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「地図づくりは町で暮らす人や働く人の思いを知ることができる」
仙川地図研究所・インタビュー
東京都調布市にある町、仙川。仙川地図研究所は、その名の通り仙川という町で地図づくりを軸に活動されている市民活動グループです。
仙川地図研究所で制作されている地図は、ポップでかわいらしいデザインが魅力的です。町の魅力を伝える地図づくりは、どのような形で行われているのでしょうか。代表を務められている小森葵さんにお話をお聞きしました。
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「地域の個人店を町の歴史とともに紹介するツールが欲しい」という声から始まった活動
─ 仙川地図研究所の活動についてお聞かせください。
小森さん:私たち仙川地図研究所は、桐朋学園大学の近くにある「ギャラリー&カフェ ニワコヤ」を拠点に、地図作りや地理学に興味のある地域住民で集まって活動しています。
活動内容としては、仙川の町の情報を収集し、収集した情報を「見る知る歩くせんがわ地図」という自費出版の地図に集約し、販売しています。現在はコロナ禍でお休みしていますが、仙川の街を案内するまち歩きイベントを行ったり、近隣の小・中学校へ地図作りの出前授業を行ったりしています。
─ 小中学校の生徒さんにも授業をされているのですね。仙川地図研究所の活動が始まった経緯についてお聞かせください。
小森さん:2011年の東日本大震災直後、お店の売上金の一部を寄付金にする復興支援プロジェクトを企画し、参加店舗を募集しました。プロジェクトに参加してくれたお店との意見交換ができ、2013年には地域の新聞販売店の駐車場を会場とする「仙川手作り市」の開催が実現しました。
この2つのプロジェクトを経験後、地域の個人店を町の歴史とともに紹介するツールが欲しいとの声があがったことで、2013年秋から有志での地図作りをスタートしました。
仙川は小さいけれど、とても文化的な町
─ 仙川地図研究所が拠点とされている、仙川の魅力はどこにあると思いますか。
小森さん:仙川は町の中心に桐朋学園音楽学部があるので、周辺のアパートからは生徒さんが奏でる美しい音色が聞こえてきます。そしてプロのミュージシャンや映画・舞台関係のお仕事の方々が多く住んでおり、かつて武者小路実篤や安部公房が住んでいた町としても有名で、芸術や文学を愛する住人が多い町だと感じます。
小さい町ですが、新刊書店と古書店を合わせると4つも本屋さんがあり、店主さんのこだわりが垣間見える書棚を備えたブックカフェも多く、とても文化的な町です。
─ 活動をしていてやりがいを感じる瞬間を教えてください。
小森さん:町で知り合った人に「せんがわ地図持ってます!」と言われたり、新しくオープンしたお店に「その地図に載りたいと思ってました!」と言われたりすると長くやってきた甲斐があるなぁと思います。
地図作りは「自分が地図で紹介したいのは何か?」を考えるところから
─ 地図づくりの魅力はどこにあると思いますか。
小森さん:地域の様々な人と関わって作るので、この町で暮らす人や働く人の思いを知ることができ、それによって町を俯瞰することができるのが最大の魅力です。
─ 地図を作るうえで、どのような点を意識して調査をされているのでしょうか。
小森さん:インターネットで検索しても出てこないような、実際に町に出て集める情報を重視しています。店舗物件の空き状況や、道路・新築物件の工事現場、掲示板や店先で見かける張り紙、農産物直売所の販売状況などはいつも欠かさずチェックしています。
─ 地図のデザインがとてもポップでかわいらしい印象を受けました。デザインで意識されているポイントはあるのでしょうか。
小森さん:すぐに捨てられてしまわないような、長く手元におきたくなるデザインを心がけています。デザインは、海外旅行の際に手に入れた現地のガイドマップを参考にしているほか、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの『宝島』やルース・スタイルス・ガネット『エルマーの冒険』などの児童文学に掲載されている地図にもインスピレーションを受けています。
─ 地図作りに興味を持ち、「自分も作ってみたい」と考えている方へのアドバイスをいただけますでしょうか。
小森さん:「自分が地図で紹介したいのは何か?」を考えてコンセプトを決めたら、地図記号や方位、縮尺などの難しいことは全部無視して、自由に作ってみてほしいです。
─ 今後の展望をお聞かせください。
小森さん:「見る知る歩くせんがわ地図」は2024年で刊行10周年になるので、その時にはオリジナルグッズを作ったり、特別イベントを開催したりしたいと思っています。
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取材を終えて
穏やかな雰囲気で、書店や飲食店が多く魅力的な仙川。そんな素敵な町を仙川地図研究所の地図がより彩ってくれるように感じました。
かわいらしく、手に取ってみたくなる「見る知る歩くせんがわ地図」を、みなさんもぜひ見てみてください。
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