ブラザー販売株式会社

CSR日和

社会への貢献

2022.05.27

【前編】がん患者用帽子寄贈式
~リレー・フォー・ライフジャパン元実行委員長の想い~

リレー・フォー・ライフの活動をするNさん

ブラザーグループでは、がん患者支援チャリティイベント「リレー・フォー・ライフ[新しいウィンドウ]」に従業員参加の社会貢献活動として継続的に取り組んでおります。
そしてこの度 ブラザー販売は、名古屋市瑞穂区社会福祉協議会[新しいウィンドウ]※1が行う「帽子プロジェクト」※2に賛同し、高齢者の皆様が製作したがん患者用の帽子を、リレー・フォー・ライフ・ジャパンを通じて患者様へお届けする「がん患者用帽子寄贈式」を行いました。

※1 ブラザー本社が所在する名古屋市瑞穂区で地域福祉推進を行う社会福祉法人
※2 「帽子プロジェクト」は、名古屋市瑞穂区社会福祉協議会と瑞穂区福祉会館[新しいウィンドウ](以下、社会福祉協議会)が行う、抗がん剤治療中のがん患者様へ、地域在住の高齢者が手作りした帽子を贈る活動

リレー・フォー・ライフ・ジャパンと社会福祉協議会、それぞれの想いがつながった寄贈式で、「リレー・フォー・ライフ・ジャパン岡崎」の元実行委員長であるNさんに活動に対する想いをインタビューしました。

現在の活動状況を教えていただけますでしょうか。

がんという病気に関し、情報を得るための行動に一歩踏み出せず正しい情報が足りない方、一方で情報過多になり、偏った情報で悩み、自分を追い詰めてしまう方がいらっしゃいます。
こういった方々へ適切な情報を届け、人と人として寄り添い、直接話し合える居場所を作りたい、それが私の目指す姿です。

愛知県岡崎市でのリレー・フォー・ライフ・ジャパンのイベントが10回を数え、11回目を迎える年に新型コロナの影響で中止となりました。コロナの影響で従来のやり方を考え直しているのは私たちだけではないはず。

コロナ禍でチャリティイベントの開催ができなくなり、大勢で集まることができなくなったとき、改めて大切さを認識したのが「一人一人のつながり」でした。

がんサバイバーでもあるNさん。「帽子プロジェクト」で受け取った帽子の感想をお聞かせください。

抗がん剤治療で髪が急に抜けるので、ものすごく地肌が敏感なんです。さらに、病気と副作用で体が本当に辛く、ちょっとした縫い目の段差だったり、生地のチクチクが痛くてしょうがない。

「帽子プロジェクト」でいただいた帽子は大きなサイズで作ってあるし、後頭部に縫い目が当たらない作りになっているからいいですね。あと、すごくたくさん汗をかくんです!だからガーゼ素材の帽子はとても助かります。

こちらのニット帽も患者の皆さんにやさしい天然素材で編んでいただいたんですね!寒い季節はとても寒いのでニットの帽子が活躍しそう!

Nさんが「帽子プロジェクト」で受け取ったニット帽

実際に病気になると、こういったものを自分で買いに行くこともできないし、誰かに買いに行ってもらうのを頼む気力すらない。
頼んでいなくても誰かが持ってきてくれたら最高ですね。

リレー・フォー・ライフの活動をしていて、苦労されていることなどはありますか?

苦労や困ったことというのは、何かをやろうと思うと必ず起こるもの。
それを解決するのも含めてやろうとしていることなので、苦労話はひとまず横に置いておきますね。

自分が病気になる前から病院でのボランティアなどを行っていたので、がんに関する知識だけはありました。
ないのは「経験」だけ。
それまでのボランティア活動の中で、どれだけ知識があって役に立ちたいと思っても「患者の気持ちはなってみないと分からない」と拒絶されることもあり、なかなか前に進めないもどかしさがありました。
そんな中で自分自身が病気になり「患者」という立場を経験。
患者にはなりましたが、やっぱり「人の気持ちは分からない」んですよね。

理解しようと努力することはできます。
でも完全に人の考えや気持ちを分かることはできない。
人間一人が経験できることって一人分しかないですよね。
だから分かり合えるかどうかって「経験の有無」じゃないんだと思っていて、お互いの理解しようとする姿勢、伝えようとする努力が一番重要だと思っています。

オンラインにて高齢者の皆さま作成のニット帽を寄贈

オンラインにて高齢者の皆さま作成のニット帽を寄贈

病気になると、生活や仕事などこれまで通りにはできないことがたくさん起こります。さらに「病気の苦しさを分かってもらえない」という辛さが加わったら、もう逃げ場がなくなってしまう。

だから「経験したことのないあの人にはどんな言葉なら伝わるかな?」と、伝えようとする気持ち、伝わる言葉が必要だと思います。

とはいえ、病気のさなかは本当に苦しく、誰とも話したくない、声も出ない状況もあるので周りの人の配慮、声がけも同時に必要なんですよね。

筆者の感想

近くにおいてあるペットボトルの水を取る体力もない、「ペットボトルを取ってほしい」と声を出す気力もない。

病気を発症された当時の痛々しくて、苦しい状況をお話しいただき、私自身まだまだ「がん」という病気についての理解が足りていないことを痛感しました。

患者様と周りの人々をつなぎ合うNさんの地道な活動に心から尊敬の念を抱くとともに、みんなを笑顔にしてしまう明るい人柄に、すっかりNさんの大ファンになりました。

活動への想いを語るNさんの温かい言葉が、「元気に笑っていてもいいんだ」と患者の皆さんの心を勇気づけるのだと実感した、素敵な寄贈式でした。

後編ではがん患者用の帽子製作によって地域高齢者の懸け橋となる、社会福祉協議会 ご担当者Kさんへのインタビューをご紹介します。

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