Brother Inside
開発者インタビュー

「確かな技術で快適と安心を」。
その言葉の裏にある、開発者たちの想いと技術とは

MAXIDRIVE 開発者インタビュー

A3ビジネスインクジェットプリンターに搭載されている
ブラザー独自のインクジェット技術「MAXIDRIVE(マキシドライブ)」。
それは、お客様に快適に、安心して長く使っていただくため「高速」と「高耐久」の両立、
そして「品質」を維持することを目的に開発された独自技術です。
快適と安心を支える「確かな技術」と、そこに込められた「熱い想い」について、
開発の最前線に立った3名からお届けします。

プリンター画像

プロフィール

久保 功

久保 功メンテナンス/
センシング担当

インクの吐出状態を見守るセンシング技術を開発。

相羽 貴司

相羽 貴司ヘッド設計担当

プリントヘッドの核となるピエゾ素子の駆動と耐久性向上を担当。

森 政貴

森 政貴吐出制御担当

インクを最適に飛ばす制御と、ノズル状態を維持する微振動技術を担当。

目指したのは「高速」と「高耐久」の両立。
MAXIDRIVEの持つ「強さ」と「速さ」とは?

ビジネスの現場において、印刷の待ち時間は「不満」に、印刷が不良な仕上がりだと「不安」に繋がります。
プリンターにユーザーが求める「強さ」と「速さ」。技術的に相反するこの2つを両立させることが、MAXIDRIVEの出発点でした。

インタビュー画像

まず、インクジェット技術「MAXIDRIVE(マキシドライブ)」を一言で表すと、どのような技術なのでしょうか?

相羽
相羽
一言で言えば、「高耐久」と「高速」を両立させた技術です。ビジネスの現場で、お客様に快適に使っていただくためには、「待たせない」という価値を高めるために「1分間に約30ページ」という印刷スピードがどうしても必要でした。しかし、ただ速いだけでは意味がなく… 長く安心して使い続けられる「耐久性」を伴うことが、ビジネスの現場では必要とされ、その両立が必要でした。
久保
久保
私たちはMAXIDRIVEのコンセプトを「力強さ」と捉えました。インクを吐出する力強さが、画質の美しさ、印刷の速さ、そして製品寿命という信頼性に繋がっていく。そのすべてを高い次元で実現し、お客様に「快適と安心」を提供するのがMAXIDRIVEです。

「速くする」と「長く使う」。これをコンパクトなビジネスインクジェット複合機で実現することは非常に難しい課題だったのでは?

相羽
相羽
そうですね。例えるなら、「短距離走のスピードで、フルマラソンを完走しろ」と言われているようなものですから(笑)。パワー(速さ)を出そうとすると、どうしても部品への負荷がかかり、寿命(耐久性)は短くなる。このジレンマを解消するために、私たちはインクを押し出す心臓部(ピエゾアクチュエーター)の構造を根本から見直しました。

インク吐出技術を
根本から見直すことで実現した、
高耐久と高速の両立。

プリンター画像

高速

ブラザー独自のインク吐出技術により、
高出力プリンティングを実現。

イメージ図
イメージ図

※1 MFC-J7700CDWは除く。※ISO/IEC 24734、24735に基づく数値です。測定条件についてをご確認ください。

具体的にどう変えたのですか?

相羽
相羽
一般的な方式が部品を片方向に変形してインクを飛ばすのに対し、私たちは「上下に変形させる」構造を採用しました。ゴムを想像してください。一方に伸ばし続けるとクセがついてヘタりますが、上下に動かすことで素材の負担を減らし、クセがつきにくくなる。これにより、強いパワーを出しながら、従来比約1.5倍という長寿命化を実現しました。

プリントチップの駆動劣化を
最小限に抑える技術により、
素材の負担が減ることで耐久性が向上。

プリンター画像

高耐久

イメージ図
イメージ図

※解像度:普通、環境:常温常湿、片面印刷時、印字パターン:ISO/IEC 24734。弊社内環境においての計測結果に基づきます。廃インクパッドについては、月間使用ページ1,000~5,000ページ時の計測結果に基づきます。環境によっては30万ページより前に、廃インクパッドの交換が必要になる場合もあります。

ユーザーの「もっと速く」という快適への欲求と、「長く使いたい」という安心への願い。その両方を満たすための技術革新だったのですね。

相羽
相羽
はい。このセラミック部品の試作だけで、繰り返しトライアンドエラーを繰り返しました。「長く、速く使える」という当たり前の安心を提供するために、妥協はできませんでした。

「通常では見えないインクの状態」を制御し、無駄のない快適さを実現

ユーザーにとっての「快適」は、印刷スピードだけではありません。
インク詰まりによるメンテナンスの待ち時間や、無駄なインク消費といったストレスを極限まで減らすこと。
それもまた、技術が解決すべき課題でした。

インタビュー画像

高速化のために、画質を維持するための工夫をしたと聞きました。

森
はい。実は、インクジェットプリンターにとって一番のリスクは「印刷動作中に使われていないノズル」なんです。使っていない間にノズルが乾燥し、インクがドロッとしてしまう。これがいざ印刷する時の「不吐出(インクが出ない)」に繋がります。

それを防ぐために、従来は定期的にインクを捨てて(クリーニングして)いたわけですね?

森
そうです。でも、クリーニング中は印刷できませんし、インクも減る。これはお客様にとって「無駄」になってしまう。 そこで今回採用したのが「マイクロバイブレーション」という技術です。印刷動作中に使われていないノズルがあっても、インクの乾燥頻度を低減するために、ノズル内のインクを細かく微振動させて鮮度を保つ。これにより、クリーニングでインクを捨てる頻度を、従来の1分間に8回から、わずか1回にまで減らすことができました。

8回が1回に!それは劇的な変化ですね。

森
マイクロバイブレーション技術の実現/開発のために一番苦労したのは、「通常では見えないノズル内部のインクの状態」をどう観察するかでした。その実現に向けて見えないノズル内部のインクの微細な振動を可視化する評価技術の開発から始めて、実現に辿りつきました。インクを無駄にせず、いつでもすぐに印刷できる「快適」もMAXIDRIVEが提供する価値のひとつです。
プリンター画像

垂直方向への変形を利用して
印刷動作中に使われていないノズル内のインクを攪拌し、
インクの乾燥頻度を低減します。

イメージ図
イメージ図

さらなる安心と信頼へ。「当たり前」に使えてこその価値へ

どれだけ速くても、どれだけ機能が豊富でも、肝心な時に印刷物に欠陥があっては意味がありません。
「綺麗に印刷できて当たり前」という絶対的な安心感を実現する。
そのためにMAXIDRIVEは、センシング技術を応用した「セルフメンテナンス機能」を搭載しています。

インタビュー画像

どんなに技術を高めても、予期せぬトラブルは起こりえます。その時の「安心」はどう担保しているのですか?

久保
久保
そこで重要になるのが、私たちが開発した「センシング技術」です。 もしインク吐出の不具合が起きても、すぐに検知して自動でメンテナンスを行い、正常に戻す。お客様が気づく前に、プリンター自身が自己診断する機能です。これはプラスの機能というよりも、「当たり前に使える」様にするという意味合いが大きい機能です。

「マイナスをゼロにする」。プラスの機能ではないからこそ、難しさがありそうです。

相羽
相羽
おっしゃる通りです。どんなに高画質でも、たった1本白い線が入るだけで、お客様にとっては「失敗」になってしまう。プラスの評価を積み上げるには、まず「当たり前に刷れる」という土台を守り続けなければなりません。
久保
久保
このセンシングは、ピコリットル(1兆分の1リットル)単位の微小な変化を電気信号で捉えるものです。開発初期の試作時は、本当に繊細で……。例えば、隣でドライヤーを使われただけで、そのノイズで検知できなくなるほどでした(笑)。
プリンター画像

液体帯電を用いて電圧変動を確認し、インクの吐出不良を検知します。
安心して使えるようにするブラザーのセンシング技術です。

イメージ図

生活家電のノイズにも負けない精度が必要だったんですね。

久保
久保
はい。一般家庭やオフィスなど、お客様の使用環境には、様々な種類の電気ノイズが存在します。その中で、いかに正確にインクの状態だけを読み取るか。 「当たり前に使える」様にするための技術は地味に見えるかもしれませんが、お客様の生産性を止めない、手を煩わせないという意味で、これこそが最大の「安心」に繋がると信じて開発しました。

「あたりまえ」の裏にある、ブラザーの過酷な品質・耐久テスト

世界中どこで使われても、同じ品質を届ける。 繰り返し使っても簡単には壊れない耐久性。
その安心を実現するために、様々な品質・耐久テスト等を実施しています。

インタビュー画像

これだけの技術、実際の製品化までにはかなりの苦労があったのでは?

相羽
相羽
ブラザーの製品はグローバルで使われています。インドのような高温多湿な環境から、北欧の冷え切ったオフィスまで。どんな環境でも同じ挙動をしないといけません。 耐久試験では、1日6000枚の印刷を50日間ひたすら続けたりもしました。「あとちょっとで目標達成だったのに!」というところでエラーが出て、やり直しになることも何度もありましたね(笑)。
森
お客様は「耐久テスト」を実施しているかどうかを意識的に気にすることは少ないと思います。でも、過酷な環境試験をクリアしているからこそ、自信を持って「安心です」と言える製品になるのです。

技術を通してこれからも届けていきたい価値

最後に…MAXIDRIVEが搭載されたA3ビジネスインクジェットを通じて、これからどのような価値を届けていきたいですか?

相羽
相羽
プリンターは、あって当たり前の存在です。だからこそ、「不満を一切感じさせない」ことを目指したい。快適に使っていただく中で、気づいたら長く使っていた。故障なんて考えたこともなかった。そう言っていただけるのが、開発者として一番の喜びです。
ブラザーのA3ビジネスインクジェットが、多くのお客様に「快適」と「安心」を届けられることを私たちは願っています。
インタビュー画像

A3ビジネスインクジェットプリンター
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