この記事は、OGBSマガジン2019年●月号掲載の記事を、発行元の株式会社ゲンダイ出版の許諾に基づき転載しています。
「オーダーグッズビジネス分野でのガーメントプリンターの販売を強化する」5月21日、東京コンベンションホール(東京都中央区)で開かれた、ブラザーのプライベート展「Brother World JAPAN 2019」その基調講演に登壇したブラザー販売株式会社の三島勉社長は、取引先を前にそう語った。
今年度から始まるブラザーグループの新中期経営計画で、成長戦略のための重点施策の1つとして「オーダーグッズビジネス領域に力を入れる」と明言したのだ。
三島社長が言うガーメントプリンターとは、同社が2017年に発売した「GTX」を指す。
それまでのガーメントプリンターを凌駕する高い生産性と印刷品質によりヒットしたマシンで、最近ではオーダーグッズ製造販売で国内屈指の株式会社イメージ・マジック(東京都)の「ODPS(オンデマンドプリントソリューション)」に採用され話題となった。
ODPSとは、Tシャツ1枚ずつに付けられたICタグとクラウドマネジメントシステムで工程を管理し、GTX、たたみ機、梱包出荷機などのハードウェアを連携させプリントをおこなうシステム。
同社の試算では、ODPSを使うことでTシャツプリントにかかる時間を6分の1(約5分)に短縮できるという。その最先端システムの中核を任されたのがGTXなのだ。
コンサルティングできる営業態勢を目指す
冒頭の三島社長の言葉を裏付けるニュースが2つある。
1つ目は、2018年4月にブラザー販売株式会社内に「オーダーグッズビジネス営業部」(以下、OGB営業部)を新設したことだ。
オーだグッズに役立つブラザー製品はGTXだけではない。
他にも刺しゅうミシン、スタンプクリエーター、スキャンカットなど様々ある。
しかし、依然はそれらをトータルに扱う営業部門がなかった。
今後はOGB営業部が出来たことによって、スタンプクリエーターのユーザーにスキャンカットを勧めたり、GTXと刺しゅうミシンを同時に提案するといったクロスセル(併売)が可能になる。
オーダーグッズ業者にとっても、取引の効率化に繋がるだろう。
また、OGB営業部は、「オーダーグッズビジネスに関する知識や専門スキルを習得して組織力を高めることにより、コンサルティング型の営業が行えることを目指す」と三島社長は言う。
それは、単に自社製品を売るだけに留まらない。
例えば、前述の株式会社イメージ・マジックのODPSへの導入実績を元に、ICタグによる工程管理のアイディアを提案したり、たたみ機、梱包出荷機などの周辺機器まで取り扱うことで、プリント工場をトータルでサポートする営業態勢を目指しているのである。
ショールームの半分をオーダーグッズに
ブラザーの本気を裏付ける2つ目のニュースは、東京ショールームのリニューアルだ。
以前は家庭用プリンター市場を狙って白を基調としたリビングルームのような内装だったが、今回、BtoB事業を見据えて、ビジネスイメージの内外装に一新した。
1階はビジネスプリンティングソリューションのフロアとなっており、オフィス向けのプリンターなどを展示しているが、目を見張るのは2階だ。
フロア全てがオーダーグッズビジネスをテーマに統一され、GTXをはじめ刺しゅうミシン、スキャンカット、スタンプクリエーター、テープクリエーター、ピータッチキューブなどの関連製品と製作サンプルが展示されている。
実演や体験イベントもおこなえるようワークスペースも広く取られている。
このショールームは八重洲のオフィス街と銀座の間に位置し、1952年からブラザーグループが東京の拠点としてきた由緒ある場所でもある。
ブラザーが、その半分をオーダーグッズビジネスに充てたことは、そのまま同社の意気込みを表すと言えるだろう。
今やグループ全体で売上高6840億円(2018年度)に上るグローバル企業であるブラザーが、成長戦略に位置づけるオーダーグッズビジネス。
今後、同社がどのような新製品、新サービスを展開するのか期待したい。
ブラザー東京ショールーム
東京都中央区京橋3丁目3番8号
[アクセス]
東京メトロ有楽町線
銀座一丁目駅 7番出口より徒歩約3分
東京メトロ銀座線
京橋駅 3番出口より徒歩約2分
*製品やサービスをゆっくりご体験いただけるよう予約制とさせていただいております。お気軽にお問合せください。