。
○Point 1:食品表示ラベル基準をすべてクリア!
ラベル.e-STOREオリジナル「食品表示向けラベル発行ソフト」は、栄養成分表示やアレルゲンなど、食品表示ラベルの基準をすべてクリアしています。
○Point 2:3つの品番呼び出しで簡単発行!
「読み出しコード入力」「品名検索」「品名リスト」のいずれかの操作で呼び出したアイテムが、次の画面で表示されます。ラベル発行枚数を入力し、枚数をクリック、最後に発行をクリックすると、ラベルプリンターから食品表示ラベルが発行されます。
ラベル.e-STOREオリジナル「食品表示向けラベル発行システム」に対応したブラザー製品
自動で計算、自動でデザイン「スマート食品表示」
(株式会社Modelor×ブラザー)
栄養計算や産地表示など、違法とならない表示を強力にサポート。さらに自動でラベルデザインも行えます。
○Point 1:ややこしい計算と適法表示を強力サポート!
栄養成分、原材料の並び替え、添加物、アレルギー、産地表示などを、強力にサポートします。
○Point 2:自動で食品表示ラベルをデザイン!
リサイクルマーク、バーコード、価格表示などにも対応。そのまま印刷が可能です。またクラウドなので、どこでも作業ができます。
○Point 3:もう一つのクラウド「スマート食品規格書」で、規格書の管理も!
「スマート食品規格書」を使えば、規格書の作成・閲覧も可能です。
自動で計算、自動でデザイン「スマート食品表示」に対応したブラザー製品
いかがでしたか。加工食品に必須な、しかし作業のハードルが高い食品表示ラベルの作成も、こうしたソリューションを活用すれば簡単に実現できそうですね。ぜひご活用ください。
※この記事の内容は、2024年8月現在のものです。
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ブラザー販売 ビジネスNAVI 編集部
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