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【消しゴムはんこ作家に聞く】年賀状や手紙を可愛くアレンジ!消しゴムはんこの魅力と作り方
皆様は「消しゴムはんこ」をご存知でしょうか。
消しゴムはんことは、消しゴムに文字や絵、柄などを彫り、はんこ・スタンプとして使うもの。お気に入りの図案ではんこを作ることができ、年賀状や手紙をはじめとする身の回りのものを彩るのにぴったりなアイテムです。
そんな消しゴムはんこは、気軽に始められることも魅力のひとつ。
オリジナルのはんこを作って、いろいろなものを可愛くアレンジしてみたいという方もいるかもしれません。
そこでご登場いただいたのが、消しゴムはんこ作家として活躍している津久井智子さんです。
今回は、津久井さんが消しゴムはんこ作家になった経緯や消しゴムはんこの魅力、使用例についてインタビュー。
さらに消しゴムはんこ教室に参加し、実際に消しゴムはんこの作り方を教えていただきました。
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今回ご協力いただいた方
津久井智子さん
プロフィール:
消しゴムはんこ作家。中学時代から消しゴムはんこを作り始め、現在では消しゴムはんこによるイラスト提供、商品デザイン、イベントの企画・プロデュースなど幅広く活動。
ワークショップやイベント・メディアへの出演等を通じて消しゴムはんこの作り方・活用法を広く紹介している。著書は『消しゴムはんこ。』『津久井智子の消しゴムはんこ教室』『消しゴム花はんこ モチーフ153』など14冊(2018年12月時点)。
津久井智子さんの公式HPはこちら
津久井智子さんのストア「象夏堂」はこちら
津久井智子さんのインスタグラムはこちら
*全て外部サイトへリンクします
消しゴムはんこのきっかけは、ほんのいたずら心
― 消しゴムはんこ作りに入る前に、消しゴムはんこ作家として活動されている津久井さんご自身のことについてお聞かせください。津久井さんが消しゴムはんこを作り始めたきっかけは何ですか?
津久井さん:
15歳の頃に消しゴムはんこを作り始めたのですが、最初は授業中にノートの隅に落書きをするような、子どもが隠れてやるいたずらの延長でした。
私はもともと漫画家になるのが夢だったのですが、まさか下手の横好きでやっていた遊びがこうして仕事になるとは思いもよりませんでしたね。
当時はドラえもんなどのキャラクターを消しゴムに彫っていたんですが、それが周りの友達に好評で。いつのまにか「私にも作って!」と依頼が来るようになって、オーダーメイドで名前や絵柄を彫ったり、誕生日のプレゼントで似顔絵のはんこを作ってプレゼントしたり。
そのうちにはんこ作りが特技になっていったんです。
― 消しゴムはんこ作家として活動するようになったのは?
津久井さん:
大学卒業後はアルバイトをしながら漫画家を目指していましたが、あるとき、友人から「お店でイベントをやるから、何かハンドメイドのものを出品してほいしい」と誘いがあって。
そこで、一日限りの「象夏堂(しょうかどう)」という屋号をつけ、特技だった消しゴムはんこを売ったんです。15年くらい前のことですね。
それが思いのほか良い評判で、口コミやホームページで噂が広まっていき、イベントにも出展しました。「これで食べていこう」という気持ちはなかったんですが、そのうちに本が出て、教える仕事や挿絵の仕事をもらえるようになって。
やがて、引くに引けない状態まで消しゴムはんこを中心に枝が広がっていき、今に至るわけです。
― 思わぬところから消しゴムはんこ作家の道に進んでいったのですね。それでは早速、消しゴムはんこの作り方を実践しながら教えていただきましょう。
実践!消しゴムはんこの作り方
今回は、消しゴム等のメーカーであるヒノデワシさん主催する津久井さんの消しゴムはんこ教室にお邪魔しました。
消しゴムはんこ教室は都内・関東周辺で定期的に開催されています。リピーターも多く、今回の参加者は20名程度。
初挑戦の人は津久井さんの同じテーブルでアドバイスを受けながら、はんこ作りにチャレンジしました。
今回は、津久井さんがプロデュースする「消しゴムはんこ、ことはじめSET」を使って製作。
素材の消しゴムや彫刻刀(三角刀)、ねりけし、スタンプインク、トレーシングペーパーなど必要なものがひと通りがセットになっていました。
教室は毎回違ったテーマではんこを作りますが、今回は年賀状シーズンということで、年賀状デザインの図案に挑戦。
教室では津久井さんがデザインした図案ではんこを作れるほか、自分が彫りたいものを持参してアドバイスを受けながら作ることも可能です。初挑戦の人は、シンプルな左上のイノシシの図案を津久井さんと一緒に作っていきます。
まずはシャープペンを使って、トレーシングペーパーに図案を写し取ります。
なぞるべきポイントは図案によって異なり、このイノシシでは消しゴムを切る外側のラインと輪郭、内側は彫る場所をなぞりました。
複雑な図案では、どこを彫るかわからなくなってしまうことのないように気をつけましょう。
次は消しゴムの下準備。
練り消しを使って、消しゴム表面に付いている粉を取り除きます。
今回使っている消しゴムは、ヒノデワシさんが販売するはんこ作り専用消しゴム「はんけしくん」です。
通常の消しゴムよりも丈夫で弾力があり、はんこ作りに向いた製品になっているそう。ソフトタイプ・ハードタイプがあり、今回はソフトを使用しました。
それぞれ彫り心地が異なり、好みにや彫りたい図案の細かさなどに応じて選ぶのがおすすめです。
彫った跡が見やすいように、スタンプインクを擦り付けて消しゴムの片面を着色。
まんべんなくインクを塗ったら、ねりけしを使って余分なインクを取ります。
トレーシングペーパーに描いた図案を消しゴムに当て、転写します。
しっかりと写るように爪など硬いもので擦りましょう(画像はねりけしのケースを活用)。
このとき、できるだけカットする部分を少なくし、消しゴムの無駄をなくすように図案を配置するのがポイント。
ここから消しゴムを加工する工程に入ります。
まず、はんこの形となる外側のラインに沿って図案を切り取ります。
切りたい線の長さの分だけカッターの刃を出し、上から垂直に押し切るのが綺麗にカットするコツ。
はんこの大枠ができました。
ここから彫刻刀やカッターを使って図案を彫っていきます。
手順は図案によって異なりますが、今回はまず彫刻刀でイノシシの毛並みを彫っていきます。
消しゴムを彫るときは、刃を入れる角度や力の加減でラインの雰囲気が変わります。
ここでは線を忠実に彫るよりも、毛並みの流れが出るようにテンポよく浅めに彫りました。
その後、イノシシの輪郭を切り取っていきます。
ラインに対して斜めにカッターの刃を入れ、一定の深さで輪郭に沿って切り込みを入れます。
大枠と輪郭の間の余白が狭い場所は、そのまま角まで切り取ります。
余白が広い場所は輪郭に斜めの切り込みを入れたあと、側面から刃を入れ、余白部分を切り取ります。
こちらは津久井さんが輪郭を切り取ったもの。
図案の輪郭が綺麗な土手のようになっているのがわかるでしょうか。
初めてではなかなか上手くいきませんが、これが重要なポイント。
輪郭が垂直な崖のようになってしまうと使ったときに欠けやすく、逆に角度が甘かったり段差が低かったりすると、はんこを押すときに輪郭の外側まで接触してしまう原因となります。
さらにイノシシの背中のギザギザ部分の輪郭も切り取っていきます。
最後に、重要な顔のパーツである目とキバを彫ります。
津久井さんの見事な手さばきに、周りで見ていた参加者さんたちは感嘆のため息をもらしていました。
こちらが完成したイノシシの消しゴムはんこ。
実際にやってみるとなかなか思うように彫ることが難しく、津久井さんの技術の高さが窺えます(左が津久井さんの作品)。
消しゴムを彫るには強い力は必要ないため、右手と左手をうまく使い、彫刻刀の向きや刃を入れる角度、力の加減などを調節しながら彫ることがコツなのだそう。
津久井さんのように自在なラインを彫るにはそれなりの練習が必要です。
そして、こちらが実際に彫ったはんこを押したもの。
しっかりイノシシに見えるでしょうか?
今回はインクをグラデーションにしてみました。自分で彫ったものとなれば、押したときの感動もひとしおです。
消しゴムはんこは、彫る作業はもちろんのこと、出来上がったはんこを押すまでが楽しみです。
今回の教室では、参加者それぞれが作った消しゴムはんこと、津久井さんが作った年賀状デザインのはんこを組み合わせ、世界に1枚しかない年賀はがきを完成させて終了となりました。
消しゴムひとつで可能性は無限大
― アドバイスをいただきなから実際に消しゴムはんこを作ってみましたが、津久井さんの見事な手さばきにはとても感動しました。
津久井さん:
やる前は簡単そうだと思う方もいるようですが、やってみると意外に思い通りに行きませんよね。
でも、そこが消しゴムはんこのおもしろいところです。ただの白くて四角い塊ひとつから、可能性が無限に広がっていくんです。
同じ図案を彫っても、出来上がりは人によって違います。
たとえ同じ人が同じものを彫っても、彫る作業は一回勝負なので二度と同じ作品はできません。
綺麗にできたものも、あまり上手くできなかったものも、それぞれの味があるんですよ。
それと、押すという行為もはんこならではの要素です。
印刷のようにいつでも等しく絵や文字を表せるわけではありませんが、それもまた個性になります。
さらに、どんな素材に押すか、どんな構図・色にするか、ほかのはんこやデザインとどのように組み合わせるかなど、アイデア次第でいろいろなアレンジができるんです。
― 具体的な使用シーンとしてはどんなものが考えられますか?
津久井さん:
年賀状やメッセージカード、便箋・一筆箋はもちろん、手帳やカレンダーなどのアレンジに使うのもいいと思います。
身近なところでいえば、お礼や贈り物などの袋や封筒、包装にポンとはんこを押して渡すのがおすすめです。
出来合いのデザインや印刷してあるものも、手作りのはんこを押してあげると、ぐっと気持ちが伝わりやすくなるのではないかと思います。
はんこというと紙に押すイメージを持つ方が多いですが、布や革、ビニールなどのアイテムをデコレーションしたり、雑貨を作ったりするのにも活用できます。
使う場面もアイデア次第なので、身近なものを自分流に彩る用途から作品づくり、絵の素材まで幅広く使えます。本のほうでもいろいろなアイデアを提案しているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
(津久井さんの本はこちらから)
― 最後に、消しゴムはんこをやってみたい人へのメッセージをお願いします。
消しゴムはんこは、やってみたいと思ったら家にあるものだけでもできます。
それに、かつて私がハマった要因でもありますが、消しゴムを切ったり、くり抜いたりするはちょっぴり罪悪感があって気持ち良いじゃないですか(笑)。とりあえず使いかけの消しゴムをくり抜いてみる、という程度の気持ちで始めてもいいと思いますよ。
そんなふうに、間口は広くて簡単に始められるけど、突き詰めようとするとキリがないというのが消しゴムはんこの一番の魅力なのかなと私は思います。
自分自身、彫る技術そのものはあまり変わらないかもしれませんが、図案を作ったりはんこを押したりすることに関しては、未だに果てがないと感じています。
何より、消しゴムはんこは直接キャンパスに絵を描くのより手間がかかりますし、実際に押してみるまでどんな絵になるかわかりません。
だからこそ、苦労して作ったはんこを押してパッと絵が生まれる瞬間の喜びは、消しゴムはんこでしか味わえないものです。ぜひこの楽しさをたくさんの方に知ってほしいですね。
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まとめ
津久井さんが語るように、消しゴムはんこは家にあるものだけで簡単に始められることが大きな魅力。
実際にやってみると奥が深く、想像力を働かせてさまざまなものを作ったり、身の回りのものを彩ったりすることができます。
簡素になりがちな年賀状や手紙、ちょっとしたプレゼントなども、自分の手で作ったはんこを添えればより気持ちが伝わるはず。ぜひこの機会に消しゴムはんこ作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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