CSR日和
事業での貢献
2022.12.22
「コンタミボディ」について知り、ブラザーが果たせる
役割を考える“隠れ繊維ロス”をリユースする
―ReUse by Printing-01登壇―
2022年9月20日、名古屋市久屋大通公園にあるFabCafe Nagoyaで行われたイベントにブラザー販売株式会社(以下ブラザー)常務取締役 安井が登壇しました。
(当日のイベントの様子はYouTubeでご覧いただけます。)
このイベントの主催はPrintio(株式会社OpenFactory)で、オンデマンドプリントの普及に必要な印刷の受発注ツールの開発をしています。それに加え、衣料品の余剰在庫や規格外資材など普段は廃棄してしまう製品にプリントを施し、市場への流通を試みる取り組みを行っています。
イベントのテーマは「隠れ繊維ロスの再流通」。
おいしく食べられるけど見た目が不揃いで通常の流通からこぼれてしまっている不揃い野菜のように、気持ちよく着られるけれど少しの不揃いさが理由で通常の流通からこぼれてしまう「隠れ繊維ロス」があります。
それは、原料である綿花の殻などが紛れ込んでしまった「コンタミボディ」と呼ばれる布地です。
イベントでは、「隠れ繊維ロス」である「コンタミボディ」のTシャツにプリントを施すことで市場に再流通させられないか、登壇した4社が語り合いました。
・フェリック株式会社:繊維資材業界から、「コンタミボディ」とはいかなるものかを説明
・TSUKUSHI株式会社:クリエイターとともに、コンタミボディに新たな価値を与える、アート作品を提供
・ブラザー販売株式会社:多品種・小ロットのTシャツプリントを可能にするガーメントプリンターの可能性を説明
・Printio:この4社コラボを実現し、アパレルにおける最適でサステナブルな仕組みを提案
本イベントに登壇し、衣料、繊維業界の課題に対するブラザーの貢献のあり方について語った安井へインタビューを行いました。
コンタミボディとはどんなものですか?
環境問題、社会問題への注目の高まりから「オーガニックコットン」への需要が高まっています。
これ自体は非常に素晴らしいことで、どんどん広げていかなければならないものなのですが、一方オーガニックコットンの普及にはいくつかの課題もあります。
そのひとつが「コンタミボディ」と呼ばれるものです。
オーガニックコットンは一般的に比較的小規模な農園で育てられるため、大規模農園とは異なり、収穫は手摘みになります。
人の手によるものなので、どうしても綿の部分だけでなく、綿花の軸やそれ以外の部位が混入し、結果として黒い点などコンタミネーション(異物混入)品が出来上がってしまう。
本来、コンタミボディは手摘みのコットンの証ともいえるものですが、残念ながら流通の中で弾かれて、その多くが廃棄されてしまっているのが現状です。
ガーメントプリンターにどのような貢献の可能性があるのですか。
ガーメントプリンターは「インクジェット方式」を用いており、小さな点状のインクを点描のように印刷面に落とすことで直接衣類に印刷することができます。
排水が少ない、作業場が汚れにくいなども利点として挙げられますが、環境面で最も貢献できると考えているのが「必要な時に必要な枚数だけ印刷可能」という点だと思います。
従来の印刷方式では、コスト面からまとまった数量の発注が必要になりますが、必要な分だけ1枚からでも印刷できるガーメントプリンターであれば、 供給量が安定しないコンタミボディのような素材を使用する場合であっても枚数に関わらず印刷できます。つまり資源活用の可能性を広げられるのではと思っています。
またコストを安くするために必要以上に印刷し、過剰在庫・大量廃棄の原因になってしまっているアパレル産業の構造の改善にも貢献できるのではないかと考えています。
筆者感想
今回、「コンタミボディ」というキーワードを軸に、素材・アート・プリンター・仕組みづくりという様々な視点からコミュニケーションがなされました。
アパレル業界が直面する環境課題に対し、ブラザーは「必要な時に必要な枚数だけ印刷可能」なガーメントプリンターを通じて貢献できる、という大きな可能性を感じることができました。
一方で、取り組むべき社会課題はあまりに大きく、流通経路も非常に長く、複雑です。
1社だけでなく、様々な分野からアイデアを出し合い、連携し、実行していくことでしか解決しないことなのだと改めて考えさせられたイベントでした。
今後もアパレルにかかわる多くの人々との対話を続けていくことで、ブラザーとしての貢献の形を模索していきたいと考えています。