ブラザーグループの2010年度のCSRへの取り組みに対する第三者意見
当意見は、本ブラザーグループのCSRへの取り組みに関するWEBサイトの記載内容、および同社のCSR、環境、調達、人事・健康・安全の各担当者へのヒアリングおよび中国・深圳の兄弟高科技(深圳)有限公司および兄弟工業(深圳)有限公司での現地視察に基づいて執筆しています。
同グループのCSRへの取り組みは、環境負荷の削減や取引先への取り組みの呼びかけ、社内外への多言語での発信など、広範な項目について、国内外でマネジメント・サイクルを適切に進めていると言えます。
高く評価すべき点
- ・ 温室効果ガスの排出量削減について、製品による環境負荷削減として、ファックス・プリンタなどの複合機を設計変更し、製品使用時、特に待機時の電力使用量を大幅に削減して、生産時の二酸化炭素(CO2)排出量を使用時の省エネによって相殺できていること。またファックス・プリンタの主要生産拠点の1つである兄弟高科技(深圳)有限公司で新設された建屋の屋上に大規模な緑化を行うなど、現地従業員の提案や実践による取り組みが進んでいること。
- ・ 顧客満足の向上について、「お客様ご迷惑率」という可視化と把握によって、不具合・故障の低減や修理期間の短縮など、さまざまな成果に結び付けていること。
取り組みの進捗を評価しつつ、さらなる努力を求めたい点
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]
代表者 川北 秀人
- ・ 使いやすさや環境に配慮した製品づくりについて、同年度に発売された複合機の全機種が、欧州の主要な環境ラベルの認定を取得していることや、一部の機種について自動両面印刷を標準設定として出荷していることを評価するとともに、今後は、ユニバーサル・デザイン・フォントの使用推奨や、トナーセーブや2in1印刷なども標準設定として出荷するなど、使用時の環境負荷削減を促す取り組みがさらに進むことに期待します。
- ・ 生物多様性や水資源への配慮・対応について、世界各地で環境保全活動に協力し、2015年までの新・中期計画にも明記したことを高く評価するとともに、今後は、印刷に不可欠な紙、ミシンによる縫製に不可欠な布の素材を供給する生態系のリスクへの理解・共有をさらに進め、保全への取り組みを拡充することを期待します。
- ・ 人的多様性の向上と活用について、日本国内大学への外国人留学生と海外大学の卒業者が新規採用の28%を占め、グループトレーニー制度による海外拠点への派遣を継続していること、また、中国のグループ会社について、グループ横断で部長級人材の育成を図るとともに、管理職への登用や職務権限の移管を進めるなど、中期的な人材戦略に基づく取り組みが進んでいることを高く評価するとともに、今後は処遇体系の統合など、グローバルな人材活用・育成の基盤がさらに拡充されることに期待します。
- ・ 働き続けやすい職場づくりについて、国内のグループ会社に勤める子どもを持つ女性従業員のための「Brother Mothers’」活動の充実や、労使協約により、産休からの復職時に1か月間の「ならし期間」を設けるなどの取り組みを高く評価するとともに、今後は育児・介護・看護のための休暇・短時間勤務の利用率(ブラザー工業で3.19%)をさらに高められるよう、現場の課題の把握と解消が進むことに期待します。また、中国の生産拠点においても、継続勤務志向の高まりなどを受けて、妊娠中の従業員に対する配慮や対応が進んでいることを評価するとともに、今後は寮での生活環境の改善がさらに進むことを期待します。
- ・ サプライヤーへの働きかけとして、環境・人権・労働・安全衛生・公正取引・企業倫理・情報セキュリティー・社会貢献などを加えたCSR調達に関する勉強会を、中国、ベトナム、マレーシアで開催し、取引先のCSRへの取り組み状況を可視化する調査や表彰制度を設けていることを高く評価するとともに、今後はサプライヤー間の交流により課題解決が進む体制が整備されることを期待します。
- ・ 社会貢献活動について、従業員の日常的な環境負荷削減への取り組みによる「ブラザーエコポイント活動」に、世界の全従業員数の約3割にあたる8900人以上が参加していることや、ミシンを活用したエコバッグづくりなど自社の資源を生かした活動を高く評価するとともに、今後も世界共通の基本方針のもとで、社会への投資として戦略的に推進されることを引き続き期待します。
グローバル企業として、取り組みの進展が期待される点
- ・ 社長や役員などトップマネジメント層による従業員向けの発信が年間90回以上に及び、8か国語に翻訳されていること、また、CSRへの取り組みについてもWEB上で3か国語で発信されていることなど、多言語での発信を高く評価するとともに、今後は、NGOなど社外のステークホルダーとの対話の機会を、特に欧州において積極的に設け、次に取り組むべき社会的課題について学び、協働して取り組むきっかけに結び付けることを強く期待します。
IIHOE:「地球上のすべての生命にとって、民主的で調和的な発展のために」を目的に1994年に設立されたNPO。主な活動は市民団体・社会事業家のマネジメント支援だが、大手企業のCSR支援も多く手がける。
http://blog.canpan.info/iihoe/
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