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違反したら重い罰則規定が!
今さら聞けない食品表示ラベル作成のポイントをおさらい

更新日:2024.07.16  公開日:2023.10.31

2020年4月1日に新しい「食品表示制度」が完全施行されてから4年以上が経ちました。原料原産地表示の義務化の経過措置期間も2022年3月末で終了し、今では食品に関わるすべての事業者に食品表示の義務が課されています。

この間、食品表示制度は追加の改正が行われてきました。2022年3月には、消費者庁が「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定し、商品パッケージに記載する「無添加」や「〇〇不使用」といった添加物表示に注意が必要になっています。また2023年3月には、食物アレルギーの義務表示対象品目に「くるみ」が追加される改正が行われています。

こうした動きに対応し、多くの事業者が食品表示ラベルの準備に追われていることでしょう。しかし急いでラベルプリンターを導入したものの、冷凍食品やレトルト食品に貼ったラベルが剥がれてしまうなど、想定外の悩みや課題も聞こえてきます。また新規にお店を開店したり、テイクアウトやネット通販を始める際にも、適切な表示ラベルの作成が大きな悩みの一つになっています。AmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用する際にも、表示ラベルは必須要件です。

そこで今回は最新の情報に基づき、食品表示制度に対応した食品表示ラベルを作るために注意すべき点を改めてポイントに絞って詳しく解説します。

「食品表示制度」対応の食品表示ラベルを作成するためのポイントをおさらい
     

食品表示ラベルの重要性

すべての事業者に厳格な食品表示が義務づけられています。

「食品表示ラベル」を作成する前提として、まず「食品表示制度」について改めて押さえておきましょう。

新しい食品表示制度は、2020年4月1日から完全施行されましたが、その根拠となる「食品表示法」は2013年に成立し、2015年から施行されています。2009年に消費者庁が設置され、それまでのJAS法(食品の品質)・食品衛生法(安全と衛生)・健康増進法という3つの法律における「食品表示」に関する規定を整理・統合した食品表示制度を消費者庁が所管することになりました。

その背景にあったのが、食品に関する以下のような社会的問題です。覚えている方も多いでしょう。

○食品の偽装や不当表示(外国産冷凍ギョウザの中毒事件や産地偽装問題)
○食品の安全性に関する課題(BSE<牛海綿状脳症>や外国産冷凍野菜の残留農薬問題)
○消費者の健康やアレルギーへの配慮(栄養成分表示やアレルギー表示)

つまり、消費者が食品に関する正確な情報を得る権利を保護し、食品の安全性に対する懸念を払拭し、安心して食品を選ぶことを支援するために「食品表示法」が制定されたわけです。具体的には、食品名・原材料名・添加物名・栄養成分表示などが含まれています。

では、2020年4月1日に完全施行された食品表示制度では、何が変わったのでしょうか。主な改正点は以下のとおりです。

○すべての一般用加工食品等に、原則、栄養成分表示を義務付け。
○個別の原材料や添加物に、原則、アレルゲンの表示が必要。
○特定原材料に準ずるものとして、任意の表示を奨励している「くるみ」について、義務表示となる「特定原材料」に移行。
○「特定遺伝子組換え」に係る表示義務の対象として、「なたね」を追加。
○食品添加物について、化学的合成品であるか否かにかかわらず表示を義務化。
○遺伝子組換え表示の義務付けの対象農産物に「からしな」を追加。

※詳細は、以下の消費者庁のホームページ [新しいウィンドウ]をご参照ください。

注意すべきは、原料原産地表示です。これは2017年の食品表示法の改正により、すべての加工食品で表示が義務づけられましたが、2022年3月末までは経過措置期間として取り締まりの対象にはなりませんでした。その経過措置が終了し、現在ではすべての食品関連事業者に原料産地表示が義務づけられています。

食品表示制度の最新情報は、以下の資料に記されています。生鮮食品・加工食品の表示概要では、農産物・畜産物・水産物・玄米及び精米・加工食品について、以下の内容が厳密に規定されています。

○各食品の定義
○消費者向けに販売する際に必要な表示事項
○表示が必要となる要件
○食品の特性に応じて表示が必要な事項
○どこに表示すればよいか
○表示を行うのは誰か

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出典:消費者庁:<事業者向け>食品表示基準に基づく表示(2023年3月版) [新しいウィンドウ]

以上のように、新しい食品表示制度のもとでは消費者が安心して食品を選ぶことができるよう、極めて厳格な制度運用がなされているわけです。

食品添加物の「無添加」「不使用」の表示が厳格化

ここで、2022年3月に消費者庁が策定した「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」について確認しておきましょう。

2020年4月から完全施行された食品表示基準では、食品添加物についても表示方法が規定されています。しかし、その「不使用である旨の表示(食品添加物の不使用表示)」については特段の規定はなく、事業者が容器包装に任意で「無添加」「不使用」などの表示を行っていました。表示禁止事項を解説したQ&Aもすべてを網羅しておらず、「無添加」などの表示が義務表示事項よりも目立つように表示されるケースもあったため、新たな「ガイドライン」制定が行われたのです。

2022年3月に策定された「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」では、食品表示基準の禁止事項に該当するおそれが高い不使用表示を10類型に整理し、事業者の注意喚起と自己点検を促しています。なお、このガイドラインの経過措置期間は2024年3月末で終了しており、すべての事業はガイドラインに沿った食品添加物の不使用表示を実施することが求められています。

では「注意すべき食品添加物の不使用表示」の10類型を、順に見ていきましょう。
→「10類型」に関する消費者庁の詳細資料はこちら[新しいウィンドウ]

○類型1:単なる「無添加」の表示
例:無添加となる対象が消費者にとって不明確で、単に「無添加」とだけ記載した表示

類型1:単なる「無添加」の表示

○類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
例:「人工甘味料不使用」など、「無添加」「不使用」ともに、「人工・合成・化学・天然」などの用語を使用した表示

類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示

○類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
例:清涼飲料水に「ソルビン酸不使用」と表示 (清涼飲料水へのソルビン酸の使用は使用基準違反である)

類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示

○類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
例:日持ち向上目的で保存料以外の食品添加物を使用した食品に、「保存料不使用」と表示

類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示

○類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
例:原材料として、アミノ酸を含有する抽出物を使用した食品に、添加物としての調味料を使用していない旨を表示

類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示

○類型6:健康、安全と関連付ける表示
例:体に良いことの理由として無添加あるいは不使用を表示

類型6:健康、安全と関連付ける表示

○類型7:健康、安全以外と関連付ける表示
例:おいしい理由として無添加あるいは不使用を表示

類型7:健康、安全以外と関連付ける表示

○類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
例:同種の製品で一般的に着色料が使用されておらず、かつ食品元来の色を呈している食品に「着色料不使用」と表示

類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示

○類型9:加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(または使用されていないことが確認できない)食品への表示
例:原材料の一部に保存料を使用しながら、最終製品に「保存料不使用」と表示

類型9:加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(または使用されていないことが確認できない)食品への表示

○類型10:過度に強調された表示
例:商品の多くの箇所に、過剰に目立つ色で、〇〇を使用していない旨を記載する

類型10:過度に強調された表示

特定原材料に「くるみ」を追加 《義務8品目・推奨20品目》

2023年3月には「食物アレルギーに関する表示」について、それまで「特定原材料に準ずるもの」として任意の表示を奨励していた「くるみ」について、義務表示となる「特定原材料」に変更になりました。

これは、アレルギー症例に関する実態調査(2020年6月)の結果で「くるみ」に関する報告が増加しており、症例数の多い鶏卵・牛乳・小麦に次いで4番目だったこと。「くるみ」によるアレルギー症例が過去9年間で大幅に増加したことによる措置です。これにより、食物アレルギーの義務表示対象品目(特定原材料)は、「えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)」の8品目になりました。

「くるみ」を含む食品のアレルギー表示は、2025年3月31日までが猶予期間とされていますが、特定原材料は、血圧低下、呼吸困難や意識障害などの重篤な健康危害を発症するものであり、原材料に「くるみ」を使用している製品については速やかに表示することが望まれます。

なお「くるみ」と同じクルミ科の「ペカンナッツ」は、「くるみ」と交差反応性が認めれらる場合があることから、ペカンを原材料とする加工食品およびペカンに由来する添加物を含む食品については、一括表示枠外に「本品はペカンを含んでいます。くるみアレルギーの方はお控えください」等の注意喚起表示を行うことが望ましいとしています。

違反した場合の重い罰則規定

経営破綻を招きかねない重い罰則規定が設けられています。

念のため、違反した場合の罰則規定も見ておきましょう。制度の趣旨からわかるように、違反者には経営破綻を招きかねない重い罰則が設定されています。すべての食品関連事業者は消費者のために、食品表示法に基づいた正しい表示に細心の注意を払う必要があります。

○食品表示基準に則さない表示をした場合
指示に従わない場合は命令(措置命令)が出され、その命令に従わなければ、違反者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、さらに法人に対しては1億円以下の罰金が科されます。

○指示違反が、食品の安全な摂取に重大な影響を及ぼすと考えられる場合
指示や命令に従わない場合は、最大で3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(法人は3億円以下の罰金)が科せられることがあります。

○食品の原産地や原料原産地について虚偽の表示がされた場合
指示や命令に従わない場合は、最大で3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(法人は3億円以下の罰金)が科せられることがあります。

以上が主な罰則規定です。詳細は、以下の資料の2ページに詳しく書かれています。
※消費者庁:<事業者向け>食品表示基準に基づく表示(2023年3月版) [新しいウィンドウ]

ちなみに、加工食品に関する指示や命令の半数以上は、「原材料名の誤表示・欠落」です。事業者の中には「ちょっとした過失なら、すぐに対応すれば大事には至らない」と考える方もいるかもしれません。しかしこれは大きな誤りです。その誤表示・欠落がたとえばアレルゲンに関わるものであった場合、消費者の安全性に重大な影響を及ぼす可能性があるからです。

すべての食品関連事業者は消費者のため、正しい表示を行わなければなりません。万が一にも指導・指示・命令の対象とならないよう注意しましょう。

なお関連法規として、2018年に改正された「食品衛生法」も押さえておきましょう。

食品衛生法は、食品の安全性確保のために多岐にわたるルールを定めていますが、事業者としては最低限以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。

○大規模又は広域におよぶ「食中毒」への対策を強化
○「HACCPに沿った衛生管理」を制度化
○特定の食品による「健康被害情報の届出」を義務化
○「食品用器具・容器包装」にポジティブリスト制度を導入
○「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設
○食品等の「自主回収(リコール)情報」は行政への報告を義務化
○「輸出入」食品の安全証明の充実

※詳細は、以下の厚生労働省のホームページをご参照ください。
厚生労働省のホームページ [新しいウィンドウ]

食品衛生法では、消費者の食をとりまく環境変化や国際化に対応し、食品の安全を確保するために、HACCPに沿った衛生管理の制度化をはじめとする食品衛生法の改正が実施されています。すでに2021年6月1日から施行されており、すべての食に関わる事業者は内容を事前に確認する必要があります。

特に、2020年6月に施行されたHACCP制度化は2021年6月に猶予期間が終了しているため、営業許可制度見直し及び営業届出制度創設の猶予期間であっても、HACCPに沿った衛生管理は義務となりますのでご注意ください。

「食品表示ラベル」に求められる必須要件

義務化された表示内容を理解し、全国販売する場合は自治体の条例にも留意。

さて、食品表示が義務づけられた「食品関連事業者」とは、誰のことを指すのでしょうか。決して食品メーカーだけではありません。食品卸売業、食品小売店舗、テイクアウト専門店、宅配専門店、食品ECネット通販など、すべての食品関連事業者に「食品表示ラベル」が義務付けられているのです。

例えば、飲食店やテイクアウト・宅配専門店が食品を冷凍してECネット販売に参入しようとした際にも、新たに「食品表示ラベル」が必要となります。食品表示は、食品を消費者等に販売するすべての事業者に義務付けられているのです。

ただし、テイクアウト弁当や惣菜、デリバリー食品については、販売員が口頭で説明ができるという考え方から表示は必須ではありません。スーパーのお惣菜売場などでは、パックされて販売されているのに表示がないものもありますが、これは繁忙時に備えてあらかじめその日の販売見込み量を容器に入れておく行為であるとの解釈で、テイクアウトの惣菜と同様に表示が免除されています。

こうした細部にわたるQ&Aが、「消費者庁:<事業者向け>食品表示基準に基づく表示(2023年3月版)」[新しいウィンドウ]には詳しく記されています。ぜひ参考にしてください。

義務化されている主な表示内容は、以下のとおりです。

○名称
○原材料名
○内容量
○賞味期限
○保存方法
○製造者
○栄養成分表示
○容器包装の識別表示

上記は基本となるもので、食品の種類に応じて表示項目が追加されたりします。例えば、調理冷凍食品の場合は、使用方法や凍結前加熱の有無等を書くこともあります。詳細は、以下の資料をご参照ください。
※消費者庁:<事業者向け>食品表示基準に基づく表示(2023年3月版) [新しいウィンドウ]

また食品の種類によっては、各地方自治体が独自に条例で追加の表示項目を定めていることもあります。たとえば、調理冷凍食品を東京都民に販売する場合は、東京都の条例で定められた「原材料配合割合」と「原料原産地表示」という表示事項を記載しなければなりません。しかし、すべての自治体の条例を調べ尽くすのは、実務的には不可能でしょう。

実は、全国の消費者を対象としたECネット通販では、実務上は東京都の条例を全国基準とみなすという運用がなされています。ただし京都市・大阪市の条例では、調理冷凍食品について解凍・調理方法などを「使用上の注意」として、神戸市の条例では解凍・調理方法などを「使用方法」として表示することを求めています。全国を対象にECネット通販を行う場合は、これらの条例にも従う必要があるため、調理法を記載するようにしましょう。

要件を満たす食品表示ラベル作成を支援するソリューション

食品表示管理ソフトで、表示ラベルの規格管理・ラベル作成を自動化しましょう!

ここまで「食品表示制度」の内容と、「食品表示ラベル」に求められる要件を見てきました。初めて食品表示ラベルを作ろうと考えている方にとっては、「これはハードルが高い!イチから自分で作るのは無理!」と思われるのではないでしょうか。

でもご安心ください。食品表示ラベル始めとする各種ラベルブリンターのプロであるブラザーは、「食品表示管理ソフト」を提供するパートナー企業と連携し、初めての方でも食品表示ラベルを簡単に作れるソリューションをご用意しています。

ここからは、代表的な3つのソリューションをご紹介します。

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いかがでしょうか。これらのツールを活用すれば、難しく感じる食品表示ラベルの情報管理も簡単にできそうですね。初めて食品表示ラベルを作成しようとする方、今までのツールに不都合を感じていらっしゃる方、ぜひ3つのソリューションをご検討ください。

もちろん、これらのソリューションは、ブラザーのラベルプリンターとの連携が実証済みです。

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ブラザー販売 ビジネスNAVI 編集部

ブラザー販売、ビジネスNAVI担当者です。ビジネスNAVI編集者として、トレンドコラムやお客様の導入事例、パートナー企業、製品のソリューション情報などを発信していきます。

※この記事の内容は、2024年7月現在のものです。
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