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力強さと可愛さを兼ね備えたアニマルトロフィーの魅力。Hande und Stitch・花村一晃さんインタビュー
フェルトやオリジナルテキスタイル、古着といった素材を組み合わせた動物の壁飾り「アニマルトロフィー」を製作している、Hande und Stitch(ハンドウンドステッチ)の花村一晃さん。
服飾デザイナーとしてキャリアをスタートさせた花村さんは、2010年ご縁あってドイツ・ハンブルクに住んでいた知人を訪ねた際に、ドイツ人が家で過ごす時間とインテリアを大切にされている姿を目にしたほか、マルシェで出会った動物のぬいぐるみや剥製から着想を得て、アニマルトロフィーの製作を開始。これまでシカやトナカイ、ゾウにフラミンゴなどさまざまな作品を製作してきました。
今回は、インスタグラムのキャンペーンで花村さんが製作したアニマルトロフィーをプレゼントすることを記念し、アニマルトロフィーの魅力や初心者におすすめの製作方法をお伺いしました。
【プロフィール】
花村一晃さん
1981年岐阜県大垣市 出身
大阪芸術大学工芸学科テキスタイルデザインコース・文化服装学院2部服装科、卒業。
在学中「装苑賞」にノミネート。
アパレル、衣装製作を経て、渡独。
2011年帰国後、『アニマルトロフィー』の製作を開始。
2016年神戸「ドラフト!13」を機に “Hande und Stitch” の活動をスタート。
『minneハンドメイド大賞2017』グランプリ受賞。
著者に「フェルトでつくるアニマルトロフィー」(誠文堂新光社)がある。
※2018年3月には、愛知県名古屋市のブラザーミュージアムにて《ハンドメイド作家とつくるブラザーソーイングワークショップ》第1回『アニマルトロフィーを作ろう!』を開催
【HP】https://www.hande-und-stitch.com/
【Instagram】https://www.instagram.com/hande_und_stitch/
【facebook】https://www.facebook.com/handeundstitch
※外部サイトへリンクします
ぬいぐるみと剥製から「布でハンティングトロフィーを作ろう」と着想
―花村さんは現在アニマルトロフィーを作られていますが、それまではファッションデザイナーをされていたそうですね。
花村さん:私は大学でテキスタイルデザインを学んだ後、アパレルメーカーで働きながら服飾の専門学校の夜間コースに通い、ファッション漬けの3年間を過ごしていました。卒業後は夢だった自身のブランドを立ち上げたが軌道に乗らず。その後、CMなどの着ぐるみや特殊衣装の製作に携わる会社で経験を積みました。上京して挑戦したかったことはある程度やり尽くしたなと感じていたとき、世の中はちょうどファストファッションブームでした。手ごろな価格で楽しめる洋服が求められている時代と、自分が作りたい洋服の間にギャップを感じて、迷いが生じたんです。次のステップに進みたいと模索していたときに、妻と二人、知人が住むドイツを訪れたことが転機となり。洋服づくりから一度離れようと決意できました。
―そこから、どんなきっかけでアニマルトロフィーの製作に至ったのでしょうか。
花村さん:きっかけは、ドイツでアンティークマーケット(蚤の市)へ知人に連れて行ってもらったとき、シュタイフというブランドのぬいぐるみや剥製に出会ったことです。彼らから文化や歴史を教えてもらいました。
ドイツ人は、残業が無く長期休暇をしっかり取る文化があるように、家でくつろぐ時間をすごく大事にしています。また、家に人を招くパーティー文化もあるため、インテリアへの興味が強く、住む人の世界観が家に反映されていることも知ることができました。
そんな背景から街ではアンティークマーケットが週末によく開かれていたのですが、そこでシュタイフのぬいぐるみや剥製のシカの壁飾りにどんどん魅了されていきました。もともと洋服を作ってきたので、「この技術を生かして、布でハンティングトロフィーを作れないだろうか」と思い付きました。
―ちなみに、最初にアニマルトロフィーを作ったときのことを覚えていますか。
花村さん:「こういったものを作りたい」というイメージはできていたのですが、綿を詰めてみないとどんな形になるか掴めず、最初は手探りで進めていきました。当時を思い出すと、ツノが重みで垂れてきてしまったり苦戦しました。現地の皆さんにアドバイスをもらいながら、綿の詰める方法、綿の種類や重さなど素材感にもこだわっていき、何とか形になってきました。
日本に帰国してから、サイズのラインナップを増やしたりといった変化はありますが、パターンの取り方など大枠の作り方は最初の作品がベースになっていますね。
―花村さんご自身も動物がお好きとのことですが、特に好きな動物や興味を持っている動物はいますか。
花村さん:小さい頃から犬・猫・鳥・うさぎなど、さまざまな動物を飼っていました。特に今興味を持っているのは、ヘラジカです。シカの王様と言われている動物で、体がとっても大きくて盛り上がったツノがかっこいいんですよ。カナダやノルウェーに生息しているらしいので、生きているうちに一度は見に行きたいと思っています。
力強さと可愛さの両方を兼ね備えられるよう、こだわった目
―アニマルトロフィーを製作する上で、特にこだわっていることや心がけていることを教えてください。
花村さん:アニマルトロフィーはお家に飾って家族みんなで楽しんでもらいたいので、ぬいぐるみと剥製の中間を目指すよう、力強さと可愛さの両方を持たせることを意識しています。
また、パーツとしては目にこだわっていますね。あるとき、アニマルトロフィーを見てくれた子供から、「目がギョロッとして、こわい。。。」と言われてしまいました。それからは、小さいサイズの作品の目にはアイラインの刺繍をする、大きいサイズの作品の目にはまぶたを被せるという工夫によって、柔らかい印象にしています。
―そんなポイントがあったのですね。生地はどういったものを使っていますか。
花村さん:定番はフェルトですが、生地屋さんを回るのが好きなので、ドイツや日本のいろんな生地屋さんで気になって買ったものを使っています。今年の2月に初めて台湾でワークショップを開催した際に、台湾の布市場で「台湾花布」を購入したり。古着も好きなので、デニムやミリタリー素材を解体して使ってみたり。あと、シルクスクリーンプリントでオリジナルのテキスタイルも作っています。
生地屋さんを回るうちにアイデアを得ることも多いですね。素材を見つけたときに「あの動物に合いそうだな」と気付いたり、モチーフとなる動物を選んでから後追いで「この素材を使えばいい作品になりそうだ」というひらめきが生まれています。
―これまで制作したなかで特に印象的な作品はありますか。
花村さん:やはり、一番最初にドイツで作り上げたシカの作品でしょうか。あのとき作り始めたことで今があるので。最初にシカを作ったのは、硬いツノが頭からにょきにょき生えてきて、かっこいい形になる姿を見て「神秘的でいいな」と感じたからです。
―やはり最初の作品は今も思い出に残っているのですね。製作の際には、どんな道具を活用しているのでしょうか。
花村さん:特に手放せないものといえば、ブラザーのミシンです。ファッションに興味を持ち始めた高校時代、欲しかったパンツが地元ではなかなか手に入らず、「それなら自分で作ってみよう」と思い立って布を買い、母が使っていたブラザーのミシンで製作しました。
その後、大学で作品を作るときにもブラザーのミシンを使い続けていて、丈夫で使いやすいことに信頼感を感じているので、今も使い続けています。刺しゅうミシン「parie」を使えば、ツノや耳にワンポイントアレンジもできますし。他には、手縫い針やカーブ針、裁断バサミに糸切りバサミ、毛をとかすためのペットブラシ、ツノを裏返すための竹箸とボールペンなどを使っています。
簡単な動物から作り始めるよりも、好きな動物のアニマルトロフィー作りにチャレンジしてもらえれば
―今回プレゼント企画に提供いただいたアニマルトロフィーの、「ここに注目してほしい!」というポイントを教えてください。
花村さん:モチーフに選んだのは、私が一番はじめに作って思い入れの強いシカです。多世代に親しまれて、飾ったときにお家に溶け込むナチュラルな模様にしたかったので、バンビ柄にしています。
一方で私が好んでいる感覚も取り入れていて、ツノにはウィリアムモリスの復刻生地を使用して、アクセントにしています。強さと可愛らしさの両方が伝わるように意識して作りました。
―花村さんは、ワークショップを開講されているほか、キットや作り方のハンドブックを販売されています。ワークショップの参加者の方やハンドブックを読んだ方からはどんな反響が届いていますか。
花村さん:ワークショップに参加していただいた方からは、「まさか自分が作れるとは思ってなかった!」と言われることが多いですね。自分で製作したアニマルトロフィーに名前を付けて、ペットのようにかわいがってくれている方のお話もお聞きしましたが、そこまで思い入れを持っていただけるととてもうれしいです。ハンドブックを見て製作してくれた方からは、「とても丁寧に手順が書かれていて、すごく作りやすかったです」との声をいただきました。
―「私もアニマルトロフィーを作ってみたい!」と思う方も多くいると思います。これから製作にチャレンジされる方に、初心者が作りやすい動物などのアドバイスをいただけますか。
花村さん:ツノが多いと綿詰めの工程が大変なので、最初はツノが1本の動物やツノが無い動物のほうが取り掛かりやすいかもしれません。でも、一番大切にしていただきたいのは、「この動物のアニマルトロフィーを作りたい」という気持ちです。ハンドブックもありますし、ワークショップも全国で開催しているので、それらも活用しながら作りたいと思えるものをぜひ作ってください。
―最後に、花村さんが今後チャレンジしていきたいことを教えてください。
花村さん:作品としては、新しい動物としてラクダやヌーなどの製作を構想しています。新型コロナウイルスの影響で家に居る時間が増え、家での過ごし方や空間づくりに関心が向いている現在は、これまでよりもさらに、アニマルトロフィーを部屋に飾って楽しんでいただけるタイミングだと感じています。新しい作品を作り続けつつ、アニマルトロフィーをさらに多くの方に知っていただけるよう、ワークショップや展示販売の機会も増やしていきたいです。
アニマルトロフィーが1名様に贈られるInstagramキャンペーンも実施中
花村さんのアトリエにずらりと並んでいるアニマルトロフィーの作品たち。ひとつひとつ丁寧に手作りされているためそれぞれ表情や個性が異なり、見ているだけで愛着が湧いてきます。「これまでワークショップでアニマルトロフィーを作れなかった方はいないので、安心してチャレンジしてみてください」と花村さんも話されており、キットや本をはじめ参考にできる情報も揃っているため、ぜひ可愛いアニマルトロフィー作りにもチャレンジしてみてください。
今回は、ブラザーのInstagram公式アカウントをフォローし、キャンペーン投稿にいいね&リポストをしてくださった方の中から、抽選で1名様にシカのアニマルトロフィー(Lサイズ)とウッドフレーム(Lサイズ)をプレゼントします。花村さんこだわりのデザインで作られた、世界に1つだけのアニマルトロフィー。ぜひ、奮って応募してくださいね。