Go
ブラザーグループについて 企業情報 CSR 環境 IR ニュースリリース 採用 製品情報

対談:まあるい地球で、共に支え合い、新たな成長を

シンガーソングライター 国際自然保護連合(IUCN)親善大使 イルカ & ブラザー工業株式会社 代表取締役社長 小池 利和

ブラザーが「成長への再挑戦」に向けて、新中期戦略「CS B2015」を打ち出した2011年3月、東日本大震災が発生しました。こうした中で、国際自然保護連合(IUCN)の親善大使も務めるイルカさんをお招きし、ブラザー工業社長 小池利和とともに持続可能な社会やブラザーのCSR経営について語り合いました。

東日本大震災で被災された方々に寄せて

小池:まず、3月11日の東日本大震災で被災されたみなさまに、あらためてお見舞い申し上げますとともに、1日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
あの時、私は名古屋の本社で大きな揺れを感じました。ゆっくり長く揺れたので、震源が近くでないとすれば大地震だろうと直感したんですが、大変な事態になってしまいました。ブラザーグループでは直接の人的被害はなかったものの、東北・関東地域にあるグループ会社エクシングの店舗や部品を供給いただいているお取引先の一部が被災されました。当面、義援金の拠出をはじめ国内外のグループ会社の従業員による募金や支援物資の提供、被災地のブラザー製品の無料修理サービス、ブラザー製品の被災地支援団体への無償供与など、できる限りの支援をさせていただいています。私どもは売上の8割近くが海外で、生産も8割以上が海外であるため、ビジネスへの影響は少なくてすみましたが、被災地の復興には長期間を要するため、継続的に支援・ボランティア活動を行っていくことが重要と考えています。

ブラザー工業株式会社 代表取締役社長 小池 利和

イルカ:こういう時は、みんなが心を一つにしなければなりませんからね。私は、その日は東京にいて、とっさに机の下に潜ったんですが、身体が横にずれるような揺れでした。テレビをつけたら信じられない光景が目に飛び込んできました。私は歌うことしかできない人間なので、あの日から「歌の力で復興のお手伝いを」と思っているんですが、まだ被災地の方々がそんな気持ちに至っていないのではと感じています。押し付けがましいことだけは、してはいけないと考えているので、近い将来、ご縁があるに違いなく、その時は喜んでお手伝いさせていただきます。それまではコンサート会場に募金箱を置かせていただいたり、デビュー40周年記念パンフレットの売上の全額を義援金にさせてもらったりしています。また、今年のツアーを震災復興支援コンサートとして、副題で「共に生きる・・・この時を」というメッセージを添えて、私の気持ちを曲にして、少しでもホッとしたり元気になったりしていただけるようなツアーを続けています。できればこの秋くらいから、被災地の皆さんをコンサートにご招待して一緒に歌ったりしていきたいですね。

小池:なるほど。私は6年前から従業員向けに「テリーの徒然日記」という社内ブログを週2回発信していますが、もうすぐ連載500回を迎えます。そこで、「テリーの絆プロジェクト」という従業員参加型の企画を立ち上げました。これは参加費を出してくれた従業員に、自筆の文字とブログのイメージイラストをあしらった自費制作の「500回記念チャリティーTシャツ」を配布して、参加費の全額を被災地に義援金として贈ります。イルカさんのパンフレットとまったく発想が同じですね。

イルカ:偶然にも、同じですね。私の場合は、コンサート会場によっては募金箱を置かせていただけない所もあって、どうしようかと考えた時に「物として買っていただき、それを義援金として贈ろう」とパンフレットを思いついたんです。もちろん募金もありがたいですが、もう一つ自分らしさをお届けしたいなと。

小池:支援活動は「無理のない程度に、継続的に自然に」が基本だと思います。無理をすると息切れしてエンストしてしまうし、自分が100%納得していないと長続きしない。従業員にも「ボランティアや社会貢献活動は、無理なく自然にやれる範囲で、できることを」と言っています。

イルカ:同感です。「私もやりたい」という衝動でやらせていただいて、それを実現することで自分も恩恵をいただいている。それで十分だと思うし、見栄を張って何かをやっても方向性が変わってしまいます。もちろん、それで助かる方もいらっしゃいますが、私は「微笑みながら、できる範囲で長く続ける」というのが、自分にとって正しい方向だと思っています。

    テリーは小池のアメリカ駐在時代のニックネーム。ブラザーの社内では、いまでも親愛の情を込めて「テリーさん」と呼ばれている。

地球に住む同じ仲間としてより良い環境を

小池:昨年10月、名古屋で「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)」が開催されましたが、イルカさんは国際自然保護連合(IUCN)の親善大使として、ずいぶん前から国内外でPR活動や生物多様性への理解を深めるコンサート、CDや絵本の出版などで貢献されましたね。

シンガーソングライター 国際自然保護連合(IUCN)親善大使 イルカ

イルカ:3年ほど前、IUCNから「生物多様性という言葉が難解なので、多くの世代に分かりやすい形でアピールしたい」とお話があり、「それならCDを作って、コンサートもやりましょう」と提案しました。また、私は絵本も描いているので、小さなお子さんのために「生物多様性をテーマにした絵本もいいのでは」と出版社に話を持ち込みました。それが「まあるいいのち」という絵本になりました。

小池:ブラザーグループも会議の主旨に賛同し、「COP10」参加者向けインターネットコーナーへのプリンターの提供や、プリンターメーカー6社共同での「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」の一員としてのブース出展、国連環境計画(UNEP)への寄付などを行いました。会議では、生物の持つ遺伝資源の利益配分ルールを定めた「名古屋議定書」と、2010年以降の目標「愛知ターゲット」が合意されるなど大きな成果が得られました。それから、私は期間中に名古屋で行われたイルカさんの「まあるい地球コンサート」も拝見しました。

イルカ:それは、ありがとうございました。IUCN本部とは会議中にコンサートを開く約束をしていましたし、 「連日の会議で大変なので、音楽で頭を休めたい」と50名以上来てくださったので「ああ、コンサートを開いてよかったな」と思いました。それにしても、ブラザーグループは熱心に環境問題に取り組まれているんですね。

小池:ええ、以前から環境社会貢献の一環として、世界各地の従業員ボランティアが、植林活動やマングローブ林の保護、ウミガメの生態系調査への協力などを続けています。2010年5月に、こうした活動も含めて、モノ創りをはじめ事業活動のすべてを含むグローバルな環境への取り組みのシンボルとして「Brother Earth」というスローガンを制定し、これに基づいて2015年に向けた中期環境行動計画の達成に重点的に取り組んでいます。
また、クリック募金を組み入れたWEBサイト「brotherearth.com」では、グループ各社が各地域で取り組んでいる環境保護活動を紹介しています。皆さんが共感する活動をクリックいただくと、その数に応じて皆さんに代わってブラザー工業が活動に寄付する仕組みで、7カ国語で運用しています。
ただ、「COP10」のような生態系を守るという大きな課題は、一企業がどの程度まで関われるのか分からない点が多く、イルカさんのご経験から「ブラザーがこんなことをやるといいんじゃないか」ということを教えていただけるとありがたいです。

イルカ:実は、IUCN・世界銀行・地球環境ファシリティの三つの国際機関が手を結んで、大規模な生物種の保存基金「SOS(Save Our Species)」というプログラムを立ち上げて、協力してくれるパートナー企業の参加を呼びかけています。このプログラムへの貢献は、生物多様性を保全するグローバルリーダーとして世界にアピールできますから、企業のイメージアップにもつながります。

小池:なるほど。生物多様性保全に関わる課題の中で「この国のこんな保護活動への協力を」とご提案をいただけると、グループ各社の従業員も意義が理解しやすいですね。微力ながら活動支援に参加するのは、グローバル企業として成長していく重要なステップになると思います。

イルカ:2011年は「国際森林年」でもあり、IUCNの活動は森林保護に関係するのはもちろん、私たちがふだん使っている「紙」とも密接に関わっています。これに関するシンポジウムも各地で行われています。私は“ブラザー”という社名に好印象を持っていて、それは私がメッセージとして発信している「ひとつの地球に住む生き物は、共に生きる兄弟」という考え方に通じるからです。それに「Brother Earth」というキーワードのもとで、地球に生きているみんながつながっているという考え方で活動されているのは、とてもありがたいことです。

    地球環境の利益につながる各国の取り組みに資金と技術的支援を提供している世界最大級の国際基金。

困難を乗り越えて新たな成長に挑戦

イルカ:私の世代にとって“ブラザー”といえば、いまだにミシンのイメージが強いのですが、若い世代に言わせると複合機やプリンターのメーカーであると。ずいぶん変わりましたね。

ブラザー工業株式会社 代表取締役社長 小池 利和

小池:はい。企業が未来永劫にわたって持続的に成長するには、変わり続けなければなりません。ブラザーは創業103年目ですが、数十年ごとに試行錯誤しながらビジネスの柱を変革して、新たな成長へつなげてきました。もちろん経営的に苦しい時期もありました。近年では2008年のリーマン・ショックの影響で、売上高1兆円を目指す中長期戦略ビジョンの時間軸を延長せざるを得ませんでしたが、各事業がグローバルに経営環境に左右されにくい安定した事業基盤づくりをするとともに、利益・キャッシュの確保に取り組み、将来の成長に向けた準備を進めてきました。
そこで、次の段階として、2011年3月に新中期戦略「CS B2015」を発表しました。ここでは「Back to Growth ~成長への再挑戦~」というテーマで、2015年を目標に全事業・全地域で成長を目指します。その推進力が、開発、製造、販売・マーケティング、人財、CSR・ブランドなど各分野の「真のグローバル化への加速」です。
幸い、ブラザーは製造や販売の海外進出が早かったためコスト競争力があり、品質の良い製品を世界中にお届けするネットワークが整っています。また、長い歴史の中で育った人財・ノウハウもあります。この強みを磨き上げることで、お客様のご要望に応えるベストな製品をベストな場所で製造し、グループ会社の相互協力による“グローバルチーム・ブラザー”の真価が発揮できます。それを「明るく、楽しく、元気に」推進して、「ブラザーグループ グローバル憲章」にある「あらゆる場面でお客様を第一に考え、モノ創りを通して優れた価値を創造し、迅速に提供する」という使命を実現できると考えています。

イルカ:地球規模でそれだけのビジネスを展開するのは、すごいですね。ふつう、一つのことで成功すると、それにしがみついて生きていこうと考えるのが人間の常ですが、次世代を見つめながらブラザーらしさの幅を広げていく。そういう方向性を決めるのは、すごく大変なことだと思います。歌手やアーティストと呼ばれる人たちも「常に時代の波に乗って・・」なんて言われますが、毎年、大ヒットが続くものじゃないですから、ほかの分野に転身する方もいらっしゃいます。そんな中で、自分らしさを将来につなげていくには、世の中にアンテナを張っていると同時に、自分の中の柱というか、核のようなものをブレさせないことが大切ですね。

小池:おっしゃる通り、企業もまったく同じだと思います。

イルカ:私はフォークやニューミュージックという音楽ジャンルで歌を始めましたが、バブル時代など危機を感じた時期がいくつもありました。人はお金持ちになると、生活にあまり密着しない、派手なモノが好きになりますね。ディスコ的な音楽が主流の時代には、「ギター1本で歌うのは辛気くさい」と言われる時もあって、お客様にコンサートに来ていただくのに苦労した時代がありました。でも、いまもしぶとく続けていられるのは、「自分の中に持っているものだけは曲げないぞ」という頑固さと、時代を泳ぐしなやかさの両面を大切にしてきたからかもしれません。これから先、どれだけ歌い続けられるかは分かりませんが、そういう姿は貫きたいですね。また、そうやって歌う姿を息子たちのような次の世代につなげていけたらと思います。

小池:私たちも、いま種蒔きした事業の芽が5年先10年先に育って若い人たちに受け継がれ、同じ「ブラザー」という名前だけれど、事業の内容は変わっているとか、新しい業態で進化を遂げているという姿を目指してチャレンジしているわけです。

一人でも多くのお客様から拍手をいただけるように

小池:イルカさんの歌は、昔から聴かせていただいています。私は年齢も近く、フォークソングに熱中した世代なので、高校時代にフォーク・クルセダーズで衝撃を受け、かぐや姫が出てきた頃に大学に入り、卒業の頃にイルカさんの「なごり雪」が大ヒットしました。

イルカ:そういうふうに人生の中で、私の歌を語っていただけるのは、ありがたいことです。

小池:40年間も休みなしで第一線を走り続けて、いまもコンサートを年間60~70回もこなしていらっしゃるのは、ほんとうにすごい。

イルカ:ただ、出産前後の2年間は「イルカの冬眠」ということで休ませていただきました。でも、プロデューサーの夫が、ただでは休ませてくれない人だったので、その間も絵本を描いたり、クリスマスアルバムを作ったり創作的なことをしていました。そういうテリーさんも全力で走り続けていらっしゃる。

小池:これだけ変化の速い時代なので、企業のトップは常に誰よりも早く、多くの新しい情報に触れながら、これまでの経験や知識と重ね合わせて、迅速にタイミング良く、正しいと思われることを次々に決めていかなくてはなりません。私はジッとしていると疲れてしまう性分なので、週末もビジネスのことが頭から離れることはないのですが、社内ブログ用の話題集めも兼ねて、好奇心に任せてあちこち動き回っています。
誰の人生にも平等に与えられているのは時間なので、その中で充実して生きるには、いろんなことに好奇心を持って、「明るく、楽しく、元気に」生きることが重要だと思っています。そうすれば、運命の神様も、きっと振り向いてくれるだろうというのが私の信条です。

シンガーソングライター 国際自然保護連合(IUCN)親善大使 イルカ

イルカ:私は、コンサートの後に必ず握手会をしますが、中には深刻な病気を抱えている方もいらして「今日は1年ぶりに外出して、コンサートで元気になりました」「明日から頑張れそうな気がします」と言ってくださるのが、私にとって一番うれしいことなんです。確かに、歌というのは5分間とか3分間の中で、人の心をパッと開かせたり、気持ちをクルッと回転させたりする力を持っています。私も夫を亡くした時は歌う気になれず、ジッとしていようと思いましたが、そんなわけにもいかず、少しずつ歌い始めたら逆に元気になれました。しかも、お客様に拍手をいただけるなんて、ありがたい仕事だと感じています。これからその恩返しをしていかなくてはと、一人でも私の歌を聴きたいと言う人がいたら、どこへでも行って歌いたいと思っています。

小池:いいお話ですね。ブラザーグループも、“At your side.”の精神を発揮して、たくさんのお客様から拍手をいただけるような製品やサービスをお届けする企業であり続けたいし、多くの従業員に力を与え、誇りを持てるようなマネジメントを実践していきたいと思います。今日は、ありがとうございました。

2011年7月

シンガーソングライター 国際自然保護連合(IUCN)親善大使 イルカ & ブラザー工業株式会社 代表取締役社長 小池 利和
ブラザー工業株式会社 代表取締役社長

小池 利和

■プロフィール ブラザー工業株式会社 代表取締役社長 小池 利和

1955年、愛知県一宮市生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、1979年にブラザー工業に入社。1982年、ブラザーインターナショナルコーポレーション(U.S.A.)に出向。タイプライターやミシンなどが主力商品の時代に、プリンターの試作機を持って全米各地をセールスし、ブラザー情報通信機器の基盤を開拓。2000年に同社取締役社長に就任し、2005年に帰国。2007年から現職。愛称は「テリー」。社内ブログで、社長メッセージから身近な体験まで幅広く発信している。趣味は、ワイン・音楽・ハイキング・歴史探訪・ゴルフ・スポーツ観戦・将棋と多彩。iPodにフォークソングから最新のヒット曲まで9,000曲を入れ、時間が許す限りコンサートにも出かける。モットーは「明るく、楽しく、元気に」。

■対談お客様

シンガーソングライター・国際自然保護連合(IUCN)親善大使

イルカさん

■プロフィール シンガーソングライター 国際自然保護連合(IUCN)親善大使 イルカ

東京生まれ。父は日本のジャズ史を飾るバンド「スターダスターズ」の花形テナーサックス奏者。女子美術大学に在学中からフォークグループを結成し、シュリークスを経て1974年 ソロデビュー。翌年『なごり雪』が大ヒット。以降、『君は悲しみの』(76年)『雨の物語』(77年)『サラダの国から来た娘』(78年)など次々にヒットを飛ばし、シンガーソングライターの地位を確立。生命保険会社のCMソングとして依頼された『まあるいいのち』(80年)は、命の大切さを伝える名曲として歌い継がれている。
1978年に出産のため2年間休業し、活動再開後もコンサートを中心に毎年全国ツアーを続けている。また、絵本『ちいさな空』『真冬の天使』やエッセイなどの作品を通じて、母親としての視点から「私たちは、皆この地球という大きな生き物に住む、細胞同志である」というメッセージを発信し、世代を超えて多くの人々の共感を呼んでいる。2004年に国際自然保護連合(IUCN)初代親善大使に任命され、2010年には母校の女子美術大学芸術学部でアートプロデュース表現領域の客員教授に就任。


このページの先頭へ