CSR日和
事業での貢献
2021.07.01
ブラザーキルトコンテスト
第20回 ブラザーキルトコンテスト 大賞作品「清眼」
布地を接ぎ合わせて新しい命を吹き込むキルトの心は、創造的で温かく、資源を大切にする心、物を大切にする心です。
ブラザーは、ミシンキルトによる手作りの文化やコミュニティを醸成するための活動として、「ブラザーキルトコンテスト」を長年開催しています。
このコンテストは、ブラザーが毎回異なるテーマの作品を募集し、世界各国のキルトファンの皆さまから個性豊かな、愛情と温もり溢れる作品が集まります。応募いただいた作品は、ファッションデザイン系学校の先生やキルト雑誌を発行する雑誌社のエディターからなる審査員により厳正な審査が行われ、入選した作品はブラザーが出展するイベントなどで展示しています。
20年以上続いてきたキルトコンテストへの想いを担当者にインタビューしました。
コンテストを始めたきっかけはなんですか?
ブラザーはミシンが創業の会社です。ミシンは作品を作る道具であり、主役は常に「作り手」だと思っています。
そんな作り手であるミシンユーザーの皆さまに対し「作品発表の場」を作りたいと考え、スタートしたのがキルトコンテストです。
当初は「子供服」「刺しゅう」「キルト」の3つのコンテストでしたが、その後ミシンキルトが全盛期となり、熱狂的なキルトファンの皆さまに支えられて、キルトコンテストを今日まで継続することができました。
担当として苦労などはありましたか?
応募点数を多く集めることがコンテストを意味あるものにし、継続も可能になります。そのため、スタート当初は多くの作品を応募していただくために奔走しました。
当時は、ハンドキルト(=手縫いによるキルト)が主流で、ミシンキルトが邪道と言われる時代でした。そこで、全国のディーラー様やキルト教室の先生方を一軒一軒回り、コンテストの意義や想いをお伝えし、生徒の皆さまへ呼びかけを行う地道な活動が必要でした。
ただ、振り返ってみるとたくさんの方と関わることができた楽しい思い出です。
コンテストを行う上で工夫していることはありますか?
コンテストの意義として「作品発表の場」を作ることがありますが、併せて作り手のモチベーションの源泉になりたいという想いがあります。コンテストという形式上、技法やテクニックを審査して入選作品を選ばせていただきますが、それだけでなく斬新な色使いや作品に対する強い想い、遊び心がある構図、将来が楽しみな作品など、一人でも多くの方に入選の機会があるように奨励賞などの特別な賞も設けています。そのため、あえて審査員はファッションデザイン系学校の先生を中心とした構成にして、クリエイティブな視点で審査しているのも工夫の一つです。
今年はだめだったけれど来年こそは!と次もチャレンジしたいと思っていただけるコンテストにしたいと考えています。
審査の様子
一番印象に残っている作品などはありますか?
毎年、さまざまな個性ある作品が届きますが、長期的な視点で振り返ってみると、その当時の時代背景や流行りが作品に映し出されており、時代とともに移り変わる変化を楽しむことができるのも長年コンテストを行ってきたことの面白さだと感じています。
また、海外のブラザーグループ会社の呼びかけにより、世界各国から作品を応募いただいています。国による作風の違いはもちろんですが、国の勢い、国全体のレベルが年々アップしていく様子が覗えるのも醍醐味です。コンテスト開始当初は基礎的な技法のみを使用した作品中心でしたが、その国の中でミシンキルトの浸透が進むことで、応募作品にキルト技法が活かされるのを肌で感じ取ることができました。
筆者の感想
ブラザー販売の従業員として、ミシンを使った手作り作品に触れる機会は比較的多いものの、筆者にとって今回取材した「ミシンキルト」はとても高尚で、手の届かない分野だと感じていました。
しかし、今回の取材の中でコンテスト担当者が語ってくれた「手作りは個性があるから面白い。手作りはもっと自由に遊んでいい。楽しいならそれでいい。」という言葉がとても印象に残り、キルト作品に対する向き合い方が変わりそうな予感がしました。
次にキルト作品を目にする機会があれば、作り手の「遊び心」はどこかな、という視点で作品を見てみたいと思います。
◆「第20回 ブラザーキルトコンテスト受賞作品紹介」ページはこちら