東京都立大崎高等学校
「ペーパージオラマ部」
創部7年目を迎える大崎高校ペーパージオラマ部の皆さん。鉄道模型コンテストで二連覇を果たすなど、国内でも屈指の実力校。紙で実際にある建物を再現したり、アニメなど空想の世界を再現しています。取材時は文化祭に向け、皆さんそれぞれが作品を制作している真っ只中。加工しやすくある程度の強度も期待できる「紙」を使った作品製作において、スキャンカットをどのように活用し、またどんなことに期待しているのかを伺いました。
- 大崎高校
ペーパージオラマ部
顧問
庭野 裕先生
- 部長 2年生
檜木 礼さん
- 前部長 3年生
井川 彩香さん
- 部員 2年生
加藤 光希さん
- 部員 3年生
阿部 菜江子さん
- 部員 1年生
金原 由弥さん
- 部員 1年生
佐藤 友尋さん
- 副部長 3年生
大場 正之さん
*役職などは取材当時(2018年8月)の情報です。
あまりの早さと正確さにびっくり
作業時間を10分の1以下に短縮
スキャンカットを使用したきっかけを教えてください。
今年の3月に東京の品川区でペーパージオラマグランプリという大会があって、ブラザー賞という賞があったんです。実はその賞品がスキャンカットだったんですよ。それで気になって調べてみたのがきっかけです。操作も簡単そうだし、いろいろな形にカット出来るんだなという印象でした。製作時には細かく複雑なパーツを切ることが多いこともあって導入を決めました。初めて実際に使ったのは「第10回全国高等学校鉄道模型コンテスト2018」に参加するための製作を進めているときでした。1畳レイアウト部門という部門があり、その製作のためにトンネルを作っていたんです。
内側の部品がとても細かく、どうしようかと思っていたんですが、他の生徒がスキャンカットで蝶の羽根の様なものを切って遊んでいて(笑)。それを見て「これは使えるな」とピンと来たんです。設定などを調整し実際に使ってみると「これは早い」と感動しましたね!カットの早さはもちろん、カーブの正確性が段違いでした。細かく数も多いパーツなので、手作業でやるとなれば心が折れていたに違いありません(笑)。
3個切るだけでも大変なんですが、手作業の10分の1以下のスピードで出来ました。
経験ある部員でも難しい
曲線が多いパーツも正確にカット
どんな場面でスキャンカットを使っていますか?
現在は文化祭での個人作品の製作に使用しています。特に文化祭の作品の飾りとしてキャラクターの切り絵を作ったんですが、スキャンカットのおかげで思っていたよりも簡単に上手くできました。ほかにもミニチュアの工具も作りましたね。まずJw-cadというパソコンで設計するソフトを使い、工具の縮尺を計ります。
そのデータから作成した図面を印刷し、スキャンカットに展開するとパーツをカットできます。1個作るだけなら他のマシンでも良いかもしれませんが、たくさんの工具を設置したかったので大量生産する必要がありました。スキャンカットなら、一度データを読み込んでしまえば、あとは簡単に早くカットできるので凄く助かりました。
今後ペーパージオラマで使ってみたいことはありますか?
少しマニアックですが、例えばトンネルの入口のパーツやレンガの部分ですね。もし手で切ることになれば、1枚作るだけでも半日かかるんです。あと橋の橋脚部分ですね。製作の際には、パーツ切り出しから塗装まで1日で終わらせるようなスケジュールを組んでいます。大変なのに急がないといけないので、精度も落ちがち。
でもスキャンカットなら時間をかなり短縮できますし、正確に切れそうですね。それに、誰もが切ることを嫌がらないと思います(笑)もちろん、塗装や他の部分の製作に集中ができます。
作業を効率化し、
余った時間でクリエィティブ·
マインドを養う
スキャンカットを使うメリットは何ですか?
正確さと速さですね。今はスキャンカットを使いながら、レーザーカッターも使っていますが、断然スキャンカットの方が早いです。パーツは紙なので、レーザーカッターの出力が強すぎると焦げてしまったりすることも。
スキャンカットならそんな煩わしさも感じること無くできるので、作品を仕上げていくスピードも格段にアップしました。
もちろんじっくりと作っていくことも大切ですが、余った時間で表現を深めるための工夫やアイデアを生み出すことも可能です。製作そのものだけでなく、自分の考えをいかに伝えるかという部分に注力していくことができると期待しています。
今後期待していること
試作品を作る回数と作品の精度が上がることですね。私たちは仮組みサンプルと呼んでいるのですが、図面を立体にすることで試行錯誤を繰り返すのですが、これまでは下級生にパーツを切ってもらうなど、手間も時間もかかっていました。
でもスキャンカットがあれば、思いついた考えを形にしながら反省点を作品にフィードバックしていける。そんなサイクルのスピードもきっと上がっていくはず。作品クオリティはもちろん、部員みんなの考える力や伝える力が上がっていくきっかけになればいいですね。もちろん、これまで作ったことのない作品にもチャレンジしていけると思っています。
ペーパークラフト教室
光野アユミさん
ツクイ西東京住吉
所長
渡邊 郁子さん