サステナビリティ

環境(E)

CO2排出削減

サステナビリティ

  • 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を

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ブラザーグループ 環境ビジョン2050

パリ協定に賛同し温室効果ガス排出量を実質ゼロにする脱炭素社会形成へ貢献

GOAL

2050年、ブラザーグループは、あらゆる事業活動のカーボンニュートラル*とバリューチェーン全体のCO2排出最小化を目指し、脱炭素社会の形成に貢献している。

  • ブラザーグループから排出するCO2を全体としてゼロにする

主な取り組み:太陽光発電の導入、空調設備の更新、生産設備の更新・省エネ化など

CO2排出削減目標に対する進捗

「ブラザーグループ環境ビジョン2050」では、2030年度中期目標として、スコープ1・2において、「2015年度比65%削減」およびスコープ3のカテゴリー1・11・12において、「2015年度比30%削減」を掲げています。

2022年度は、スコープ1・2については2015年度比で43.8%の削減、スコープ3についてはインクジェット・レーザー複合機、プリンター製品本体の販売が好調に推移した影響でカテゴリー1・11・12において2015年度比で1.0%の削減になりました。

2030年度中期目標*

 「スコープ1・2」の2018年度から2022年度の実績(グラフ)

「スコープ3」のカテゴリ1・11・12の2018年度から2022年度の実績(グラフ)

再生可能エネルギーの利用

ブラザーグループは「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」の実現に向け、電力使用の効率化や太陽光発電の導入など、自助努力としての省エネ・創エネを実施するとともに、再生可能エネルギーを効率的に利用しています。
2022年度は事業活動が拡大したこともあり、エネルギー使用量は昨年より微増となりましたが、再生可能エネルギーの利用促進によりエネルギーに占める再生可能エネルギーの比率は2021年度の2.3%から2022年度は17.5%と大幅に増加しました。
今後も積極的に再生可能エネルギーを活用することで、エネルギー由来のCO2排出削減を推進していきます。

電力使用量推移のグラフ

2022年度の電力使用量

総電力量 210,050 MWh
再エネ電力量 36,754 MWh
:自家発電量 2,074 MWh
:購入した再生可能エネルギー量 (証書活用による再エネ調達を含む) 34,680 MWh
再生可能エネルギー比率 17.50%

対象範囲

  • 「2030年度中期目標」は、温室効果ガスの排出削減目標達成を推進するために設立された国際的なイニシアチブ「Science Based Targets initiative(SBTi)」より、科学的根拠に基づいた目標として認定されています。

スコープ1・2・3の温室効果ガス(GHG)排出量

ブラザーグループは、当社が排出する温室効果ガス(GHG)を適切に算定および報告するために、温室効果ガスの算定・報告の国際規格であるISO14064-1に準拠してスコープ1・2・3の温室効果ガス排出量の算定・報告を行っています。また、その結果についてはISO14064-3の基準に基づき第三者検証を受けて、算定結果の確からしさの検証を行った上で算定結果を公開しています。

スコープ1・スコープ2・スコープ3

スコープは、温室効果ガスのサプライチェーン排出量における構成要素。三つに分類することで、重複する算定を最小化し、対象ガスの特定を可能にしている。

  • スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
  • スコープ2:他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
  • スコープ3:スコープ1・スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)

スコープ1、2、3

2018~2022年度のISO 14064に基づいたスコープ1・2・3の温室効果ガス(GHG)排出量

カテゴリー CO2排出量t-CO2換算値
2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
スコープ1:直接排出 21,622 17,363 18,356 18,724 19,040
スコープ2:エネルギー起源の間接排出
マーケット基準
122,599 107,285 98,685 105,099 93,409*1
スコープ3:その他の間接排出 3,293,722 2,809,046 2,752,567 2,942,352 3,231,810
C1 購入した製品・サービス 1,559,654 1,351,272 1,302,661 1,404,939 1,538,813
C2 資本財 57,780 56,658 75,897 86,955 123,562
C3 燃料およびエネルギー関連活動 12,247 10,955 10,987 11,838 12,062
C4 輸送、配送(上流) 83,395 80,691 103,148 138,978 88,533
C5 事業から出る廃棄物 2,960 3,680 4,138 2,849 3,257
C6 出張 4,414 3,663 1,558 1,887 4,023
C7 雇用者の通勤 15,557 14,247 14,698 14,819 14,768
C8 リース資産(上流) 6,288 5,176 4,642 4,101 3,827
C9 輸送、配送(下流) 16,534 15,312 14,671 15,366 16,427
C10 販売した製品の加工 - - - - -
C11 販売した製品の使用 1,240,830 998,441 968,174 995,115 1,126,844
C12 販売した製品の廃棄 292,281 267,207 250,107 263,618 298,535
C13 リース資産(下流) 1,742 1,742 1,886 1,886 1,160
C14 フランチャイズ 39 - - - -
C15 投資 - - - - -
スコープ1・2・3の合計
マーケット基準
3,437,943 2,933,694 2,869,608 3,066,176 3,344,259*1
  • CO2フリー電力等の購入を推進しているため、2023年公開分より「ローケーション基準」を削除しました。
  1. 外部からの再エネ電力証書利用後

対象範囲

外部保証

事業所におけるCO2排出削減の取り組み

経済発展と環境保全が両立する社会の実現に対する関心が国際的に高まる中で、ブラザーグループは、事業成長と環境調和の好循環を共創・推進することによって、持続的発展が可能な社会への貢献を目指しています。
2021年度、ブラザーインダストリーズ(U.K.)Ltd.は、英国規格協会のPAS2060*規格に基づいたカーボンニュートラル企業として認定されました。ブラザーグループの製造拠点では初となるカーボンニュートラル企業認定です。さらに、ブラザーインダストリーズ(スロバキア)s.r.o.(以下、BISK)においても、2022年に第三者認証機関DNV(DNV Business Assurance Italy S.r.l.)のPAS2060規格に基づいたカーボンニュートラル企業として認定されました。
BISKは、CO2排出量と光熱費の削減を両立させながら環境パフォーマンスの向上を図るために、自然エネルギーを積極的に生かし、地下水の温度を利用した空調システムと太陽光発電システムを組み合わせたエネルギーシステムを、2020年12月から稼働しています。地下水温を使用した空調システムでは、BISK敷地内にもともとあった井戸を活用しました。
BISKでのエネルギーシステムは、EUグリーンエネルギーイニシアチブからの補助金対象事業に認定されました。
スロバキアは冬場と夏場の気温差が大きく、これまで暖房・冷房時に多くのガスエネルギーが消費されていましたが、本システムの導入により、空調の動力源をガスエネルギーから自然エネルギーへ切り替え、ガス消費時に発生するCO2排出量を大幅に削減でき、環境負荷低減に大きな貢献ができています。
本システムにて使用される地下水汲み上げポンプは、太陽光発電によって生み出されたエネルギーで稼働しており、年間を通じてCO2排出量の削減に貢献しています。太陽光発電での余剰エネルギーは、工場で使用されています。
空調システムの飛躍的改善は、従業員に対して、より快適な職場空間を提供できるようになり、BISKが進めている地域で最も働きがいのある企業を目指すSDGsの取り組みにもつながっています。
外部に依存していたこれまでのエネルギー調達方法と利用方法を抜本的に見直し、安定的なエネルギーを工場内で生成し利用できるようになりました。これにより、国際的な政治経済の動向による地政学的リスクに対して、エネルギーシステムの強靭化を図ることができました。

屋上を利用した太陽光発電システム

屋上を利用した太陽光発電システム 屋上を利用した太陽光発電システム(俯瞰)

地熱エネルギーを暖房/冷房に変換する熱交換ユニット

地熱エネルギーを暖房/冷房に変換する熱交換ユニット 地熱エネルギーを暖房/冷房に変換する熱交換ユニット(全体)

工場およびオフィスの暖房冷却ユニット

工場の暖房冷却ユニット オフィスの暖房冷却ユニット

またブラザーグループ省エネ活動は継続的に行っており、2022年度は主に以下の施策を実施しました。

    • より消費電力の少ない照明器具への変更
    • 高効率な空調への更新
    • 採光・断熱ブラインドの導入
    • 人感センサーおよび調光器の増設
    • 生産設備レイアウトの最適化による空調および照明の使用量低減
    • コンプレッサーの運用改善
    • 倉庫照明の間引
    • クリーンルームの運用改善
    • インバーター機器への更新

今後も継続的な省エネ活動を実施し、持続的発展が可能な社会への貢献を目指していきます。

  • PAS 2060 (Publicly Available Specification 2060):カーボンニュートラルを実現していることを証明する国際的な規格

製品におけるCO2排出削減の取り組み

「ブラザーグループ中期環境行動計画2024」(2022~2024)に基づき、ブラザーグループは15万t*のCO2排出量の削減施策を立案し、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業、パーソナル・アンド・ホーム事業、マシナリー事業、ニッセイ事業の製品におけるCO2排出量削減に取り組んでいます。製品のライフサイクルのステージごとに小さな工夫の積み重ねや技術革新を組み合わせることにより、CO2排出の削減に貢献しています。

  • 2021年度の事業活動と比較して、2024年度までに新たに実施した製品環境対応施策によって削減できたCO2排出量の総量。例:製品の小型、軽量化、再生材料の使用量拡大、待機時の消費電力削減など。

インクジェットプリンターの大容量カートリッジ(例LC-3135など)

従来カートリッジの機能をよりシンプルに再構築し、部品点数を削減するとともにインク貯蔵部の容積効率を向上させることで、従来カートリッジと比べ、インクの大容量化を実現しました。カートリッジの交換頻度が低くなることで、カートリッジの廃棄や梱包材の使用削減につながり、CO2排出削減にも貢献しています。

カートリッジの製造時と廃棄時に排出されるCO2

産業用プリンターの消耗品インク(GTXproシリーズ)

ガーメントプリンター GTXproシリーズでは、消耗品インクに付帯するプラスチックや梱包材を削減する取り組みを進めてきました。消耗品インクを従来のカートリッジ交換方式から、パウチ交換方式やボトル供給方式へ切り替えたことにより、消耗品のプラスチックや梱包材の削減につながり、従来方式に比べてCO2排出削減にも貢献しています。

GT3(従来方式カートリッジ)(2012年)
カートリッジ交換によるインク補充
GTXpro(2017年)
交換可能なパウチインクを採用し、カートリッジ廃棄量を削減
GTXpro B(2020年)
ボトルインクシステムを採用し、インク交換に伴う廃棄物を削減
GT3(従来方式カートリッジ)(2012年) GTXpro(2017年)交換可能なパウチインク
矢印
GTXpro(2017年)交換可能なパウチインク (巻き取り)
インクパウチのみ巻き取り、交換可能(カートリッジは廃棄不要)
GTXpro B(2020年)ボトルインクシステム

白インク攪拌装置を搭載することでボトルインク化を実現

カートリッジ廃棄量(インクを除く)と梱包材使用量の削減によるCO2排出量に関して、従来方式と比べてパウチ交換方式は92%減*、ボトル供給方式は95%減*を達成しました。

あわせて、カートリッジに使用する資源量と梱包材使用量に関しても、従来方式と比べてパウチ交換方式は82%減*、ボトル供給方式は95%減*を達成し、資源使用量の削減にもつながっています。

  • テストデータをTシャツに2,500枚印刷した場合の白インク消費に伴う削減量

カートリッジ廃棄量(インクを除く)と梱包材使用量の削減によるCO2排出量

電気エネルギーから、環境を考える。水素活用が広がる未来へ。

ブラザーは「燃料電池システム」の開発に向け、水素の可能性を追求しながら、燃料電池の研究を長年重ねてきました。
水素活用がさらに世の中に広がっていくためには、課題も多くあります。しかし、この技術開発はブラザーにとって、未来への確かな一歩となりました。

燃料電池システムの動画コンテンツ

製品におけるCO2削減貢献

ブラザーグループは事業に直結する活動として、開発・調達・⽣産・販売・物流などモノ創りのあらゆるプロセスでCO2排出量の削減に向け、取り組みを進めてきました。気候変動(地球温暖化)を抑制し、脱炭素社会を達成するためには、社会全体のCO2排出量の削減にも取り組んでいく必要があります。例えば、ブラザー製品・サービスの省エネ性能の向上により、お客様のもとでのエネルギー使用量(消費電力量)を減らすことは、お客様が製品を使用される際のCO2排出量の削減にもつながり、社会全体からのCO2削減となります。また、消耗品の大容量化による省資源化は原材料調達時や廃棄時のCO2削減にもつながります。そこで、これらのCO2削減が実際にどのくらい社会に貢献しているのか、またその貢献量を増やしていくために、社会全体から削減したCO2をCO2削減貢献量と定義し、見える化を行いました。
今後もブラザーグループからのCO2排出量の削減を進めるとともに、お客様のもとでのCO2削減につながるブラザーの製品・サービスを提供することで、社会全体のCO2排出削減にも貢献してまいります。

CO2削減貢献量の実績

ブラザーグループはプリンティング製品・家庭用ミシン・工業用ミシン・工作機械・新事業製品などグループ全体の製品について省エネ性能の向上によるCO2削減貢献に取り組んでいます。その算定事例として、工作機械のCO2削減貢献量を示します。

CO2削減貢献量の算定方法(当社の調査結果による)

工作機械CO2削減貢献量 [2018-2022累計]グラフ

自社製品(工作機械「SPEEDIO」主軸30番機)と他社製品(30番機、40番機)を比較し、省エネ性能向上などによって得られる製品使用段階のCO2削減貢献量を算定

  • 算定式(他社製品CO2排出量 - 自社製品CO2排出量) × 製品販売台数(製品を10年間使用時の試算)
  • 他社製品CO2排出量は一般的な主軸30番機と40番機を当社のシナリオに基づき設定し、当社用意の加工プログラムで動作させたデータを参考に算出(主軸30番機・40番機とは工具取り付け部分の大きさで、製品カテゴリーを表す工作機械業界の用語)
  • 削減貢献量は当社独自のシナリオに基づき算定しており、実際の削減量とは異なります
  • 算定結果は、2022年度に算定式のCO2換算係数を一律から各年度へと見直し、過年度開示分含めて更新しました
  • 算定内容は、経済産業省「温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン」(2018年3月)に基づき、第三者の専門家による監修を受けています

また、前述のインクジェットプリンターやガーメントプリンターの消耗品大容量化による使用個数削減や梱包材削減による2022年度のCO2削減貢献量は、約1.2万トンとなりました。

CDP気候変動2023質問書回答

CDP(旧カーボン・ディスクロージャ・プロジェクト)は 、2000年に設立された国際的な環境非営利組織であり、その情報開示システムは世界経済における環境報告のグローバルスタンダードとなっています。
CDPの環境に関するデータは、金融市場、政策イニシアチブ、その他さまざまなステークホルダーによって活用されています。
ブラザー工業は、CDP気候変動は2011年から、CDP水セキュリティーは2015年から参加し、質問書に回答しています。

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