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教育掲載日:2021-04-12

【お小遣い帳の役割はどんなところに?】
FPの資格を持つライター、服部ツバキさんインタビュー

【お小遣い帳の役割はどんなところに?】FPの資格を持つライター、服部ツバキさんインタビュー

お子さまの成長に伴い、欲しいものが増えてくると悩ましいのが“お小遣い”。金銭感覚を養わせたい気持ちもあるけれど、どうすればいいのか……という方におすすめしたいのが、お小遣いの使い道や使った金額を記載させるお小遣い帳です。

今回はFPの資格を持ち、ご自身もふたりのお子さんがいらっしゃるライター、編集者の服部ツバキさんにお小遣い帳の役割や学べる力、親として意識したいポイントなどをお聞きしました。

服部ツバキさん・プロフィール

FP兼ライター・編集者。

金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。

2人の子を持つママFPとして、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン相談が得意。

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親ができるのは、質問ができる環境を整えてあげること

― まず、お小遣い帳にはどのような役割が期待できますか。

服部さん: お小遣い帳は、子どもに「お金の価値がどうなっているのか、またお金がどう動いているのか」を把握、理解させられる効果があると考えています。

子どもにとって自分のお財布に入るお小遣いはどのように得られるのかといえば、お父さんとお母さんが働いて得ているもの。決して無尽蔵に出てくるものではなく、使い切ってしまえばそれ以上はありません。そこからどうしたらいいのか、自分で考えて行動に起こすきっかけがお小遣い帳の大きな役割です。

― お金の価値だけでなく、どこから得られるのか、使った後はどうすればいいのかをお子さまが学べるのですね。

服部さん: 子どもは親がそれを言葉で説明してもすぐには理解できないかもしれません。それがお小遣い帳をつけることで「○○を買うためにはいくらかかるから、いくら貯める必要がある」と考える力を身につけられます。

親ができるのは、質問ができる環境を整えてあげること

― お小遣い帳を子どもに記載させるとき、親はどのようなサポートをするのが望ましいのでしょうか。

服部さん: 避けてほしいのは、お小遣い帳の数字をきっちり合わせるのを目的にしないことです。たとえ合わなくても、お小遣い帳を楽しく続けられるように、また子どもが困ったときに質問ができる環境を整えられる方が良いでしょう。

― たしかに、「どうして合わないの?」と厳しく注意してしまったら、「じゃあお小遣いなんていらない」なんてモチベーションも下がってしまいそうです。

服部さん: 私も10歳くらいのときにお小遣い帳をつけていましたが、きっかけはサンリオキャラクターのかわいいお小遣い帳との出会いという、単純なものでした。「今日は本屋さんに行きました」なんて絵日記のように記載していたこともあったからか、苦にならなかったんです。

お小遣い帳を厳しく両親がチェックする……といったこともありませんでした。ただ、私がお小遣い帳をつけていて「もっと漫画が欲しい」と思って父親に相談したところ、「図書館で漫画が貸し出されている」「古いものであれば、古本屋で購入できる」と教えてもらったことがありました。そこから「なるほど、図書館や古本屋を使えばいいんだ」と気づいたので、親は子どもが相談をしやすい環境を用意してあげるのが良いと思っています。

― 困ったことがあれば相談できる環境はお子さまにとっても心強いですね。

服部さん: 聞きたいことがあれば教えてくれる距離感だったので、自分で考えて行動する力が身についたと思います。いざ漫画を図書館で借りるためには予約する、取り寄せる、貸し出し手続きをする……というシステムについても知ることができましたし、「図書館では小説や図鑑だけでなくビデオ・CD・漫画も借りられるんだ」という発見がありました。

親ができるのは、質問ができる環境を整えてあげること

― では、お小遣い帳の記載を習慣化させるには、どうすればいいのでしょうか。

服部さん: 「最近はどうお小遣い帳を書いてるの?」と声かけをしたり、収支の報告会を行ってシールをつける……なんて形で楽しめる環境を整えてあげると良いのではないでしょうか。ただ、いろいろなタイプの子どももいるので、お金について考えられるようになれば必ずしもお小遣い帳に無理に取り組ませる必要もないと思っています。

収支の報告会では、親も同じように家計簿をつけて、お互いにどんなことがあったのかを話し合うのはどうでしょうか。たとえば「ママはコーヒーを買うのにこれだけ使ったよ」「お買い物では何をどれだけ買ったよ」のような形です。「一緒にやろうか」なんてカジュアルな場を設けてあげれば、子どもは大人の真似をしようとするので、やる気が芽生えるかもしれません。さらに子どもは大人が予期しないようなことに気づかせてくれるので、「ママはこうすれば?」といった指摘を子どもからもらうのは、大人にとっても良いきっかけになるかもしれません。

― お子さまにとって、お年玉は特に大きなお金の動きでもあるように思います。服部さんはどのように貯金されていたのでしょうか。

服部さん: 8割は貯金し、2割ほどを「〇〇を買う」と好きなものを買っていましたね。お正月に届くおもちゃ屋さんのチラシを「ゲーム機を買おう」「攻略本よりもソフトが良いかな」なんてわくわくしながら見ていました。「家庭用ゲーム機は兄弟でお年玉を出し合って買えばみんなで遊べるけど、携帯ゲーム機は1人1台が欲しいよね」なんて兄弟と話し合って買ったこともあります。

このように、兄弟間で「一緒に遊べるゲーム機を買うために、ひとりいくらずつ出し合おう」と話し合っておもちゃを買う計画を立てることは、交渉力を養うチャンスでもあります。

― なるほど。ちなみに交渉といえば、お子さまからお小遣いアップについてお願いされることも考えられます。そんなとき、どのように対応するのが望ましいのでしょうか。

服部さん: お手伝いによってお小遣いをあげるのは、習慣化させるのが難しく望ましいとはいえないという考えもあります。お手伝いは自発的にやるのが重要であり、お金のためではなく楽しみながらやるものです。

ただ、お子さまからの「これをやったからお小遣いアップして」ではなく「これがどうしても欲しいから、お小遣いアップをしてほしい」というプレゼン内容に納得できれば、一時的にお小遣いを増額させたり、クリスマスプレゼントのリクエストを叶えてあげたり……といった対応をするのも良いでしょう。

親ができるのは、質問ができる環境を整えてあげること

― 何でお小遣いをアップしてほしいのか具体的にわかれば、親としてもお財布を開けやすくなります。

服部さん: 相手をその気にさせるにはどうしたらいいのかを考える交渉力・プレゼン能力は、社会に出てからさまざまな場面で役立つでしょう。

― 服部さんは大人になって振り返ったとき、お小遣い帳によってどのような力が養われたと思いますか。

服部さん: お小遣い帳をつけたことで、「今月これによく使ってるけど、これって本当に欲しかったのかな」と、“必要なもの”と“本当に欲しいもの”、いわば“浪費”と“消費”を自然に理解する力、またどんなものに使ったのかを分析して自分の好きなものを知る力がついたと思います。

― 自分の消費行動や自分を知るきっかけになったのですね。

服部さん: また、「欲しいものはやっぱり欲しいから、そのためには働いてお金を得よう」と早い段階から働くことを意識するきっかけにもなりましたね。いずれ子どもがもう少し大きくなったら、お小遣い帳を薦めたいです。

― お子さまにもお小遣い帳を薦めたい理由は、どんなところにあるのでしょうか。

服部さん: お金について考えるきっかけは、何かしらで与えたいと思っています。私自身も可愛い日記感覚で始めたこともあるので、まずは計算を自分でやらせる意味でも紙のお小遣い帳から触れさせたいです。

親ができるのは、質問ができる環境を整えてあげること

― お小遣い帳の選び方で押さえておきたいポイントがあればお聞かせください。

服部さん: 積極性という意味でも、まずは本人に選ばせるのがポイントです。雑貨店に行って可愛いキャラクターものを子どもが手に取ったら、そこから始めてみてはいかがでしょうか。

お小遣い帳アプリも便利ですが、紙のお小遣い帳は必要に応じて欄を増やしたりといったカスタムも容易です。しっかり振り返りができたらシールを貼ったり、親がコメントを書いたりもできます。子どもがアプリに興味を持ったら、そちらにシフトしても良いでしょう。

― もし何かしらの形で収支が合わなかった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

服部さん: 子どもによっては「ぴったり合わなくて気持ち悪い」という反応もあれば、「大体合ってればOK」なんて大雑把な反応もあるかもしれません。原因を洗い出すでも、ひとまず合わない金額をメモして後から考えるでも、子どもに考えさせるのもひとつの方法です。

特にお金の動きがなかったとしても、「どんなことがあったか」を一言、日記のように書くだけでもお小遣い帳の記載にはなります。子どもが楽しく、お金の動きを把握したり、貯金への取り組みにつなげられるようにお小遣い帳を活用できるようはたらきかけましょう。

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取材を終えて

FPというお金のプロである服部さんのお話により、お小遣い帳に子どもが自発的に取り組むためのサポートの重要さを学ぶことができました。お金に関する知識や感覚は、今後働いてお金を得る、貯めて大きなものを買う瞬間にも役立つことでしょう。

お子さまにとって得るものの多いお小遣い帳について、まずは一緒にお小遣い帳を選ぶこと、そして定期的に収支報告会を行うようにしてみてはいかがでしょうか。

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