CSR日和
事業での貢献
2022.01.24
就労移行支援事業における年賀状コンテンツの活用
年賀状は1年の始まりを告げる風物詩。毎年、お正月に年賀状が届くことを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
人それぞれのセンスや個性が表れた年賀状は、もらうとやはり嬉しいものです。
ブラザーでは無料の年賀状コンテンツ(年賀状で使えるテンプレート等)を多数用意しており、多くのお客様に長年ご利用いただいております。
この年賀状コンテンツを就労移行支援事業※1の『ときヨシエンタープライズ』(以下ときヨシ)でご活用いただいております※2。
※1:就労移行支援とは、障がいのある方の社会参加をサポートする国の支援制度で、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつ
※2:ブラザーはときヨシの活動に賛同し、年賀状コンテンツを提供しています。
年賀状コンテンツを使った就労移行支援について、ときヨシの担当者にお話を伺いました。
どのような支援を行っているのですか?
地域の精神・発達に障がいをお持ちの方が就労する段階まで移行できるよう支援を行っています。一般的にイメージされる職業訓練とは少し異なり、生活や心の安定を目指すものです。
私どもは精神科病院が母体なので、まずは生活を取り戻すことがスタートです。朝起きて夜寝ること。これが最も基本になり、次にコミュニケーション。その次に職業訓練という形でひとつひとつのステップを大切にしています。
職業訓練のステップでは、まず入り口として印刷業務に取り組んでいただきます。病院内の印刷物、外部の広報誌印刷などを請け負っており、時代の流れに合わせて今後はスキャナーを使ったアルバム作成などのサービスも考えています。
年賀状コンテンツを利用いただいておりますが、どのような活動に活用されているのですか?
年賀状は年に一度、大切な方に思いを込めて贈るものです。そういった点において、年賀状印刷は作業者のスキルアップにつながる作業だと考えています。宛先の間違いがないか、汚れやずれはないかなど、一点一点真剣にチェックするのです。
年賀状印刷自体は数年前から行っており、以前は有料のデザインを購入していました。ただ、年賀状は需要が減ってきていて、購入費用をカバーできなくなってきました。
一方で、地域の方、患者様のご家族が根強くご利用いただいていたので、コストを理由にやめるわけにはいかず、何より、作業者の皆さんへ工賃として利益を還元したいという想いがありました。
労働の対価として賃金を受け取ること。それは、当たり前のように思えるかもしれませんが、少額であったとしても自らが社会の役に立っている実感や自己肯定感の向上につながるためです。
活動の中でうれしかったことはどんなことですか?
課題を抱える方々がそれらを克服し就職して、職場の方にご理解いただきながら、継続して働いている様子を聞けたときはとてもうれしいです。
職場の皆様が各自の抱える課題を受け入れ、できることに目を向けていただけること、「休まずに来てくれてありがとう」などの言葉をかけていただけることが何よりの喜びです。
この活動がどのようになっていくことを期待していますか?
ひとえに「障がい」と言ってもさまざまな症状や本人の特性があり、障がいがある人、ない人と完全に分けられるものではないと思っています。
最近では人材派遣会社も進出しており、軽度の障がい者はこういった派遣会社との相性がいい場合もあるんです。
障がい者とひとくくりにする枠組みから進化して、自身の状態に応じた選択肢が増えることは、社会全体としていいことだと考えています。
筆者感想
年賀状というブラザーにとても親和性の高いものが、社会活動の中で役に立っていることを知り非常にうれしく思うと同時に、期待いただいていることへの責任を感じました。
誰に送ろうか、どんなデザインにしようか、など年末のあわただしい中で準備している年賀状ですが、今年は格別に送る喜びと受け取る喜びを感じることができました。