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「GHS」「SDS」「JIS」とは?
化学薬品製造業者なら知っておくべき
化学物質のラベル表記法をやさしく解説

更新日:2022.08.09 公開日:2017.12.13

化学物質の中には、扱う上で危険性が伴うものがあります。このページでは、化学薬品製造業者なら知っておくべき化学物質のラベル表記法について、GHSやSDS、JISのそれぞれが示す意味合いや関係性などを踏まえて詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてください。

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わたしたちの身の回りでは、さまざまな化学薬品が取り扱われています。正しく扱えば便利ですが、中には誤って使用すると人体や環境に深刻な影響を及ぼすものも存在するため、十分な注意が必要です。
化学薬品には、GHSやSDS、JISといったラベル表記がなされています。これらはその化学薬品に対する危険性や取り扱う際における注意喚起といった意味合いを持っています。化学薬品に携わるのであれば、まずはGHSやSDS、JISといったラベル表記について正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、化学薬品製造業者なら知っておくべき化学物質のラベル表記法について、GHSやSDS、JISのそれぞれが示す意味合いや関係性などを踏まえて詳しく解説いたします。

化学物質を扱う上での大前提「GHS」とは?

まずは、化学物質を取り扱う上で大前提となるGHSについて、基礎的なところから見ていきましょう。GHSは、化学物質に関するさまざまなラベル表記の中で、もっとも基準となるものです。

GHSとは「The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals」を略したものです。日本語訳は、化学品の分類及び表示に関する世界調和システムとなります。[注1]

GHSでは化学物質が持っている危険性や有害な要素について、世界で統一した基準を設けて細かく分類し、それぞれに基づいてピクトグラムや注意書きなどをわかりやすく記載しています。この基準が定められたのは2003年で、国連勧告として採択されたのが始まりです。

例えば日本でのみ取り扱うのであれば、わざわざピクトグラムやラベル表記などをせず、日本語のみで記載しておけばよいと考える方もいるかもしれません。しかしその化学物質を含んだ製品が輸出された場合、輸出先でその危険性が理解されなければ日本語の表記は意味をなさず、扱う上で深刻なリスクが伴ってしまうでしょう。

GHSの導入以前、化学物質は輸出入によって国境を越えて世界中で使用されるものでありながら、統一された注意表記がない点が課題点とされてきました。

このリスクを回避するために、GHSではその危険や有害な要素について基準を設け、それに従って統一された表記によって注意喚起をしています。

危険有害性を判定するための分類基準

GHSについて理解を深めるために、3つの用語について覚えておきましょう。1つ目は「化学品」です。化学物質やそれらを混ぜた混合物を指しており、身近なものでは洗剤や塗料などが挙げられます。

次に重要となるのが、「危険有害性」です。爆発や引火の恐れがあるものに対する危険性、あるいは発がん性のような急性毒性、環境を破壊しかねない有害性など、これらをまとめて危険有害性といいます。

GHSでは、その危険有害性を表記するために、「ピクトグラム」が採用されています。ピクトグラムについては、車椅子マークや非常出口マークなど身の回りに数多く存在するため、比較的馴染み深いものでしょう。

分類した結果の情報を伝える手段

GHSでは、化学物質に対する分類した危険有害性を、ラベルや安全データシートによって表記します。

ラベルとは、その化学物質に対して、伴う危険有害性情報や正しい取り扱い方について、簡潔かつわかりやすく伝えるために印刷や貼り付けられたものをいいます。人の手に渡る洗剤や塗料などには、扱っている化学物質の危険有害性を伝えるために、このラベルが貼り付けられたり、印刷されたりしています。

もう1つの安全データシートとは、その化学物質を正しく扱ってもらうために、名称や製品名、供給者、危険有害性、安全性の措置、緊急の際における対応方法などをまとめた資料のことを指します。SDSとも呼ばれます。

主に、事業者同士で化学物質を取引する際に取り扱われることが多いです。取り扱う化学物質の危険有害性や正しい扱い方について、供給する側が受け取る側に対して提供します。

GHSと SDS と JIS の関係性を解説

ブラザー_GHSと SDS と JIS の関係性を解説

基礎的なところを押さえたところで、続いてGHSと深い関係にあるSDSとJISについて見ていきましょう。

SDSとは

先述のように、SDSとはラベルのようにその化学物質に伴う危険有害性などについて、供給者を踏まえて詳しく記載された資料のことをいいます。正式には「Safety Data Sheet」といい、SDSと略されています。

資料の中では、その名称や製品名、供給者、危険有害性、安全性の措置、緊急の際における対応方法、保管および廃棄方法などが詳細にまとめられています。

SDSの作成は、各国の法律によって定められています。日本では「化学物質排出把握管理促進法」「労働安全衛生法」「毒物及び劇物取締法」のこれら3つの法律の中で確認が可能です。[注2][注3][注4]

これら3つの法律に加えて「JIS Z 7253」に従うことで、SDSの作成ができます。[注5]

MSDSについて

日本がGHSに対応する平成23年まで、現在でいうSDSにあたる安全データシートは、MSDSと呼ばれていました。「Material Safety Data Sheet」を略したもので、現在ではGHSの中でSDSという名称に統一されています。近年では国内の法令も整備され、該当するものはSDSと呼ばれています。

JISとは

JISとは日本産業規格のことで「Japanese Industrial Standards」を略したものです。かつては日本工業規格とされてきましたが、2019年7月から法改正によって日本産業規格となりました。[注6]
この規格は日本における産業製品について、それぞれに関する形や大きさなどの規格、また測定法などについて定めたものです。電化製品や自動車といった産業製品の生産、文字やプログラムのようなコードのような情報処理、サービスといった幅広い分野で、定められています。 JISには、以下6点の目的があります。
● 安全や健康の保持
● 環境保全
● 経済および社会活動の利便性の確保
● 生産の効率向上
● 公正性の確保
● 技術進歩の促進

これらについて規格を定めることで、日本の産業が無秩序になってしまうのを防ぎます。
たとえば、台所用合成洗剤については「JIS K3370」、洗濯用合成洗剤については「JIS K3371」でそれぞれ規格が決められています。[注7]
GHSの内容のうち、一部を抜粋したものがJISの中で規格として定められています。該当するものは「JIS Z 7252」「JIS Z 7253」の2つで、後者はSDSの作成にも関わってきます。

あなたの知識は古いかも!?平成 28 年に安全衛生法改正

現在、世界で確認されている化学物質の種類は、およそ6万にもおよびます。これらは、大きく分類して3つに分けられます。
1つは、中でも極めて危険性が高い化学物質です。人体に深刻な健康障害を及ぼすために製造が禁止されている化学物質で、全部で8種類あります。
● 黄りんマツチ
● ベンジジン及びその塩
● 4-アミノジフエニル及びその塩
● 石綿
● 4-ニトロジフエニル及びその塩
● ビス(クロロメチル)エーテル
● ベータ-ナフチルアミン及びその塩
● ベンゼンを含むゴムのり、溶剤のうち5%を越えているもの

2つ目は、危険有害性があると認められている化学物質です。区分されている化学物質は674種で、取引の際はラベル表示やSDSの作成が義務付けられています。[注8]

そのほか、製造禁止でも危険有害性が認められてもいない残りの化学物質は「それ以外」として3つ目の分類となります。 これらのうち、昨今改められたのが2つ目の危険有害性がある674種の化学物質についてです。平成28年6月1日から改正された労働安全衛生法が施行されたことで、ラベル表示やSDSに関する義務範囲が拡大し、リスクアセスメント義務が追加されました。

これは、人体の健康や生物に対する環境リスクを査定するものです。現在ではリスクアセスメントの表示が義務付けられており、抜けていると6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。これまで扱っていた資料でも、過去のままになっていないか確認が必要です。

GHSを導入することで得られるメリット

GHSの導入は、人体や生物、環境に対する安全性を確保するために必須といっても過言ではありません。改めて、ポイントとなる3つのメリットについて見ていきましょう。

1. 人体に対する健康や環境保全

GHSは、世界で統一された規格です。輸出入される化学物質に対して世界で統一して定められている規格であるため、携わる販売業者あるいは消費者がその化学物質に対する危険有害性を正しく理解できます。

2. 事業者側の負担を軽くする

これまで、化学物質に対する取り扱いは国ごとに規格があったため、それぞれに応じた対応が必要でした。GHSなら世界で統一されているため、輸出先の国に合わせてそのたびにSDSなどを作成しなおす負担がなくなります。 安全性を確保しながら負担を軽減することで、それぞれの競争力強化にもつながるメリットがあります。

3. 試験や評価が重複してしまうのを回避する

これまでの規格では、新たに製品を開発するたびにそれぞれ試験評価を必要としていました。GHSの導入によって、類似した製品については、過去の試験評価を用いることが可能です。

GHSにおける絵表示の例

現在、GHSで用いられているピクトグラムのうち、基本となるものは以下の9種類となります。[注9]
● 爆弾の爆発:火薬や自己反応性科学品、有機過酸化物
● 炎:可燃性や引火性を伴うガスやエアゾール、液体、個体など
● 円上の炎:支燃性ガスや酸化性ガス、液体、固体
● ガスボンベ:高圧ガス
● 腐食性:金属や皮膚を腐食させる物質、眼刺激性
● どくろ:急性毒性
● 健康有毒性:呼吸器感作性、発がん性、全身毒性など
● 感嘆符:急性毒性、皮膚に対する腐食性など
● 環境:環境に対する急性有毒性あるいは慢性有毒性

ラベルに記す必要がある6種類の情報

化学製品に対して貼り付けるまたは印刷の必要があるラベルに、記すべき6種類の情報についてそれぞれ見ていきましょう。化学製品のラベルには以下6種類の情報を記す必要があり、このことは「JIS Z 7253」で詳しく定められています。[注5]

1. 化学製品の名称

その製品の名称および用いられている化学物質の名称を記載します。

2. ピクトグラム

GHSで定められている基準と分類に基づき、ピクトグラムを記載します。基本的には、黒いシンボルに加えて十分幅広い赤い枠で表記します。そのサイズは1cm2以上が望ましいです。該当するピクトグラムが複数あるのであれば、それぞれ表記します。
ピクトグラムについては、国連UNESCウェブサイトからダウンロードが可能です。
[参考]UNECE:GHS pictograms:https://unece.org/transportdangerous-goods/ghs-pictograms

3. 注意喚起語

GHSで定められた規格に基づき、該当する注意喚起語を記載します。それぞれピクトグラムに対応して定められているので、厚生労働省のWebサイトからご確認ください。[注10]

4. 危険有害性情報

GHSで定められた規格に基づき、物理化学的性状や安定性、反応性、有害性および 環境影響など、該当する危険有害性情報を記載します。「危険有害性、区分、シンボル、注意喚起語、危険有害性情報早見表」の中で、ピクトグラムや注意喚起語と対応している「危険有害性情報」が当てはまります。

5. 貯蔵または取扱い上の注意

化学物質などによるばく露や不正な保管方法、取り扱いによって発生する恐れのある被害を防ぐために、その措置を記載してください。

6. 表示をする者についての情報

その化学物質を譲渡あるいは提供を行う側の法人名や個人名、住所、そして電話番号を記載します。

EX. ラベル表示が不要なものについて

GHSで定められている規格に基づき、正しくラベルを作成する必要がありますが、以下のケースではラベルによる表示をしなくてもよいとされています。[注11]
● その化学物質が含まれている比率が1%に満たない場合
● 固形物であり、粉状や粒状など個体以外の状態にならないもの
● 密封された状態で扱われるもの
● 一般の消費者の生活のために主に供されるもの
● 再生資源

化学物質のラベルを作成する際にはラベルプリンターを

日本では「化学物質排出把握管理促進法」「労働安全衛生法」「毒物及び劇物取締法」の3つの法律に加えて「JIS Z 7253」に対する知識があれば、化学物質のラベル作成が可能です。[注2][注3][注4][注5]

ラベルを作成する際は、ラベルの作成に長けた専用のプリンターの使用をおすすめします。brotherの「P-touch」シリーズなら、汚れや薬品、溶剤などに対して強いラミネートラベルの印刷ができます。

中でも、高性能なものであれば「PT-P950NW」、印刷コストを抑えたいのであれば「QL-820NWB」を選ぶとよいでしょう。GHSで定められた規格に基づいたラベルが最適な状態で簡単に印刷できます。

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  • コンパクトで多機能な感熱プリンター

【まとめ】

化学物質を扱うなら知識とプリンターが必要不可欠

化学物質は、使い方によって危険性が高まることがあり、正しく扱わなければなりません。そのため、取り扱うのであればGHSやSDS、JISに対して正しく理解しておくことが何よりも大切です。
化学物質を扱う中で、特に供給する側にいるのであれば、専用のプリンターを使用することを強くおすすめします。適切にラベルを印刷するのに長けており、化学物質の危険性を踏まえて安全性を確保するために役立ってくれるでしょう。

※この記事の内容は、2022年8月現在のものです。
※この記事でご提供する情報は、その正確性と最新性の確保に努めておりますが、完全さを保証するものではありません。当社は、当サイトの内容に関するいかなる誤り・不掲載について、一切の責任を負うものではありません。


[注1]経済産業省:GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム) https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/ghs.html(参照:2022/8/9)
[注2]経済産業省:化学物質排出把握管理促進法 https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/index.html (参照:2022/8/9)
[注3]e-Gov法令検索:労働安全衛生法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000057 (参照:2022/8/9)
[注4]e-Gov法令検索:毒物及び劇物取締法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000303 (参照:2022/8/9)
[注5]独立行政法人 製品評価技術基盤機構:GHS対応ラベル/SDS作成 https://www.nite.go.jp/chem/ghs/ghs_sds.html (参照:2022/8/9)
[注6]経済産業省:日本産業規格(JIS)を制定・改正しました(2019年7月分) https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190722001/20190722001.html (参照:2022/8/9)
[注7]消費者庁:合成洗剤 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/zakka/zakka_04.html (参照:2022/8/9)
[注8]厚生労働省:表示通知対象物質 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/gmsds640.html (参照:2022/8/9)
[注9]労働安全衛生総合研究所:危険・有害性の情報を教えてくれる絵表示 https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2019/126-column-1.html (参照:2022/8/9)
[注10]厚生労働省:危険有害性、区分、シンボル、注意喚起語、危険有害性情報早見表 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ghs_class.html (参照:2022/8/9)
[注11]経済産業省:化管法SDS制度に関するQ&A https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/qa/3.html(参照:2022/8/9)
   

ブラザー販売 ビジネスNAVI 編集部

ブラザー販売、ビジネスNAVI担当者です。ビジネスNAVI編集者として、トレンドコラムやお客様の導入事例、パートナー企業、製品のソリューション情報などを発信していきます。

   

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