ソーイングを楽しむ上で大切なのが、デザイン。今回はXP1をお持ちのお客様を対象に、デザインを楽しみ、高めあうためのユーザーミーティングをオンラインにて開催しました。手芸作家兼ファブリックデザインのディレクター、中島一恵先生と一緒に刺しゅうデータを作ったり、さまざまなお話を伺ったりと、充実した時間を過ごすことができました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
開催⽇:2024年3⽉14⽇(木)
ブラザー販売株式会社 代表取締役社長 安井のご挨拶
まずは代表取締役社長の安井から、参加者の皆様へご挨拶。
― 安井
皆様こんにちは。ブラザー販売株式会社の社長を務めております、安井宏一です。このたびは XP1のユーザーミーティングにご参加いただきまして誠にありがとうございます。第1回はオンライン、第2回は昨年リアルで開催し、少しでもたくさんの方にご参加いただくという目的も込めまして、今回の第3回はオンラインでの開催にチャレンジしております。ミシンを使う楽しみから、XP1の良さを活かした色々なノウハウも含めて、さまざまな要素をお届けできればと思っております。今日は短い時間ではありますがぜひお楽しみください。今後とも、ブラザーのXP1をよろしくお願いいたします。
まずは中島一恵先生と一緒に刺しゅうデータを作成!
中島一恵先生
1989年、キルトデザイナーの藤田久美子さんと出会い、制作をスタート。キルト、刺しゅう、フェルトなど、幅広い技法を取り入れた作風が人気。藤田久美子氏とのユニットでは、文字をテーマにしたタイポグラフィーキルトを提案。ほかにも隔週刊キルト誌の制作協力など、多岐にわたる活動を行う。150色の無地生地のサンプル帳から生まれ、「100人100様のものづくり」をコンセプトとした『刺しゅうやペンで スタイリングできる“ぬりえ”みたいなファブリック』【100ネエサン】をディレクション。最新刊は『100ネエサン スタイルブック おしゃれに着せ替えて遊ぶ布ぬりえ』(グラフィック社)。
配信会場には、中島先生のキルト作品を展示させていただきました。
左の作品は、中島先生の作風の特徴である大胆な色使いが印象的な、グログランテープを活用したタイポグラフィーキルト。右の連続するパンダの絵柄がかわいらしい作品は、なんと中島先生オリジナルの布で作ったキルト。色の境目やキルティングラインまでPCでデザインし、一枚布に印刷したものに綿を挟んでキルティングされています。
― 中島先生
プロセスを考えていく上で、楽な方、楽な方に行って、ちゃっかりとしたデザインを思いつくと、もうほんとに満足感がありますね。やったー!という達成感がそこであるんですね。
今回は、中島先生にご用意いただいた巾着が作れるキットを使って刺しゅうデータを作っていきます!
今回はXP1の目玉機能のうち、フォトスキャン(アナログ原稿をミシンにスキャンさせる機能)とマイデザインセンター(ミシンでお絵描きソフトのようにオリジナルの刺しゅうデータを作れる機能)を使ってデータを作りました。
原稿は、なんと中島先生がXP1ユーザー様のために特別に作成くださったオリジナルのネエサン。
同梱の枠にマグネットで貼り付け、ミシンの内蔵カメラで読み取っていきます。
スキャンが完了したら、データを整えていきます。
トリミングや画面の拡大・縮小など、中島先生にも実際に操作いただきながらご紹介しました。
XP1では、読み込んだ原稿をもとに一部だけ描き換えたり、色を付けたり、縫い方を変更したりと、ミシンの中だけでさまざまな編集ができます。今回は、シンプルな服装のネエサンに髪型や服を重ねて着せ替えました。基本的な画面操作やデータの編集のコツ、順番などを解説しながら、オリジナルのネエサンを作ります。
中島先生の配色の決め方など、参考になるポイントがたっぷり!
途中からは手描きで服を書き換えたり、内蔵の柄を入れたりする応用的なテクニックをご紹介。およそ1時間でオリジナルの100ネエサン刺しゅうが完成しました。
最後は巾着への仕立て方をご紹介。今回のキットには特別に、ルシアン社の100ネエサン今春新作布を2種同梱いただきました。たくさんのネエサンが並んでいる生地は、バッグや巾着に挟むとかわいいタグにできますよ!
次は皆様お待ちかねの、先生のトークショー
ブラザーのスタッフが司会進⾏を務め、中島先生といろんなお話をさせていただきました。
まずは、ユーザーの皆様からのご質問に答えていただくQ&Aコーナーです。
どうして手芸作家になられたのですか?
― 中島先生
私はもともと手芸店で働いていて、「反物のサンプル帳の板に一枚一枚顔をつけたらおもしろいだろうな」とか「一色ごと、一柄ごとに人が存在していたらおもしろいだろうな」と思っていたんです。それで、パッチワークを始めたときに、いろんな色を扱っている海外の布に出会いまして、これを仕入れて販売しよう、そのときに一色一色に担当の姉さんをつけよう、と思ったんです。そこからイラストを友達に描いてもらい、サンプル帳を作ったのが100ネエサンの原型です。その後展示会をするときに、「自分で生地を作ってみよう」と思って、生地にお姉さんをプリントし、ネックレスや靴をポイントで刺しゅうするものをキットにしたところ、メーカーさんからお声がけをいただき100ネエサンが誕生しました。それから手芸作家としてのキャリアがスタートしましたね。
キルトの方は、子育て時代にママ友としてキルトデザイナーの藤田久美子さんに出会いまして、 そこで教えていただきながらお手伝いさせていただいていたんです。私はパッチワークを全然知らなかったのであまり真剣じゃなかったんですが、藤田先生は許容範囲が広くて、私が提案するものすべてをいいねいいねと言ってくださって、フェルトや紙を使いながら自由に制作していました。藤田先生はとても褒め上手なので、それに乗っかっていたら木に登って降りられなくなっちゃった感じです(笑)
素敵な作品のアイデアはどのように思いついていらっしゃるのですか?
― 中島先生
アイデアや私の表現の源は、街を歩いているときにアンテナを張るとか、好きなお店の商品をチェックするとか、あと雑誌とかですね。今の人たちはどんな思考で動いているか、どんなお店で買い物をしているかというのを常にチェックしています。例えば靴一つにしても、グリーン車の下の段に乗ると、駅のホームで歩いている人の靴だけが見えるんですよ。そうすると、靴への興味も湧いてきますし、スタイリングにも役立ちます。歩いている人と目が合わないようにスクリーンを下げて靴だけが見えるようにしています(笑)
打合せのときも、行きの電車の中でいろんな展示や場所をチェックして、今日はこれがスタートするんだとか情報を仕入れて出向くようにしています。
作品を作るうえで気をつけていることはありますか?
― 中島先生
作るのはだいたい仕事の作品になりますので、再現性があることと、作りやすいことを大事にしています。素材がどこででも手に入ることなどですね。それを強いられているんですが、それが結局気持ちいい作品作りになっていると思います。「気持ちいい作品」というのは、見ていて美しいというよりも、気持ちいいっていうもの。アートはやはりガツンときて見入るような感覚があると思うんですね。ぱっと見た瞬間記憶の中に入っていて、あれ、どっかで見たことあるぞっていう、そんな感じで。見入ったり立ち止まったりはそれほどされないとしても、皆の記憶に残ると思うんです。で、プロセスの景色も美しくありたいと思っています。でき上がった作品の、プロセスのシーンがとっても好きなんですね。そこにおしゃれ感が出たりするなと思っているので、そういうところも気をつけているなと思います。
一番ウケがいいのは、複雑だけど簡単に作れるものなんですって。私は簡単に見えて、実はここまで練り込んだんだぞっていう、そういう作品を作りたいなって常に思っています。
素材に関してはナチュラルなもの、綿や麻を常に選んでいますね。
XP1を使ってみてのご感想をお聞かせください
― 中島先生
“目の前に工場が1軒丸ごと現れた!”という感覚で、衝撃を受けました。1台ですべての工程ができるXP1は本当に画期的で、まさに私のためのミシンだって思っちゃうほどです(笑)直線縫いや普通の縫い方も試してみたんですが、なんて上品な使い心地なんだろうと思いましたね。力強さがありつつもエレガントな使い心地で、孫たちにあげる刺しゅうを作るなどして楽しませていただきました。
今後取り組んでみたいことはありますか?
― 中島先生
XP1を使わせていただいたおかげでミシンという可能性を得たので、手刺しゅうやミシン刺しゅう、パッチワークなどを共存させた企画や展示をしたいなと考えています。また、手刺しゅうのイメージが強い100ネエサンの着せ替えですが、今日お見せしたようにミシンでもできますので、より身近に感じていただけたのではないでしょうか。100ネエサンが何かのきっかけのアイテムになればいいなと思っています。
続いて、XP1ユーザー様の作品や海外での活用事例をご紹介
まずはユーザー様がXP1で作られた作品をご紹介しました。
こちらは、淡いお花の刺しゅうがポイントの小物入れです。
―中島先生
清潔感あふれる雰囲気で素敵!春らしくてかわいい作品です。中袋の柄のチョイスもいいですね。花を表現するために真ん中から外側へと縫い方向を設定されているところにこだわりを感じます。
ほかにも、今年の干支を表現したタペストリーやカードゲームの柄のバッグに合わせたカード型の刺しゅう、ミシン柄の刺しゅうがかわいいミシンカバー、ディズニーの刺しゅうを生かしたお洋服など、たくさんの作品をお寄せいただきました。ありがとうございました。
続いて、ブラザー工業の池場から海外のXP1の作例をご紹介しました。アメリカの事例ではカラフルな作例や細やかな刺しゅうが特徴的。ヨーロッパではオーガンジーやメタリック素材を活かしたインパクトの強い作例が目立ちました。また、海外では布自体を手書きや写真でデザインし、そこにステッチを加えていく手法も流行しているのだそう。ヒューストンで行われたキルトフェスティバルの様子や受賞作品などもご紹介し、さまざまな国の事例をお見せすることができました。ぜひ、作品づくりに生かしてみてくださいね。
最後に、ホームファッション事業部⻑ 鵜飼よりご挨拶
― 鵜飼
ブラザー販売の鵜飼です。皆様、本日はお忙しい中ユーザーミーティングにご参加いただきまして誠にありがとうございました。また、本日の会の企画から実施までご協力をいただきました中島先生、誠にありがとうございます。この場を借りてお礼を申し上げます。皆様により長くXP1をご活用いただけることを願いまして、定期的にこういった会を開催させていただいております。刺しゅうミシンが世の中に広がり、より一般的になるように、我々はこれからもユーザーミーティングをはじめワークショップや講習会などを企画してまいりますので、機会がありましたらまたぜひご参加くださいませ。本日は誠にありがとうございました。
今回のユーザミーティングは、デザインの楽しさやインスピレーションを得るための有意義な会となりました。
皆様、これからもルミナイアーXP1とともに楽しいソーイングライフをお過ごしください!ありがとうございました!