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アパレル業界でRFIDが採用される理由とは? 導入の注意点やおすすめプリンターを徹底解説
公開日:2023.07.06
商品の管理を効率化し、世界の流通・物流に劇的な変革を起こすと予想されている自動認識システムのRFID。日本のアパレル業界でも、RFIDを導入して商品管理に活用され始めています。なぜ、アパレル業界でRFIDが導入されているのでしょうか。
本記事ではアパレル業界でRFIDが活躍する理由や導入時の注意点、RFID活用におすすめのプリンターを解説します。RFIDの導入を検討しているアパレルメーカーの方や、コストの削減・効率化を図りたい総務担当者の方、在庫・商品管理に興味を持っている方は、参考にしてみてください。
RFIDとは?
RFID(Radio Frequency Identification)とは、電波を使ってラベルタグのデータを非接触で読み書きする自動認識システムのことです。
バーコードリーダーでは、レーザなどで1枚1枚ラベルタグをスキャンする必要がある一方、RFIDは、電波で複数のラベルタグを一気にスキャンすることが可能です。
さまざまな業界で普及が進む中、日本のアパレル業界でも2010年以降、数多くの企業がRFIDシステムを導入するようになっています。
RFIDとはどのようなシステムなのか、概要や仕組みを詳しく知りたい方は、こちらの記事「RFIDとはどんなシステム? 導入に必要なものや仕組み・特長を徹底解説」も併せてご覧ください。
アパレル業界でRFIDが採用始められている理由
アパレル業界で、RFIDが採用始められている理由は、分断されがちだった計画・生産・販売など各プロセスのシームレスな管理ができるためです。ここではそれぞれの工程で具体的にどのようなメリットがあるかを紹介します。
棚卸の効率をアップできる
アパレルメーカーがRFIDを導入するメリットの一つが、棚卸の効率化を図れることです。従来の棚卸作業では全ての商品を1点1点、バーコードを光学的にスキャナで読み取っていました。
バーコードで一つずつ読み取る作業は、時間と集中力を要します。特にカットソーや小物類のようなハンガーに吊るさない商品は、ビニールや箱から商品を取り出してからタグに付いたバーコードをスキャンし、元に戻す手間があるため、スタッフに大きな負担がかかっていました。
その点非接触のRFIDは、ハンガーに吊るしていない状態の商品でも、簡単に読み取りが可能です。バーコードが記載されているラベルタグを探さなくても電波で機械的に一括読み取りするため、スキャン漏れなどの人為的ミスも少なくなります。RFIDを導入することで、棚卸し作業にかかる時間を大きく短縮できるでしょう。
セルフレジで人材を省力化できる
RFID技術を利用したリーダーとセルフ決済端末があれば、商品を指定のエリアに置くだけで、埋め込まれたRFIDリーダーがエリア範囲内のRFタグを全て読み取ります。お客さまがセルフレジを利用しやすくなる他、企業にとってはレジ業務に割く人員を削減でき、人材をよりコアな業務へ集中させることにもつながります。
従来のバーコードスキャンによるセルフレジでは、お客さまが商品を1つずつバーコードをスキャンしてレジに読み取らせ、会計するタイプになるため、購入点数が多いケースだと、その分読み取りにも時間がかかる傾向にありました。
しかしRFID技術を利用したセルフレジなら、複数のRFタグをまとめて認識できるため、レジ周辺の人の流れがスムーズになります。レジ待ちの行列解消にもつながるでしょう。
入荷・出荷検品の手間を省ける
RFID技術を利用した入荷・出荷システムを導入すると、入出荷の時間が短縮できるだけでなく、省人化もできてコスト削減につながります。
従来のアパレル倉庫では、商品の入出荷時に商品の箱を空けて1点1点手作業で検品するのが主流でした。しかしRFIDのアパレル向け入出荷管理システムでは、箱に入った状態のまま、商品のラベルタグをまとめて読み取ることが可能です。
特に入荷時はメリットが多く、RFタグの付いた商品をケースごとゲートタイプのRFIDアンテナに通過させるだけで、全てのRFID情報を読み取ることが可能です。出荷時もRFIDアンテナ内蔵のゲートを通過させると、商品の出荷実績として読み取り認識してくれるため、手間は大きく削減できるでしょう。
在庫管理の時間を短縮できる
RFIDを導入すると、在庫管理に要していた時間も短縮できます。在庫管理にはさまざまなものが含まれますが、主に以下の在庫管理の時間を削れるはずです。
● 店頭在庫:店頭やバックヤードにある商品数の確認
● 予定在庫:入庫予定数・出庫予定数・予約数の確認
● 倉庫在庫:在庫がどの倉庫にどの数量あるかの確認
● 倉庫予定在庫:倉庫に届く商品数・到着時期の確認
● 生産在庫数:工場で追加生産している商品数の確認
RFIDタグには一つひとつに多くの情報を付与できるため、上記のような在庫情報を全て含めることが可能です。情報を一元管理できるようになり、在庫管理に必要な時間や人員の削減が期待できます。それまで在庫管理に割いていた時間を、人間にしかできない接客などに当てられるようにもなるでしょう。
汚れに強い
汚れに強いのもRFIDのメリットです。バーコードは汚れや色落ちがあると読み取れなくなるリスクがあります。しかしRFIDラベルタグは破損などのダメージがない限り、ラベルタグの表面に汚れやホコリが付いていても読み取り可能です。
RFタグが汚れに強いのは、ラベルタグ内のメモリと無線で交信しているためです。耐久性があり、長く利用できるのもRFタグのメリットと言えるでしょう。
RFID導入への課題点
メリットの多いRFIDですが、現状では導入にさまざまなハードルもあります。主な課題としては「規格の統一が難しい」「セキュリティ対策が必要」「万引きなどへの対応が求められる」の3点が挙げられます。それぞれの課題点を詳しく見ていきましょう。
規格の統一が難しい
RFIDの規格は、2023年2月現在では、まだ完全に国際標準規格で統一されているわけではありません。国や地域によって規格が異なると、データを共有できなかったり、グローバルな事業展開が難しいなどの課題が生じ、メリットである一元管理が困難になります。
バーコードやRFIDなどの自動認識技術は、ISO(国際標準化機構)・IEC(国際電気標準会議)の合同専門委員会で国際標準化が進められているところです。RFIDに関する標準化は、合同専門委員会の分科委員会の1つである、SC31(自動認識およびデータ取得技術)のWG4が担当しています。(※)
※出典:JEITA(電子情報技術産業協会)「RFIDに関する国際標準化の動向」
https://home.jeita.or.jp/tsc/jeita_review/JEITA_Review0506.pdf
セキュリティ対策が必要
RFIDではリーダーが無線通信によって、ラベルタグの中に埋め込まれた情報を読み取ったり、情報を書き換えたりしています。その仕組み上、外部から情報が読み取られる可能性もあるため、セキュリティ対策が必要です。またラベルタグ内の情報を改ざんして、不正な情報を書き込まれる危険性もゼロではありません。
被害に遭わないためには、セキュリティ対策を施したRFIDの利用が大切です。セキュリティ対策をしたRFIDでは、ラベルタグに暗号化技術などによる認証機能を持たせることで、情報の読み取り・書き換え処理をする際に相互に認証処理を行い、悪用を防ぎます。
RFIDシステムの導入時は、セキュリティ対策がなされているかどうかもしっかりと確認しておきましょう。
万引きなどへの対応が求められる
アパレル商品の場合、ラベルタグを外して商品を持ち出される万引き被害への対策が必要です。外されたラベルタグは他の商品のポケットなどに隠されているケースもあり、その商品を別のお客さまが購入する際に、隠されていたラベルタグまで読み取ってしまうなどのトラブルも起きています。
万引き被害を防止するには、商品に防犯ラベルタグを取り付けたり、防犯ゲートを設けたりといった方法があります。監視装置を設置して、異常があったら管理者に通知するなどの対策も有効でしょう。
頻繁にラベルタグを作成するアパレル管理にはRFIDプリンターが不可欠
アパレル業界のように頻繁にラベルベルタグを必要とする業種であれば、都度ラベルタグを発注するより、RFIDに対応したプリンターでラベルタグを作る方が効率的になることも多いです。
社内にRFIDプリンターがあると、アパレル商品のラベルタグの印刷はもちろん、社内在庫の管理用としても活用できるでしょう。ここではおすすめできるRFIDプリンターを紹介します。
UHF帯のRFIDに対応しているプリンター2選
棚卸や在庫管理を頻繁に行うアパレル業界でRFIDを導入する場合は、UHF帯のRFIDをおすすめします。
UHF帯とはRFIDの周波数帯の一つ。UHF帯の特徴としては、数センチほどの距離のラベルタグはもちろん、十数メートル離れたラベルタグもまとめて読み取れることが挙げられます。
アパレル業界でもUHF帯のRFIDが、業務効率の改善のため導入されています。次にUHF帯のRFIDに対応しているプリンター2台を紹介しましょう。
TD-4750TNWBR
「TD-4750TNWBR」は、ラベルへの印字と同時にRFIDへの書き込みが可能なプリンターです。熱転写印刷ができるため、紙素材はもちろん、ユポ(合成)紙やPET素材などのラベルにも印刷できます。さまざまなラベル作成が可能なため、入荷から出荷の多様な現場で活用できるでしょう。
TD-4750TNWBRは、最高152mm/秒の高速印刷が可能。
コンパクトな本体ですが、スムーズなラベル発行で、業務効率の向上を実現します。
TJ-4121TNR
「TJ-4121TNR」は、コンパクトさと堅牢性を両立させたインダストリアルモデルです。
従来のインダストリアルモデルと比べて設置面積で20%、体積で35%の削減を実現しました。
もちろんTD-4750TNWBRと同じくTJ-4121TNRもUHF帯のRFIDへの書き込みが可能です。UHF帯のRFIDは、長距離・広範囲での読み取りが可能で、複数のRFIDチップをまとめて読み取りできるため製造・物流現場や店舗での在庫管理におすすめです。UHF帯のRFID対応ラベルプリンターなのでRFタグラベルへ印字もでき、RFIDへの書き込みができます。
自動タグキャリブレーション・不良タグの検知などの機能も搭載。最高177mm/秒の高速印刷も可能です。ラベルタグの発行もスムーズなため、TD-4750TNWBR同様、業務効率の改善に役立つでしょう。
まとめ
さまざまなメリットがあるため、アパレル業界で積極的に採用されている自動認識システムのRFID。販売計画から棚卸などの商品管理、販売データの集計に至るまで総合的に活用できるので、アパレルの業務を改善したいなら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。UHF帯のRFIDに対応した熱転写印刷可能なブラザーのプリンターで、作業の効率化や省力化を図りましょう。
ブラザー販売 ビジネスNAVI 編集部
ブラザー販売、ビジネスNAVI担当者です。ビジネスNAVI編集者として、トレンドコラムやお客様の導入事例、パートナー企業、製品のソリューション情報などを発信していきます。
※この記事の内容は、2023年5月現在のものです。
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