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知らなきゃ損!IT導入補助金を活用して自社のDX化を推進しよう

#補助金

IT導入補助金は、中小企業や個人事業主のIT化を支援する国の制度です。2025年も継続されることになり、3月から第1次の募集が開始。ソフトウェアやクラウドサービス、PCやタブレット、POSなどのITツール導入の費用を補助。インボイス対応、セキュリティ対策など複数の枠があり、業務効率化やDX推進に活用できます。

1. 2025年版IT導入補助金が提供へ

中小企業やベンチャー、個人事業主などに対して、事業のIT化を推進するために国が提供している制度が「IT導入補助金」です。ITに関わる機器やサービスなどの導入に対して国が補助をするというもので、特にソフトウェアやクラウドサービスの導入によるDX化、効率化を促すことが目的となっています。

補助金で業務効率化・DX化を

IT導入補助金の公式サイト。後述する申請や報告など、オンラインで行います。
事業開始は2017年から。毎年更新され、2025年も継続して提供されることになりました。正式名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業」と言い、生産性の向上に繋がるような製品やサービスの導入が想定されています。

内容自体は、前年とほぼ同様です。違いとしては、物価高の影響を受けて最低賃⾦引上げへの対応を促進するため、最低賃⾦に近い給与の事業者に対する補助率が増加されました。また、導⼊後の「活⽤⽀援」を対象とし、セキュリティ対策⽀援の強化も行われています。

これは売上が伸び悩んでいたり、まだ創業直後でギリギリの給与しか支払えない事業者などに対して、業務効率化による利益拡大による賃上げに繋げたい、という政府の思惑があるようです。

補助の対象となるのは、製造業や卸売業、サービス業、小売業、ソフトウェア業・情報処理サービス業など多岐に渡ります。民間事業者であれば、従業員数が一定の規模以下など条件に当てはまる中小企業、小規模事業者、個人事業主などが対象になります。

幅広い事業者が補助金の対象

対象となる中小企業の業種。個人事業主も同様です。なお、医療法人や学校法人なども対象です。

IT導入補助金の事務局サイトには、「申請対象者チェッカー」(https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/)が掲載されていますが、一部の職種で条件が異なる以外は、資本金と従業員数が規定以下であれば対象となります。個人事業主であればそうした規定もなく、中小企業であれば資本金3億円以下または従業員数300人以下なら対象になります。

○IT補助金の対象となるITツールとは
IT導入補助金では、業務効率化やDXなどを促進するITツール(ソフトウェア、サービスなど)を導入する際に国から補助金が出ます。対象となるITツールは、事前に事務局の審査を受けており、補助金のサイト(https://it-shien.smrj.go.jp/search/)に公開されているものです。自分で探したツールをチョイスできるわけではないので注意が必要です。

また、実際の申請の際には事務局に登録された「IT導入支援事業者」とのパートナーシップも必要です。単独では申請できないので、これも注意しなければなりません。このIT導入支援事業者は、あらかじめ事務局に登録申請を行って審査の上で登録されている事業者で、この補助事業で円滑に申請やITツールの導入、事後の報告などが行えるように支援をしてくれます。

○IT導入補助金の種類
制度の対象となるITツールは、通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠などの分類があり、業務プロセスの改善などのソフトウェア購入費、クラウドサービス利用料(2年間)、導入・活用コンサルティングなどが対象になっています。

自社に適した申請枠を選んで申し込み

申請枠の種類。必要なツールを導入することになります。

例えばインボイス枠(インボイス対応類型)では、PC/タブレット/プリンター/スキャナ/複合機も対象となっており、「会計」/「受発注」/「決済」に関連するソフトウェア・サービスとあわせて導入することで補助を受けることができます。

インボイス対応類型は、インボイス制度への対応を図ることを目的としていて、その分「通常枠」よりも補助率が引き上げられています。

ITツールの補助額は、50万円以下の場合の補助率が3/4以内(中小企業)または4/5以内(小規模事業者)で、50~350万円以下の場合が2/3以内となっています。PCやタブレットなら1/2以内で補助額は10万円以下、レジ・券売機などは1/2以内で20万円以下となっています。

例えば30万円でITツールを導入し、10万円のPC、20万円のレジを導入したとすると、補助額は24万円、5万円、10万円となり、60万円の導入費用のうち39万円の補助額となります。

通常枠の内容

通常枠の補助率と補助額

通常枠は、指定の業務プロセスの中から、それに適したITツールを導入する場合に、1プロセス以上であれば5万円以上150万円未満、4プロセス以上なら150万円以上450万円以下の補助となります。補助率は1/2以内または、「地域別最低賃金+50円以内で3カ月以上雇用している従業員が、全体の30%以上」であれば2/3以内の補助となります。
プロセスは、顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収管理。供給・在庫・物流、会計・財務・経営、総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務、その他業種固有のプロセス、といった分類になっています。

インボイス枠(インボイス対応類型)の内容

インボイス枠(インボイス対応類型)では、インボイス制度に対応した「会計」・「受発注」・「決済」の機能を有するソフトウェア、PC・ハードウェアなどを導入して、インボイス制度へ対応することが目的です。
ソフトウェアの導入が必須で、それに付随するオプションや導入に際してのコンサルティングや保守サポート、そしてハードウェアの導入費用が対象となります。
補助額50万円以下の場合、補助率は中小企業で3/4以内、小規模事業者で4/5以内。補助額が50万円超~350万円以下の場合、補助率は2/3以内となります。PC・ハードウェアなどは条件が異なり、PC・タブレットなどは補助額が10万円以下、レジ・券売機などは補助額が20万円以下で、補助率はともに1/2以内となっています。

こうした類型を確認して、自身の業務において足りないツールがあれば、導入を検討すると良いでしょう。

○余裕を持って申請を
補助金を申請するためには、まず業務においてDX化が足りないところ、効率化が必要な業務を洗い出すために業務フローの見直しが必要になります。現金での決済を行う店舗であればキャッシュレス決済の導入を検討する、といった具合です。その場合は「インボイス枠(インボイス対応類型)」を選択すると、インボイスに対応したPOSレジやモバイルPOSレジ、券売機などの導入に補助金が利用できます。

現状で手書きの発注書を送っているといった場合なら、発注ソフトを購入した上で、それを扱うためのPCや複合機の導入にも利用可能です。

こうした課題の洗い出しを行って必要な申請を検討したら、続いてGビズIDプライムアカウントを取得します。これは行政サービスを利用するためのアカウントで、法人/個人事業主向けの国のシステムです。あらかじめ取得が必要ですが、ID発行に「おおむね2週間」が必要となっているので、余裕を持って申請しましょう。

GビズIDプライムを取得したら、情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言をします。これはセキュリティ対策に取り組んでいることを自己申告するという制度で、「一つ星」または「二つ星」の宣言が必要になっています。「一つ星」だと、「情報セキュリティ5か条」に取組むことを宣言するというもので、基本的なセキュリティ対策を行っていることを示します。自己申告ですが、重要な内容ですので、改めて社内体制や自身の環境をチェックしましょう。

続いてITツールやIT導入支援事業者を選定します。洗い出した課題を解決できるITツールを選定し、その導入を支援してくれる事業者を探します。これが決定したら交付申請を行います。

申請では、IT導入支援事業者との間で商談を進めた上で、交付申請のための事業計画を策定する必要があります。例えば「通常枠」の場合は「3年間の事業計画」を策定し、以下のような項目が含まれる必要があります。

  1. ・1年後に労働生産性を3%以上向上させる
  2. ・3年間で年平均3%以上の労働生産性向上を実現する
  3. ・その計画が実現可能で合理的

さらに補助金申請額が150万円以上になる場合、次の計画も必要になります。

  1. ・事業計画期間で給与支給総額を年平均成長率1.5%以上向上させる
  2. ・最低賃金を地域別最低賃金に30円以上プラスした額にすること
  3. ・その賃上げ計画を従業員に表明すること

「インボイス枠(インボイス対応類型)」の場合は、基本的に導入して利用することが必要で、インボイスの対応状況を報告する必要があります。

こうした条件をクリアした上で事業計画が策定できたら、申請を行います。その後は審査を経て交付決定となります。

その後は、実際にITツールの発注や契約、支払いを行います。実際に導入に至ったことを示す証憑を添付した事業実績報告を、申請マイページからオンラインで行います。これが確認されれば補助金額の決定額が通知されます。これを承認すれば、交付になります。

交付されて終わりではありません。「事業実施効果報告」の提出も必要とされます。通常枠であれば、年度ごとに生産性向上についての数値目標を達成したかどうかの状況を報告します。営業利益や人件費などの目標に加え、給与支払総額などの提出も求められます。

こうした報告ができない場合など、補助金の返還を求められる場合もあるため、IT導入支援事業者とともに報告を行いましょう。

DX化においては、自社の事業を検証して自社の課題やニーズを洗い出すことが重要です。受発注などで印刷や紙資料のスキャンが多いのであれば、複合機を進化させることで利便性が向上します。例えばブラザーの「DCP-J4143N」は、プリンター/スキャナー/コピー機能などが一体化した複合機で、全色顔料インクによる見やすい印刷、高速な印刷速度で効率もアップしますが、実は補助金だけではランニングコストは対象外です。本機は、1回のインク交換で1年以上使える大容量インクタンクを採用し、A4モノクロ文書1枚あたりで従来機の約1/3となる約0.8円(税込)、カラーでも半分以下の約4.5円(税込)と低コストでプリントできます。

電話/FAX機能も搭載した「MFC-J4940DN」も大容量のインクタンクを採用。利用が減ってきたとはいえ、まだまだ音声電話やFAXも利用されるシーンはまだまだあります。独立したての個人事業主だと「不要だと思っていた」ものの、意外に必要になったという場合もあるかもしれません。こうした場合にも、補助金を利用して課題解消を図りましょう。

2.まとめ

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者のITツール導入に際して活用できる支援制度です。なくても事業自体はできるけれども、導入すると業務の効率化に繋がるソフトウェアやハードウェアを導入しやすくなるので、二の足を踏んでいた事業者も検討しやすいでしょう。今まで手作業が多かった企業であれば特に、DX化による業務効率化の恩恵を得られます。

創業したての若いベンチャー企業、独立して間もない個人事業主も、こうした支援事業を利用することで、効率的に事業環境の整備を行うことができます。

IT導入補助金は、2025年3月31日から交付申請の受付を開始し、1次締切分の締切は5月12日、交付決定日は6月18日、事業実績報告期限は12月26日などの予定となっています。IT導入補助金を活用して、DX化の1年にしてみてはいかがでしょうか。

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