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トレーサビリティの意味とは?製造業で取り組みメリットや事例を解説

公開日:2023.02.14

     
製造業で取り組みメリットや事例を解説

製造業の品質を向上させる目的で、トレーサビリティを重要視する企業が増えています。トレーサビリティは業者・消費者の両者にメリットをもたらしますが、取り組みを始められないでいる製造業者も少なくありません。

本記事では製造業でトレーサビリティに取り組むメリットや、具体的な事例を紹介します。またトレーサビリティの種類や導入に向けた課題、実践方法なども解説しているので役立ててください。

製造業の品質向上につながる「トレーサビリティ」とは

トレーサビリティとは製品の生産に必要な原材料の仕入れから消費、または廃棄されるまでに発生する全ての過程を追跡できる状態を指します。「trace+ability(追跡+能力)」をかけ合わせることで生まれた用語です。日本語では、追跡可能性と直訳されています。

トレーサビリティは主に電子部品メーカーや自動車メーカー、食品メーカーなどの製造業で注目されています。以下ではトレーサビリティを理解する上で、理解しておきたい3つの関連用語の意味をみていきましょう。

関連用語:ブロックチェーン

ブロックチェーンとは分散してデータを管理するための技術のことです。従来のデータの管理方法は一つのシステムにアクセスしてデータの閲覧や出力を行うのが一般的です。アクセスできる人が自由にデータの書き換えができます。異なるデータベース同士は独立しており、データの共有はできません。

一方でブロックチェーンは、データをつなげて保存・管理できる技術のため、保存したデータが一杯になると、一つのブロックを生成して別のブロックをチェーン(鎖)でつなぎ、保存した全てのデータを結びつけることができます。それぞれのブロックをチェーンでつなぐことから、ブロックチェーンと呼ばれています。

ブロックチェーンは本来、暗号資産が不正に取引されるのを防止するために開発された技術です。データの改ざんやアクセスが許可されていないユーザーの不正な閲覧など、未然に防ぐことができます。

ブロックチェーンの改ざん性の低さや分散管理が行えることが高く評価されたために、トレーサビリティを始めとする異なる業界・分野でも活用されるようになりました。製造業のトレーサビリティにブロックチェーンの技術を導入すれば、原材料の仕入れから製品が消費されるまでの全ての工程で得た情報を安全に管理できます。

関連用語:トレースフォワード

トレースフォワードとは製品が作られる過程に沿って追跡する一連の流れを表す考え方です。リコールを例にすると、出荷された製品が出回っている経路などを確認し、回収するのがトレースフォワードです。

関連用語:トレースバック

トレースバックはトレースフォワードと逆の流れで、製品を追跡する考え方を指します。例えばリコールが必要な製品の原因を特定する際に、製品のロット番号などから時系列をさかのぼるように記録をたどるのがトレースバックです。

トレーサビリティの種類を解説

トレーサビリティの種類を解説

トレーサビリティには内部トレーサビリティとチェーントレーサビリティの2種類があります。それぞれの特徴を解説します。

内部トレーサビリティ

内部トレーサビリティとは決められた範囲内の製品の移動を把握できるトレーサビリティを指します。決められた範囲内が表すのは、企業や工場など一つのサプライチェーンのことです。工場内で製造された商品がどのように移動するのかは、内部トレーサビリティによって把握できます。

例えば家電を製造する工場では、部品の調達先や製品の組立方法、検品の結果、商品の出荷先までの過程における商品の移動の流れを確認できます。内部トレーサビリティの導入により、企業や工場などの製造業務の効率化や問題・トラブルが発生した場合でも迅速な対応が可能です。さらに商品の品質向上も期待できます。

チェーントレーサビリティ

チェーントレーサビリティとは部品・原材料の生産・供給や製品の製造・加工・物流・販売に加え、消費・廃棄までの部品・原材料・製品の移動を把握できるトレーサビリティです。

チェーントレーサビリティの導入により、製造業者は原材料や部品がどこの業者から入荷したのか、どこに出荷されたのか、どのような流れを経て製品が廃棄されたのかまで把握できるようになります。

製造業者がチェーントレーサビリティによって得るメリットは、製品に関する問題やトラブルが発生したときに、さかのぼって原因を究明でき、リコールなどにも迅速に対応できることです。

また消費者は、購入した製品がどのように生産されて自分の手元に届いたのかを確認できるため、産地などの偽装に対する不安をなくせます。

トレーサビリティを導入するメリット・デメリットとは

製造業でトレーサビリティを導入すると、どのようなメリット・デメリットがあるのか以下で詳しく解説します。

メリット

製造業でトレーサビリティを導入した場合、以下の4つのメリットが挙げられます。

リスク管理を強化できる

製造業でトレーサビリティを導入すると、リスク管理の強化につながります。トレーサビリティは部品・原材料の調達から製品の消費・廃棄などの各過程の課題や問題点を洗い出して対策を立てておけるため、事前にリスクを排除しておくことも可能です。

万が一、問題が発生してしまった場合でも、各過程の製品の移動を追跡し、迅速に原因を突き止められます。

製品品質が向上する

トレーサビリティにより、製品の品質を高められるようになります。なぜならそれぞれの製造工程で責任の所在が明確になるからです。特定の工程で問題が発生しても迅速に原因を究明し、迅速に対策を立てることができます。分析したデータを活用すれば、従来よりも厳しい基準の品質管理を実施できるようになるため、製品の品質の向上につなげられます。

顧客満足度の向上につながる

トレーサビリティの導入によって、顧客満足度の向上を図ることができます。厳しい基準の品質管理を継続的に実施して製品の品質が高まれば、消費者に満足してもらえます。

また生産者や製造者の情報をさかのぼって調べられるため、製品の安全性などが明確に示され、消費者に安心して使用してもらえるでしょう。結果的に顧客満足度の向上にもつながります。

自社に対する信頼度が向上する

トレーサビリティを導入すれば、消費者の自社に対する信頼を高めることも可能です。トレーサビリティの導入は、製品の安全性などを証明できるように全ての工程をオープンにしていることになります。情報の開示によって、自社の透明性の高さを証明できます。

消費者はより信頼できる企業の製品を選ぶ傾向があるため、トレーサビリティの導入は競合他社との差別化に有効な手段です。

デメリット(課題)

トレーサビリティの課題は、情報を収集するための環境の整備が不可欠なことです。製造工程などの過程を追跡するためには、システム・インターネット回線などのインフラの整備や、バーコード技術を活用して製品などを管理するための仕組み作りを行う必要があります。

ただし、トレーサビリティの課題は種類ごとに異なります。種類別の課題をみていきましょう。

内部トレーサビリティの課題

内部トレーサビリティを構築した場合の課題は、現場の生産効率を低下させずに経営層が経営に必要な情報やデータを迅速に得られるシステムや、仕組みを作らなければならないことです。

内部トレーサビリティはトップダウンを重視したシステムや仕組みが作られる傾向がありました。その結果、経営層が必要とする情報・データを入手するためのシステムや仕組みが作られ、現場の声が反映されていないために機能していないケースも珍しくありませんでした。

内部トレーサビリティを円滑に進めるには、経営層の意見だけでなく、現場の声を反映させたシステムや仕組みを作ることが重要です。経営層と現場のどちらにもメリットがあるシステムを構築するためには、現場から積極的な意見や要望を得るための機会を設けるなどの工夫が必要になります。

チェーントレーサビリティの課題

チェーントレーサビリティの課題は、サプライヤーとスムーズな連携を取ることです。チェーントレーサビリティは部品・原材料の調達から製品の生産・卸売・小売などの過程を追跡する必要があるため、自社だけでなく原材料・部品の調達先の企業や、出荷先の企業などの協力が不可欠です。

それぞれの企業間で同じ認識や価値観を共有できなければ、チェーントレーサビリティを構築する上で大きな障害となるでしょう。サプライヤーから協力を得るためにはチェーントレーサビリティの構築によって、それぞれの企業がどのようなメリットが得られ、費用対効果を実感できるのかを明確に提示しなければなりません。

チェーントレーサビリティを成功させるには自社だけでなく、連携するサプライヤーにもメリットがあるようなシステムを作ることが求められます。

製造業者がトレーサビリティに取り組むべき理由とは

製造業者にとってトレーサビリティが重要視されているのは、リコールなどの問題が発生したときに、該当する製品を迅速に特定して回収できるからです。トレーサビリティを導入しない場合、リコールへの対応が遅れるため、消費者の自社に対する信頼度や社会的な信用を失ってしまうかもしれません。

トレーサビリティを導入していれば、リコールが発生しても対象の製品を素早く特定できるため、回収や消費者への対応も迅速かつ正確に行うことができます。また製造業者のなかにはリコール対応ではなく、業務の効率化を目的にトレーサビリティに取り組んでいる企業も出てきています。

トレーサビリティを構築すれば収集したデータを分析し、各過程の課題や改善点などを把握できるため、無駄な業務を削減して効率化を図ることも可能です。リコールへの迅速な対応が可能になる上に業務の効率化も有効なため、製造業者はトレーサビリティに取り組む必要があると考えられています。

製造業の実践方法を紹介

ここでは、製造業のトレーサビリティを構築する具体的な方法を紹介します。以下の実践方法を参考にしてみてください。

ラベルプリンターを活用する

トレーサビリティを構築する上で、ラベルプリンターの使用は有効な手段です。トレーサビリティを導入して製品を管理するためには、原材料や製品番号などの情報を正確に管理しなければなりません。ラベルプリンターを使うことで、製造現場で必要な情報をラベルにまとめ、最小化できます。

ラベルプリンターとは、製品名やロット番号、製造日などをラベルに印字するためのプリンターです。印刷されたラベルは製品に直接貼り付けられます。他にも、バーコードやQRコードなどの印字も可能です。

ラベルプリンターを活用するメリットは、手書きによる間違いや記載漏れを防げることです。またバーコードなどを印字できるため、文字情報のみのラベルから必要な情報を読み取る手間を減らせます。ラベルプリンターを活用すれば、必要な情報をスピーディーに読み取れるので、人的ミスを減らし現場の負担を軽減できます。

ラベルプリンターでトレーサビリティに取り組んだ事例

ここではラベルプリンターを活用してトレーサビリティに取り組んだ森定興商株式会社の事例を紹介します。森定興商株式会社は約1世紀にわたって日本のインフラ構築に貢献されてきた企業です。鋼材の入荷・納品管理から残材の管理を目的に、建築現場から納品資材のトレーサビリティを構築する取り組みを実施しています。

ブラザー導入事例_森定興商株式会社様

森定興商株式会社では、これまで納品された鋼材を加工した後、必要な情報を鋼材に直接手書きで対応していました。そのため人的ミスを減らすことが目下の課題になっていました。そこで、モバイルタイプのラベルプリンター「RJ-4250WB」の導入に踏みきります。

ブラザー導入事例_森定興商株式会社様ポイント1

「RJ-4250WB」は、WMS(在庫管理システム)やスマホと連携でき、スマホで母材ラベルを読取後、加工開始。「RJ-4250WB」から製品ラベルを発行・貼付。積込前の出荷検品時に製品ラベルのQRコード*を読込、出荷完了とすることで製品のトレーサビリティを確保しています。

ブラザー導入事例_森定興商株式会社様ポイント2

今回導入した「RJ-4250WB」は、システム連携におけるSDKが無償提供されているため、導入スピードにも貢献できました。
導入前に発生していた作業ミスの軽減に成功するのと同時に、トレーサビリティの確保を実現しています。
森定興商株式会社様の導入事例詳細はこちら[新しいウィンドウ]

シリアルナンバーを印字する

トレーサビリティの構築に取り組むに当たって、シリアルナンバーを印字する方法があります。シリアルナンバーとは個体を識別するための番号のことです。シリアルナンバーは部品や製品ごとに割り当ておくことで、同じ工程や工場で製造されたものであっても、それぞれに異なる番号が印字されます。

それによって、製品に問題が発生した場合にシリアルナンバーを読み取れば、製品ロットの追跡ができます。シリアルナンバーの印字は、製品を個別管理する際に有効な手段です。
また二次元コードであれば、製造情報や製造年月、シリアルナンバーなど含めることができトレーサビリティの活用に使われています。

まとめ

トレーサビリティの種類を解説


トレーサビリティとは原材料の調達や製品の生産から消費・廃棄されるまで、全ての過程を追跡するための仕組みです。トレーサビリティには内部トレーサビリティとチェーントレーサビリティの2種類があり、それぞれのトレーサビリティを構築するには解決しなければならない課題があります。

しかしトレーサビリティに取り組むことで、リコールが発生したときにも迅速に対応できる上に、業務の効率化も進めることができます。

製造業のトレーサビリティにおけるハンディターミナルの活用・印刷作業を効率化するなら、ブラザーの利用がおすすめです。ラベルプリンターの活用方法をまとめたガイドが参考になるので、ぜひ役立ててください。

ラベル・モバイルプリンター活用ガイド[新しいウィンドウ]


*QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

   
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ブラザー販売 ビジネスNAVI 編集部

ブラザー販売、ビジネスNAVI担当者です。ビジネスNAVI編集者として、トレンドコラムやお客様の導入事例、パートナー企業、製品のソリューション情報などを発信していきます。

   

※この記事の内容は、2023年2月現在のものです。
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