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お客様、メーカー、パートナーなどあらゆる方向と向き合い、
新たな市場に挑戦するモバイルソリューション。

モバイルプリンター『Pocket Jet』PJ-763※1 金融機関導入プロジェクト

クラウドシステムやスマートフォンの普及に伴い、ITの進化はますます加速している。ビジネスの現場でもIoE(Internet of Everything)により、すべての人間と情報システム、データがネットワークでつながり、データの扱い方がより重要になってきている。ブラザーのモバイルプリンターは保守・メンテナンス、飲食、小売り、製造、物流などさまざまな業界で業務革新に寄与し、市場から高い評価を受けてきた。今後期待される市場として、金融業界への導入を図るブラザー販売の社員たちの挑戦の軌跡を追ってみた。

プロジェクトストーリー

新たな市場開拓のために、
営業や企画も
一体となってフィールドセールスに
向かう。

「この製品なら売れる」
超小型感熱モバイルプリンター『Pocket Jet』の商品企画を担当する齋藤と小原は、試作機を見た瞬間につぶやいた。そして若手の伊藤も横で頷いていた。A4サイズの文書印刷ができる『Pocket Jet』は一定の評価を得ていたが、新たな顧客ターゲット (フィールドセールス)に向けた提案を行うためには、従来機からのスペックアップは不可欠だった。長時間使用できるバッテリー、より速くなった印刷速度、そしてモバイル環境には欠かせないBluetooth2.1を搭載した『PJ-763』は予想以上の性能アップを実現していた。
2016年6月に発売されたこのモバイルプリンターは、お客様から要望の多かった長時間の使用を可能にするバッテリーを搭載し、従来機種では70枚ほどの印刷しかできなかったものが、1回の充電で約600枚印刷できるようになった。ビジネスソリューション事業部としても、金融機関へのソリューション提案は注力しており、金融業界に対しての広告や展示会など販促にも力を入れていた。新機種の登場は、この業界でのブラザーの認知度を大きく上げるのに絶好であった。

その頃、ある金融機関を担当するソリューション営業の若手である秋田はソリューション企画部の小原、伊藤と共に新規の取引を獲得するため、継続的に販売代理店へ足を運んでいた。
「お客様の仕事を効率化して、営業・渉外業務の負担を減らしてあげたい」という強い想いで、一緒に提案をするパートナー企業とモバイルデバイスを含めた業務システム改善提案を行っていたという。
金融業界では、外出先で預り書や受取書、提案書、見積書などを発行する業務などを担う営業・渉外員の方々が活躍している。以前は、お客様情報を訪問先で参照することはできず、また必要な資料や申し込み書類などを持ち運ぶ必要があるなど、営業・渉外担当者の負担となっていた。帳票出力も高価な専用のハンディーターミナル(業務用携帯端末)を利用していたり、一度会社に戻って帳票を印刷して後で届けたりしていた。近年では普及の進んだスマートフォンやモバイル端末を活用して、その場であらゆる証書を印刷発行し、業務改善につなげたいと考えている金融機関が増えてきている。こうした課題を一挙に解決できるモバイルプリンターはブラザー販売が他社に先駆けている製品である。ブラザー販売は、パートナーである大手SI(システムインテグレーター※2)会社と共に、金融機関における営業・渉外業務全般の改善システムを提案することとなった。

プロジェクトストーリー

ソリューションはハードだけではなく、
対応力を含めたソフト面も重要。

ブラザーのモバイルプリンターは、そのコンパクトさで市場から一定の評価を受けてきた。「これまでもお客様のご要望により、印刷スピード、電池、サイズそして通信方法などさまざまな改良をしてきました」と齋藤が話すように、商品企画担当者は常に営業と共にお客様の元へ伺い、要望をブラザー工業にフィードバックしてきた。「コンパクトさについては、もう限界近くになってきています。その中にさまざまな機能を付加していくので、その点は非常に苦労しましたが、お客様の要望には十分応えられる製品となりました」とブラザー工業のモバイル商品企画部署に出向していた小原が話すように、今回の提案にモバイルプリンター「PJ-763」は十分すぎる性能を持っていた。金融機関のニーズに応えられる機種と思い、積極的に広報活動も行っていた。だから、「何としてでも取りたい仕事」(齋藤)だった。営業の秋田も、金融機関へのモデルケースとなる今回の提案を何としてでも成功させたいと強く思っていた。
しかし、金融機関には独特の商習慣やルールがあり、帳票類も仕様が決まっていて変更できないことが分かった。「一般に市販されている標準のモバイルプリンターの仕様ではお客様の要望するスペックを満たせない」と小原は判断した。そこで秋田は技術を担当するCS推進部技術サポートグループの小林裕和に相談をした。「お客様専用のプリンターファームウェア※3をつくらないといけないなぁ」という小林に対して、秋田は「何としてでも取りたい仕事」だからということで、ファームウェアのカスタマイズを決意、部内の調整を図り実行に移した。

プロジェクトストーリー

お客様のニーズをくみ取り、
スピード感を持った対応が評価される。

ソリューション営業では、まれにプリンター本体の基本制御を行うファームウェアのカスタマイズが必要な場合がある。こうした対応に対して小林は「お客様のビジネスシーンは多様で、標準品は最も多く利用されるものを想定して作っています。当然その基本仕様だけでは課題解決にならないケースもあります。お客様に合わせたカスタマイズは、内容に応じて対応しています。でもどこまでのカスタマイズが必要なのか、お客様の重要度やコストなどバランスを見て、調整していく必要があります」と話す。

齋藤、小原、伊藤のモバイル企画グルーブは、すぐにお客様専用のプリンターファームをブラザー工業の開発担当に依頼した。そして、モバイルグループのある東京と、開発担当者のいる名古屋を何度も行き来することになった。

一方で、秋田や伊藤は、お客様に対してさらなる手を打っていた。新製品のため、実績などがほとんどなく、安心して導入してもらうには多くの情報開示が必要だったのだ。社内の技術サポート部門だけではなく、ブラザー工業とも協力して、データ集めに奔走した。
「今回の提案では、販売代理店とも密な連絡を取る必要があり、さらなるパートナーシップの向上にもつながりました」(秋田)とも言う。

そして、営業、企画、ブラザー工業、パートナー企業の熱い想いが実を結ぶことになった。新製品の性能による評価だけではなく、スピード感のある対応やさまざまなカスタマイズ要望にも柔軟に対応するブラザー販売の姿勢が評価されてのものだった。

プロジェクトストーリー

挑戦によるブレークスルーが、
会社と社員を成長させる。

「私は入社して4年間ずっとビジネスソリューション営業をしてきましたが、今回のようなファームウェアからカスタマイズが必要な仕事は初めて。当初は不安だらけでしたが、ソリューション企画部やCS推進部をはじめとした社内の方々、ブラザー工業が連携して大きな成果をあげることができたのは、かけがえのない経験となりました」と秋田が振り返るように、大きな壁をブレークスルーすることで、会社にとっても個人にとっても成長を後押ししたのは間違いない。
「今回の金融機関へのモバイルプリンター導入は、単なる大口の販売という結果だけではなく、金融業界に対してブラザー販売のソリューションを広める事例として、大きなモデルケースとなりました」と齋藤が話すように、今後は営業や技術サポートと共に協力し合いながら水平展開を加速させることになるだろう。
「我々ソリューション企画部は、営業が持ち帰ったお客様からの要望を聞いてそれを実現するだけではなく、自らも一緒に客先へ出向いて自分の耳で市場の声を聞いて製品づくりに活かすことが重要になっていくと思います。そうすることで、社内の連携だけでなく、ブラザー工業に対してもお客様の要望をより正確に生きた言葉で伝えられるはずです」(小原)
このように今回のケースは、このプロジェクトで完結するのではなく、ブラザー販売のビジネスモデルとして、新たな市場開拓の一歩となったといえる。

※1:「モバイルプリンター Pocket Jet」 PJ-700シリーズ

A4判の文書(見積書、提案書、納品書、作業報告など)を印刷できる超小型モバイルプリンター。

○無線LANやBluetooth™に対応したことで、iPadなどのモバイルスマートデバイスからのワイヤレス印刷が可能。 ○PJ-700シリーズは610gと超小型軽量化を実現。リチウムイオン充電池搭載で長時間稼働も可能。 ○サイズの決まったカット紙に加え、ロール紙も使用可能。○AirPrint、Mopriac、Google Cloud Print ™に対応。

※2:システムインテグレーター(System Integrator)

情報システムの企画、構築、運用などの業務をお客様から一括して請け負う情報通信企業のこと

※3:ファームウェア(Firmware)

ハードウェアの回路や装置などの基本的な制御を行うソフトウェアの一種。本体に内蔵されたROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなど、通電しなくても内容が消えない半導体メモリ記憶装置(不揮発メモリ)に記録される。