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物流業務を効率化する方法や現状の課題、取り組み事例を徹底解説

公開日:2023.06.26

     

スマートフォンの普及と新型コロナウイルス感染症拡大によって、急増しているのがインターネット通販での商品購入です。総務省の調べでは2020年3月以降、2人以上で暮らす世帯の約半数以上が利用していると分かりました。

インターネット通販による個別発送のニーズが高まる中、人材不足が進む物流業界で求められているのが「業務の効率化」です。

この記事では小口発送の増加への対応を中心に、物流業務効率化のポイントを紹介します。また効率化に向けた取り組みにはどのような事例があるのかを、国の対策とあわせてご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてださい。

出典:総務省「令和3年情報通信白書(オンライン消費の増加)」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd121310.html(2022-07-20)[新しいウィンドウ]

物流業務を効率化するメリット

物流業務を効率化するメリット

物流業界の業務効率化を推進するべく、国も課題解決に向けた法整備や取り組みを進めています。まずは物流業務の効率化には、どのようなメリットがあるのか紹介しましょう。

メリット① コストの削減

一つ目のメリットが物流コストの削減です。

商品が工場から消費者に届くまでには、輸送費・保管費・包装梱包費・荷役費など、さまざまなコストがかかります。

運送費から荷役費までの全ての工程を見直して効率化するのは、困難かもしれません。しかし、広範囲におよぶ工程の一部を効率化するだけでも効果はあります。

例えば荷役費にしても、荷物の出し入れをする際の入出庫や流通加工、仕分けやピッキングなどにそれぞれコストがかかります。

WMS(倉庫管理システム)などのITシステムを導入したり、ラベルによってトレーサビリティを向上させたりするだけでもコスト削減は可能です。できることから小さな効率化を積み重ねていきましょう。

メリット② サービスクオリティの向上

二つ目のメリットは、サービスクオリティの向上です。

業務を効率化して時間や工数のかかる作業を効率化すれば、作業員の負担が軽減されて作業ミスも減らせます。

お客様のもとに商品を届ける時間も短縮できるでしょう。そうなればサービス全体の品質向上や顧客満足度の向上も期待できます。

メリット③ 一人当たりの労働時間の短縮

物流業務が効率化できれば、同じ業務でも働く人の労働時間が短縮できます。物流業界の「2024年問題」への対応にもなるでしょう。

「2024年問題」とは、時間外労働の上限規制などを定めた「働き方改革関連法」の2024年4月からの施行によって、自動車運転業務の時間外労働が年960時間までに規制されることで生じる問題のことです。

人手不足の問題を抱えたまま、2024年4月を迎えてしまうと、業務を今までどおり行うことが難しくなる可能性もあります。効率化を実現できれば、同じ仕事でも一人当たりの労働時間を短縮でき、人手不足にも対応できるでしょう。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「時間外労働の上限規制」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf(2022-07-20)[新しいウィンドウ]

メリット④ 環境配慮の推進

もう一つのメリットは、低炭素社会の実現に貢献できることです。

物流は環境分野に深く関わる業界です。SDGs(持続可能な開発目標)が世界的に重要視される中、物流業界にもCO2排出量削減に向け、果たすべき責任があります。

そのためにできるのが「モーダルシフト」や「共同配送」などの取り組みです。国も進めているこうした取り組みは、低炭素社会の実現とともに、人材不足問題の解消や効率化に役立つものです。

物流業界の代表的な課題

物流業界の代表的な課題

物流業務の効率化は、業界が抱える課題解決のためにも急務です。物流業界の課題は大きく分けて2つ。
「慢性的な人材不足」と「小口発送の急増による業務量の増加」です。

それぞれの課題を詳しくみていきましょう。

課題① 慢性的な人材不足

物流業界は長期的な人材不足に悩まされています。
国土交通省が2021年に発表したデータによれば、「トラックドライバーが不足している」と感じている企業の割合が約70%にのぼりました。
人手不足の主な要因が、ドライバーの高齢化です。業界別の年齢構成を見ても、29歳以下の労働人口が全産業平均で16.6%であるのに対し、道路貨物運送業では10.2%と大きく下回りました。

一方、40〜55歳の労働人口が全産業平均で34.8%であるのに対し、道路貨物運送業は44.2%です。全産業の平均に比べて若年層の割合が低く、高齢層の割合が高いとわかります。
今後、中高年のドライバーが定年退職すれば、人手不足はさらに加速していくでしょう。

出典:国土交通省「最近の物流政策について」
https://www.mlit.go.jp/common/001388194.pdf(2022-07-20)[新しいウィンドウ]

課題② 市場の変化による小口発送の増加

EC市場の拡大は、物流業界に大きな影響をもたらしています。
EC市場の規模は2019年には全体で19.3兆円規模。物販系分野だけで10.0兆円規模まで拡大しています。5年間で約1.5倍も伸びました。
そうした市場の変化を受けて、宅配便の取扱件数は5年間で18.4%(約6.7億個)も増加しています。個人宅への配送が増えたためです。
小口発送が増えることで起きた、物流現場の変化を次にまとめました。

出典:国土交通省「最近の物流政策について」
https://www.mlit.go.jp/common/001388194.pdf(2022-07-20)[新しいウィンドウ]

変化① 発送・配達の高速化

インターネット通販の増加で、EC事業者間の競争も激しくなり、他社にサービス面で負けないよう配達の高速化が進みました。今では消費者のもとに注文の翌日に商品が届きます。

個人宅への配送は少量・多品種のため管理も煩雑。そこに高速化が加わって、運送会社の負担はますます大きくなりました。

倉庫業務でも少量・多品種の商品を迅速に出荷する必要に迫られます。365日24時間入るオーダーを広大な倉庫からピッキングして配送するのは、倉庫で働く人の大きな負担です。

変化② 積載率の減少

個人宅への小口配送は、届ける荷物が少量でもトラックを稼働させるため、積載率が低くなり、燃料費や人件費のコストが悪化します。

それでもスピーディーな配送が求められるため、速さを優先せざるを得ません。結果、営業用トラックの積載効率は41%まで低下していると、国土交通省は発表しています。

出典:国土交通省「物流を取り巻く現状について(平成29年2月)」
https://www.mlit.go.jp/common/001173035.pdf(2022-07-20)[新しいウィンドウ]

変化③ 再配達の増加(置き配・宅配ロッカー)

不在配達も配送業者にとっては頭の痛い問題です。国土交通省の調査では、不在再配達が全体の約2割も発生していることがわかりました。

そうした中、再配送については近年「置き配」や「宅配ロッカー」の設置によって、効率化も進みつつあります。
全国一律の運賃で荷物を家庭の郵便ポストに送れる、日本郵便の「クリックポスト」などを利用するEC事業者も増えました。
クリックポストの利用では、ラベルプリンターでの宛名の活用などで作業の効率化も可能です。こうした取り組みが今後増えれば、物流業務の負担も減っていくかもしれません。

※参考記事

ラベルプリンターを活用した「日本郵便クリックポスト」の宛名ラベル印刷とは!?

https://www.brother.co.jp/product/biz/business-navi/column/product-logistic/use27/index.aspx[新しいウィンドウ]

物流業界のための運動

上記のような課題解決のため、国や官民連携での取り組みも進められています。国は「物流総合効率化法制定」などの法整備で、物流の効率化を進めています。

「ホワイト物流」推進運動も、物流効率化を目指す取り組みの一つです。

「ホワイト物流」推進運動は、ドライバー不足の解消に向けて、国土交通省・経済産業省・農林水産省の3省が連携して行っている活動です。

人々の暮らしに必要な物流を安定的に確保しながら、トラック輸送の生産性向上を図り、女性や60代以上でも働きやすい「ホワイト」な労働環境の実現に取り組んでいます。

官民連携の取り組みとしては「グリーン物流パートナーシップ会議」があります。

グリーン物流パートナーシップ会議は、物流分野でのCO2排出削減を目的に、経済産業省・国土交通省・公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会・一般社団法人日本物流団体連合会が設立した団体です。

持続可能な物流体制の構築を目指しており、CO2削減につながる業務の効率化も支援しています。

こうした取り組みの中心となっているのが、国が定めた「物流総合効率化法」です。次にその詳細を紹介します。

出典:「ホワイト物流推進運動ポータルサイト」
https://white-logistics-movement.jp/(2022-07-20)[新しいウィンドウ]

出典:「グリーン物流パートナーシップ会議」
https://www.greenpartnership.jp/(2022-07-20)[新しいウィンドウ]

物流総合効率化法

「物流総合効率化法」は、物流業者の支援を目的に、2016年に施行された法律です。認定事業者は、法人税や固定資産税の特例や、運行経費の一部補助などが受けられます。

物流総合効率化法の柱は「輸送網集約」「モーダルシフト」「共同輸送配送」の3つです。

「輸送網集約」は、それまで各地に点在していた物流拠点を集約して、トラックの稼働台数や走行量を削減する取り組みのこと。

「モーダルシフト」は、トラックでの貨物輸送をCO2排出量の少ない鉄道や船舶で代替することです。

「共同輸送配送」は、同じカテゴリーの商品を配送する複数の事業者が協力し合って、一括配送で配送効率を向上して、それぞれのコスト軽減を図る取り組みです。

出典:国土交通省「物流総合効率化法について」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/bukkouhou.html(2022-07-20)[新しいウィンドウ]

国として取り組んでいるのは、物流総合効率化法だけではありません。物流DX推進や物流構造改革の推進などを目指す「総合物流大綱(2017年度〜2020年度)」を取りまとめるなど、物流業界の課題解決と業務効率化に取り組んでいます。

出典:国土交通省「総合物流大綱」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu03100.html(2022-07-20)[新しいウィンドウ]

小口発送増加への対処方法と取り組み事例

小口発送増加への対処方法と取り組み事例

前述したように、物流業界の大きな課題の一つとなっているのが「小口発送の急増による業務量の増加」です。ここからは小口発送の業務効率化にどのような取り組みが可能なのか、事例を交えながら紹介していきます。

配送ルートの最適化

小口発送の急増に対応するには、配送ルートの最適化が大切です。

配送ルートを最適化するには、税制優遇や補助制度のある物流総合効率化法を活用して「輸送網集約事業」「モーダルシフト」「共同輸送配送」に取り組むのがよいでしょう。

特に「共同配送」はドライバー不足だけでなく、積載率の向上にも対応できます。共同配送には同業他社との連携が必要です。パートナーシップを構築してWin-Winの関係を築きましょう。

効率化の方法

効率化にはモーダルシフトや、バスや電車・フェリーなどと提携して貨物を運ぶ「貨客混載」も有効です。

実用試験の始まったドローン配達の検討や、荷主と配送業者を結びつける物流マッチングサービスの利用も検討に値します。

配送ルートの最適化には、ITによる配車ルート解析や、配送管理システムの導入も効果的です。配車・運行計画の自動作成機能やルート算出機能を活用して、配送業務の効率化を図りましょう。

現場での作業の見直し

さまざまな工程のある物流業界では、いきなり全工程での効率化は難しいかもしれません。日々の業務から効率化できることを探し、できることから取り組むことも大切です。

WMSの導入でも、物流業務の入荷と出荷を効率的に管理できます。製品をバーコード管理すれば、庫内作業の効率化も実現するでしょう。

効率化の方法

現場での作業を見直して効率化を図るには、現状の課題を洗い出すことが大切です。物流業務のどこに課題があるかをあらためて確認してみましょう。

課題を浮き彫りにするには、外部のコンサルタントなどの第三者の目線を参考にするのも大切です。

「ミスを減らしたい」のか「発送スピードを上げたい」のか、目的を明確にしましょう。その上で自社の目的に合ったWMSを検討してください。

導入の際はマニュアルを作成してシステムを周知しましょう。トラブルの防止や、研修にも役立ちます。

取り組み事例

取り組み事例としては、適正な梱包の自動計測などの物流業務の自動化や小口梱包材の最適化、WMS導入などのIT活用があげられます。

物流業務に使うラベルプリンターの刷新も効果的です。「現場での運用に合わせて商品ラベルを発行したい」「ロケーションもバーコード管理したい」「ピッキング形態に合わせてプリンターを使い分けたい」など、目的に合わせて入れ替えるだけでも作業が効率化します。

モバイルプリンターとWMSでトレーサビリティに取り組んだ事例

ここではモバイルプリンターを活用してトレーサビリティに取り組んだギャラックス貿易株式会社の事例を紹介します。ギャラックス貿易株式会社は1984年の創業以来、食器・キッチンウェア・ハウスウェアの輸入・国内卸業を営んでおられる企業です。輸入製品の多くにはバーコードが貼付されていないため、WMSと連携した自社管理の製品バーコードラベルを発行する取り組みを実施しています。

ブラザートレーサビリティ導入事例_ギャラックス貿易株式会社様1

モバイルプリンターを導入したことで、現場で必要な枚数だけ直接ラベルを発行でき、倉庫内の導線も短縮化されました。WMSとモバイルプリンターによって倉庫内業務の円滑化を実現されています。

ブラザートレーサビリティ導入事例_ギャラックス貿易株式会社様2

導入されたモバイルプリンター「RJ-2150」は、場所を選ばないコンパクト設計であり、すでに導入されていたWMSとの連携もスムーズ。さらに対落下衝撃性能2.5m、防塵防滴IP54にも対応しプリンターに求める仕様と価格条件をすべてクリアし導入されました。
ギャラックス貿易株式会社様の導入事例詳細はこちら[新しいウィンドウ]

まとめ

物流業務の効率化には、さまざまな工程があります。大切なのは、すぐに実現可能なところから実行していくことです。

プリンターの刷新だけでも、荷物の出し入れや流通加工、ピッキングなど現場の作業時間を効率化できます。

ブラザーではラベルプリンターやスキャナーなどの製品の導入を検討されている法人様のために、評価・検証用としてデモ機の2週間無料貸出を行なっています。この機会にぜひ、お試しください。

   
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ブラザー販売 ビジネスNAVI 編集部

ブラザー販売、ビジネスNAVI担当者です。ビジネスNAVI編集者として、トレンドコラムやお客様の導入事例、パートナー企業、製品のソリューション情報などを発信していきます。

   

※この記事の内容は、2023年5月現在のものです。
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