アパレル業界で無視できない、過剰生産・輸出問題
近年、アパレル業界の環境や社会への影響は無視できないものとなってきています。
国内のアパレル市場において供給量は増加傾向にあり、一方、単価ベースだと1991年を基準に6割前後の水準になるなど下落傾向が続いています。これは大量生産・大量消費が拡大し、過剰生産となる傾向を示しています。
- ※購入単価指数は1991年を「100」としています
- ※出典:「繊維産業の現状と経済産業省の取組」(経済産業省)
(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/pdf/200129seni_genjyou_torikumi.pdf)をもとに作成
また、国内アパレル市場における輸入浸透率は98%まで近くまで上昇していると言われており、国内市場で出回っている製品の多くが海外で作られたものに頼っている(=過剰輸出を誘発する)と言えます。
こうした状況はファストファッションに代表され、最新の流行を取り入れた商品を低価格で販売し、ライフサイクルの短縮化が進行していることが大きく影響しています。このように大量・過剰生産・輸出が続くアパレル業界は環境負荷が非常に大きい産業と指摘されており、国際的な課題となっています。
過剰生産・輸出により、増加するCO2
環境省が2021年4月に発表した「ファッションと環境に関する調査」で、国内で供給される衣服の製造から廃棄までの工程で排出される二酸化炭素(CO2)は推計で9,500万トンに上ることがわかっています。そのうち原材料調達から輸送までが94.6%を占めています。
アパレル製品が廃棄される手段の多くは、焼却処分であり、廃棄焼却処分で発生する二酸化炭素(CO2)は環境問題を加速させます。過剰生産による大量廃棄に加えて、過剰輸出による運送にかかるエネルギーの消費によっても二酸化炭素(CO2)の発生が増大しています。
大量生産で膨大なものとなる「水」への環境負荷
衣服1着を生産するのに約2,300リットルもの水が必要と言われています。これは一般的な浴槽*11杯分以上に相当します。さらには、国内に供給されている衣類全体では、83.8億㎥が生産に必要と推計されます。これもまた過剰生産により発生している問題の一つと言えます。
- *1 一般的な浴槽の大きさを200リットルとして算出しています。
- ※参考:https://www.env.go.jp/policy/pdf/st_fashion_and_environment_r2gaiyo.pdf
社会課題と企業課題の双方に応える、ガーメントプリンティングの可能性
こういった社会的な課題に向き合う可能性を秘めているのが、ガーメントプリンティングだと私たちは考えています。ガーメントプリンティングは衣類(Garment)に直接インクを塗布するオンデマンド印刷方式であり、データがあれば1枚から作成することも可能です。需要に対し”柔軟に生産・対応できる”ため大量廃棄のリスクが低くなる事に加え、従来のプリント方式よりも廃液量を抑えることが出来るため、水汚染についても環境負荷を抑えることが出来るかもしれません。
また、必要以上の生産、無駄な保管費を抑制することが可能であり、これにより、需要を超える生産、あるいは在庫を抱え多額の保管費が必要といった社会、企業の両側面の課題に対応できる可能性があります。
いずれにせよ、今後の業界では企業課題の解決のみならず、社会課題へのアプローチも必要とされると言えそうです。
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