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趣味掲載日:2020-07-16

【プラ板のカットも可能!】ブラザーの家庭用カッティングプロッタ「スキャンカットDX」を鉄道模型工作に活用!

【プラ板のカットも可能!】ブラザーの家庭用カッティングプロッタ「スキャンカットDX」を鉄道模型工作に活用!

*この記事は、鉄道模型専門誌「RM MODELS」掲載の記事を、出版元の株式会社ネコ・パブリッシングの許諾の下、掲載しています。
本記事に記載の製品性能・使用感等は、編集部の見解を尊重し、雑誌掲載時の内容をそのまま使用しています。



ブラザーの家庭用カッティングプロッタ「スキャンカットDX」。

今回はその実践編として、鉄道模型工作での活用例をお届けします。

カッティングプロッタは、薄手の平面素材を、パソコンで作図したデータ通りにカットする出力装置で、鉄道模型においては車体やパーツ、マスキングシートのカットなどに活用できます。

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プラ板カット&イラレ対応!「デジタルモデリング」に最適な機能が魅力!

家庭用カッティングプロッタは、以前より各社から販売されていますが、カットできるのは基本的に紙やステッカーなど薄手のシート素材のみで、鉄道模型工作で使用頻度の高いプラ板のカットには対応していません。

また、対応ソフトも製品純正がベースで、「デジタルモデリング」でこちらも使用頻度の高い「Adobe Illustrator(以下イラレ)」での作図データは、ファイル形式の変換や、サードパーティ製プラグインデータで読み込ませるなど、煩わしい作業が必要でした。

「スキャンカットDX」は、t0.2までのプラ板のカットに対応しており、さらにイラレで作図したデータも、SVG形式で保存することで簡単に読込可能という、既存機でネックとなっていた問題点を一気に解消!

さらにこれも煩わしかった刃先の調整も、カットする素材の厚みを自動で検知し、刃の出量を自動で設定してくれるので、試しカットの回数も大幅に削減できます。

プラ板の他にも、カット対応素材は非常に多く、模型工作にも幅広く活用できます。

▲本体側面を見る。前部にセットした素材は、カット開始時に本体へ自動挿入され、長手素材のカットの場合は背面に送られる。そのため設置の際は背面にも十分なスペースを確保しておく必要がある。

スキャンカットDXのカット対応素材

●コピー用紙(0.1 mm)
●スクラップブッキング用紙(薄手:0.15mm / 普通:0.25mm)
●カードストック(0.35mm)
●ベラム・トレーシングペーパー(0.35mm)
●ボール紙( 0.5mm)

*各素材には「スキャンカットDX 専用マット」の「強粘着カッティングマット」「弱粘着 カッティングマット」を使用。
●薄いコットン生地( 0.25mm)
●フランネル(0.5mm)
●フェルト(3mm)
●デニム 14 oz.(0.75mm)

*各素材には「スキャンカットDX 専用マット」の「強粘着カッティングマット」「弱粘着 カッティングマット」または「アイロン接着シート」「布用粘着 サポートシート」を使用。
その他 ●プラスチック シート(0.2mm)
●ビニール(0.2mm)
●ゴムマグネット シート(0.3mm)
●ステッカー・シール(0.2mm)
●スポンジシート(0.2mm)
●ウレタンフォーム(3mm)

*各素材には「スキャンカット DX 専用マット」の「強粘着カッティングマット」「弱粘着 カッティングマット」を使用。

*上記素材は取扱説明書及びカタログ記載の一例で、カッコ内の数値は各素材の最大厚(目安値)。

▲各素材を本体にセットする際に使用する「スキャンカットDX専用マット」を使用。カットエリア(黒枠内)は粘着処理が施されており、素材をしっかり固定できる。弱粘着または強粘着の2種類があり、使用素材に合わせて選択する。

▲専用マットに素材を貼った状態。最大カットエリアは300×300mmで、使用する素材もそれ以内に収める。黒枠に記載された目盛に沿って水平・垂直をしっかり合わせ、素材が波打たないようしっかり密着させる。

▲素材を貼った専用マットを本体に挿入する。マットを水平に持ち、本体の搬送スロットに軽く押し込む。あとは操作パネルのボタン操作でローラーが回転し、自動で本体に送り込まれる。

スキャンカットで、鉄道模型向けのテストピースをカットする

▲鉄道模型向けに1:150と1:80スケールの長方形(戸袋窓と客窓2段サッシを想定)と、1.0・2.0・3.0mmのそれぞれ丸と角穴。外周は車体断面風の形状とした、鉄道模型で想定される基本要素を盛り込んだテストピースをイラレで作図。

▲イラレで作図したデータをSVG形式で保存することで、専用のデータ作成・編集アプリ「キャンバスワークスペース」で読み込みができる(写真は本アプリの初期画面)。

▲本体へのデータ送信は、本アプリから無線LAN経由で転送できる。また、SVGファイルをUSBメモリに保存し、本体側のUSBに挿入することで、アプリ(パソコン)を介さずに直接読込も可能だ。

▲データが本体に転送されれば、あとは本体のタッチパネルでカットの設定をする。とはいえ素材の厚みなどは自動で検知されるので、まずはそのままの数値で試しカットをし、結果を見てカットの速度などを調整すると良い。

▲画面にはカットエリア内に配置されたデータのイメージが表示される。位置に問題がなければ、あとはスタートボタンを押すだけでカットが開始される。なお、写真では指で直接操作しているが、本体にタッチペンが付属するので、その方が操作しやすいだろう。

▲カット中の動作音は家庭用インクジェットプリンタ並で、夜間の作業でも問題ないレベル。カットを終えたら本体操作でマットを排出し、マットから素材をゆっくり剥がしていく。正しくフルカットされた場合、くり抜かれた内側部分がマットに残る。

テストピースのカット結果を比較

▲まずはペーパーキットで用いられるケント紙(t2.0)の結果を見る。ほぼデータ通りにカットされ、繊細な2段窓中央の桟もキレイにカットされている。

▲続いて対応素材であるt0.2プラ板。各角穴の上部にやや歪み癖が見られるが、修正できるレベルなので実用上問題はないだろう。

▲最後に対応外となるt0.3プラ板をカットしてみた。さすがに歪みが多く、1:150スケールの2段窓は桟が無くなってしまった。全体的に水平方向で歪みが発生しやすいようで、癖を理解すれば、カットの方向や速度の微調整などで解決する場合もあるだろう。

実践編! PLUMの1:80スケール201系プラキットをベースに塗装用マスキングシートとプラ板で車体をカットする

実践編! PLUMの1:80スケール201系プラキットをベースに塗装用マスキングシートとプラ板で車体をカットする

テストピースによる結果を踏まえ、いよいよ鉄道模型工作で実践投入!

今回はカッティングプロッタが大いに活躍できそうな題材として、PLUMの1:80スケール201系プラキットをベースに、複雑な塗装や改造された展望窓が特徴の「201系四季彩(旧塗装・登場時)」と、実車が201系をベースにアルミ車体化した「203系0番代」を製作しました。

複雑な塗色と展望窓が特徴!201系四季彩 クハ200-134(旧塗装・登場時)

まずは塗装用のマスキングシートと、プラ板による繊細なディテールパーツのカットの例として、201系四季彩(旧塗装・登場時)のクハ200-134を製作しました。

改造で片側のみ大型の固定式一枚窓となった客窓と、曲線で構成された複雑な塗色など、カッティングに最適な題材です。

▲車体を原寸でスキャンし、イラレ上に貼り込んだ画像をベースに、窓枠と塗色パターンを作図していく。マスキングは色ごとに分割し、側面全体に貼れるようにした。

▲作図したデータは窓枠とマスキングでそれぞれ別データで保存。ファイル形式は「SVG」を選択することで、カッティング専用アプリで読み込むことができるようになる。

▲窓枠は2ピース構成で、最初に客窓の基本形状を作るためのパーツをt2.0プラ板でカットし(左写真)、それを加工した車体の窓へツライチで嵌め込む。隙間に瞬間接着剤を流し込み、表面をサンドペーパーで平滑に仕上げていく。

▲同じくt0.2プラ板からカットした窓枠(左写真)を、加工した客窓の上に乗せ、流し込み接着剤で固着させる(右)。窓枠は非常に繊細なのでフルカット(くり抜き)はせず、ハーフカットで0.1mmだけ彫り込み、残りはデザインナイフでカットする手法とした。繊細なパーツはこの方が良いだろう。

▲マスキングシートなど、ステッカー素材のカットは、カッティングプロッタの得意とするところ。台紙までカットしないハーフカットの設定でカッティングする。車体はベース色となるアイスグリーンを塗装し、その上からカットしたマスキングシートでパターンを塗り重ねていく。

▲最初は緑のパターンから。車体裾と両端を基準に位置を定め、マスキングシートを全体に貼る。段差部分はバーニッシャーでしっかり擦って馴染ませていく。

▲マスキングを終えたらエアブラシで緑色を塗装する(左写真)。乾燥後、マスキングシートをゆっくり剥がすと、キレイに塗り分けされた緑色パターンが姿を現した(右)。

▲続いて黄緑色のマスキングシートを貼り、同様に塗装していく。なお、作例ではこの順番で塗り重ねたが、マスキングシートのパターン側のみを使い、この逆順で塗装するのも良いだろう。

▲完成した四季彩仕様のクハ200-134。従来のマスキングテープでの手作業では難易度の高い塗色も、カッティングプロッタがあれば専用のマスキングシートを手軽に自作することができる。

▲前面は単純な直線構成なので、通常のマスキングテープで養生して塗装した。

▲展望化で大型となった海(多摩川)側の客窓。窓ガラスもt0.3透明プラ板をカッティングしたものを裏側から嵌め込んでいる。

▲山側の塗色パターンは反転しただけで、客窓も原形を保っている。なお、実車は四季彩として正式デビュー時に側面にイラストが追加され、2005年には白ベースの新塗装に変更された。

プラ板を貼り重ねて大変身!203系 0番代 クハ202

続いてはプラ板による車体製作の例として、203系を製作しました。

車体といっても基本となるのは201系の車体そのもので、t0.3プラ板をカットした側板と前面を上から貼り重ねる手法で製作しました。

また、凸ディテールの表現としてカッティングシートを使用したほか、こちらも塗装用のマスキングシートをカットしています。

▲四季彩と同様、車体のスキャン画像を元に客扉や客窓を作図していく。扉部分及び客窓のディテールは元の201系を使用するので、それぞれ基本外寸だけをトレースする。なお、客扉は両端のみアウトラインを取り、テーパーを表現する。

▲透明のフィルムシールに印刷したものを貼って入念にピッチの確認と修正をする。ピッチがずれてしまってはこの工法は成立しない。ピッチが決まればt0.3プラ板で本番のカッティングをする。

▲201系の車体側面は、乗務員室扉以外の凸ディテールを全て撤去する(左写真)。前面は裾部にデザインナイフで切り込みを入れて傾斜を設け、前面窓周囲は元の傾斜をそのまま活用し、額縁を撤去して行先表示窓を中央に開口し直す。

▲カットしたt0.3プラ板による新たな側板を貼り重ね、位置が決まったら流し込み接着剤で固着させる。なお、裾部は段差と裾天地をわずかに延長させるため、別途t0.2プラ板をカットした帯材を貼って表現した。

▲前面もt0.3プラ板をカットしたパーツを貼り重ねることでディテールを表現していく。正確かつ繊細なカットができるのも、カッティングプロッタだから成せる技だ。

▲乗務員室扉脇の埋込形昇降ステップの外枠(左写真)や、客窓のユニット枠(右)といった薄手の凸表現は、カッティングシートを使って表現した。そのほかドアコック蓋や号車札差しなども同様に表現している。

▲客扉のアルミ質感の差異表現(左写真)や、エメラルドグリーンの車体帯(右)も、四季彩と同様に専用のマスキングシートをカットしたものを貼って塗り分けた。

▲マスキングテープでは手間のかかる塗り分けも、カッティングプロッタがあれば、簡単に専用マスキングシートが作れる。四季彩のように複雑な塗色に限らず、こういった単調な連続作業的な場面でも大いに活用されよう。

▲201系から大変身を遂げた203系クハ202。実車も201系を元に設計されているので、前面をはじめ外観こそ異なるが、ディテールに共通点は多い。なお、貼り重ねた分だけ車体が拡幅しているように思えるが、側板は雨樋と同じ厚みなので全幅に変化はない。これも実車と同様の理屈だ。

▲前面窓はt0.3透明プラ板をカットしたものを嵌め込んでいる。

▲アルミ車体特有の扉周囲の段差も側板の肉厚で表現できる。ユニット窓や昇降ステップの微妙な凸表現はカッティングシートを貼り重ねることで表現。

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カッティングプロッタは鉄道模型工作の強い味方!

今回、実践工作として使用したブラザーの家庭用カッティングプロッタ「スキャンカットDX」は、このように様々な素材をカットでき、車輌工作からストラクチャーまで、模型工作の強い味方として大いに役立つこと請け合いです。

あなたの工作環境に是非ご検討を!

製作・本文・写真:根本貫史(RMM)

スキャンカットの詳細はこちら

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