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【紙で作る鉄道ジオラマ】ジオラマクリエーター呉尾律波氏に学ぶ鉄道ジオラマの表現技法
ブラザーのプリントコンテンツ提供サイト「Print Terrace」で2017年10月のリリース後、好評を得ている「紙で作る鉄道ジオラマシリーズ」
このシリーズの特徴は、老舗鉄道模型メーカーとして知られる「株式会社津川洋行」が監修を担当しおり、無料で使える本格派の鉄道模型用ペーパークラフトとしては希少な存在。
今回は、この「紙で作る鉄道ジオラマシリーズ」を利用したジオラマ作りの楽しみ方や、より完成度の高いジオラマへと仕上げるコツを、ジオラマクリエーターなど多方面で活躍するミュージシャン「呉尾律波」氏協力のもとご紹介したいと思います。
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今回ご協力頂いた方
呉尾 律波 さん
プロフィール:
「本職はカープファン、趣味は模型・音楽製作」を自称するスタジオ車輪人(しゃりんちゅ)代表・プロモデラー。商業ジオラマの企画から、得意分野のスチームパンク、昭和SFをベースとした独特な世界観のワンオフものまでを製作する「鉄道模型の雑食王」。Nゲージ極小トラック「JokeTrack」もプロデュースする。
自由な発想でジオラマを遊ぶ…「呉尾流」ジオラマ作成術
「紙で作る鉄道ジオラマシリーズ」を使った作例を制作して欲しいというプリント日和編集部の依頼を快く引き受けてくれた呉尾律波さん。
今回の依頼にあたり、プリント日和編集部からのお題として
【1】「紙で作る鉄道ジオラマシリーズ」の第2弾HOナロー(1/87)素材を使用する
【2】ベース(土台)には、津川洋行の「プレジオベース A4」を使用する
【3】とにかく見て「ワクワク」する作品にする
この3点をお題としてお願いし、完成したのがこちらのジオラマ
細部までこだわりが宿る呉尾さん制作のジオラマ。
呉尾作品の真骨頂である「昭和カオス」な雰囲気がA4サイズのコンパクトなスペースに凝縮されてる。
呉尾さん曰く「アニメ『キルラキル』のスラム街の世界観が好きなので、高低差のある土地に張り付くように建てられたバラック住居の隙間に、無理やり鉄道を通してみました。」とのこと。
今回のジオラマ制作過程は、呉尾さんのブログで細かく紹介されていますので、実際の作り方が気になる方はチェックしてみてください。
●ジオラマ制作過程の詳細はこちら
呉尾律波の鉄道模型900ちゃんねる:https://ameblo.jp/creorippa900/entry-12397282249.html (*外部サイトへリンクします。)
プロのクリエーターの技を再現!?ジオラマ作りのコツとは?
ジオラマを自分で作ってみたいが、作品作りのコツがわからない…
プロのクリエーターの技を自分のモノにして作品の完成度を高めたい……
取り組もうとしても、何から手を付けて良いかわからない………
そこで、呉尾さんに制作時にポイントとなる点を教えて貰いました。
また、呉尾さんの作品をアレンジしたペーパークラフトを、ブラザーが現在公開している様々なペーパークラフトを担当しているW2STUDIOの亘理さんに新たにダウンロードコンテンツ化してもらいました。
制作時のポイントを読んだ後に、是非こちらのペーパークラフトにもチャレンジしてみてください。
【1】紙の断面を塗る
呉尾さん:
「紙で作る鉄道ジオラマシリーズ」に限らず、ペーパークラフトはカットした断面の紙の色が目立ってしまいます。
この断面を、印刷した色と同色で着色するひと手間を加えることで、精密さが増し、よりリアルな素材感を表現することができます。
呉尾さん:
塗料は、絵の具、ペン、色鉛筆、パステルなどがありますが、紙によって使い分けをします。
使い分けのポイントは、素材が染み込みやすいか、そうでないかを見極めて、素材の特性に合わせた塗料を選ぶことです。
例えば、染み込みやすい素材にペンなどを使用して着色してしまうと、素材に塗料が染み込み、印刷面を汚してしまうこともあります。
本番の作業をする前に切れ端などでテストを行い、最適な塗料を選んでから作業をした方が良いと思います。
これは経験ですが、紙自体の材質が柔らかいと塗料が染み込みやすい印象です。
その場合は、色鉛筆やパステルなどの水気を含まない塗料を使って作業をすると良いと思います。
▲絵の具の場合(写真左)は、原液で塗布。塗りにくい場合は、若干の水で溶いて塗ると塗りやすい。(写真は水彩絵の具を使っています)
水彩ペンの場合(写真右)は、素材にインクが染み込み過ぎないよう注意して塗布する。
【2】ウェザリングで変化をつける
ウエザリングとは、素材に雨だれや錆などの風化した状態を表現する技法です。 ウェザリングには、さまざまな技法がありますが、今回は紙素材に適した方法をご紹介します。
雨だれなどの汚れの表現
呉尾さん:
塗料は、「【1】紙の断面を塗る」同様に、絵の具、ペン、色鉛筆、パステルなどがありますが、表現する内容により塗料を使い分けます。
こちらも後戻りができない作業なので、自信がない場合、作業前によくテストしてから取り組みと良いと思います。
【雨だれの表現】
呉尾さん:
建物の窓枠の下や建物の隅などを、筆を使い薄く塗り重ねます。(写真中央 水彩絵の具を使用)
窓枠や、板張りの隅などの細かいところも筆やペンを使い塗り込むとよりリアルな表現ができます。
塗布する色は、素材よりも若干濃い色を使い、水彩絵の具などの場合、少し水などで薄めて塗るのがコツです。
【風化した板の表現】
呉尾さん:
風化した板の表現では、まず初めに表面の広いところをパステルなどで塗り込み、全体を整えた後、
汚れを強調させたい箇所に追加でパステルを塗り、コットンパフなどで馴染ませます。
さらに、カッターで軽く傷をつけることで、板の表面についた「ひっかき傷」を表現したりすることで、長い年月を風雨に晒された「いい感じ」の素材感になります。
▲道路(写真左)、室内の板の間(写真中央)、小物(写真左)などにもこの技法は応用できる。
【錆の表現】
呉尾さん:
ジオラマを眺める際には、上から見下ろすことも多いので、建物のウェザリングの場合、屋根の汚しも重要なポイントになります。
例えばトタン葺の建物などの表現においては、錆の表現が重要になってきます。
呉尾さん:
トタンや金属などの生じたさびの表現には、絵の具や色鉛筆を使用します。
赤錆の場合は、赤 → 茶 → 黒 の順で塗り重ねるとらしく仕上がります。
塗り方は絵の具の場合であれば、平筆などを使い少量の塗料を素材にに少し擦れるぐらいで塗布するのがコツです。
【3】形状を工夫する
呉尾さん: ウェザリングなどの塗装だけでなく、形状を工夫することでもリアルな表現ができます。 例えば、トタンや柵などは、素材を部分的にカットすることで、風化して破損した様な表現を加えるだけでも印象が大きく変わってきます。
呉尾さん: ペーパークラフトの場合、建物などの「面」がどうしても平面的になってしまいます。 そこで、ひと手間加えて、窓枠や柱などを別に切り出した素材で貼り重ねることで、平面に凹凸をつけ実感的な印象を与えることも可能です。
これからジオラマ作りを始める方に…
最後にこれからジオラマ作りにチャレンジする方に向け、呉尾さんからコメントを頂きました。
呉尾さん: 失敗してもコピーし直せばいいだけなので、どんどん失敗してみてください。 失敗は最高のデータであり脳トレです。 僕はセオリーの遵守と逸脱の絶妙なバランスこそがいい作品だと思っています。 みなさんもペーパークラフトを作る際には、基本テクは押さえつつも、ありえない配置に住居を置き、導線を考えるなど遊んでみてください。
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この記事を読んで指先がソワソワし始めた方に…
呉尾さんジオラマ作例をアレンジしたペーパークラフトをブラザー「PrintTerrace」では、無料で公開をおこなっています。
この記事を読んで指先が「ソワソワ」し始めた方は、是非ダウンロードしてトライしてみてください。
※この記事の内容は、記事掲載開始当初、もしくは更新時のものです。
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